>>351

 大学生活が始まって二週間が経過した。
 初日に話した連中は消えて無くなった。消えて無くなったというのは、自己中心的な考えかもしれない。実際に、連中が消えたわけでも、無くなったわけでもないのだから。これは私の感覚的な問題だ。
連中は同じ大学にいて、日常を過ごしているはずである。
 大学生活の初日、山根や鈴村さん(ボブカットの女の子)、一条さん(これはセミロングの女の子)とも連絡先を交換したが、
私から連絡することも、彼らから連絡が来ることもなかった。
スマホのアドレス帳には九十六件の連絡先が保存されている。二十件は地元の友人知人、十件は親兄弟やかつての塾やバイト先やらの連絡先だから、六十件近くが新たに登録した連絡先ということになる。その新たに登録された人間とほとんど交流はない。
同じゼミの子に、「ずいぶんメアドの件数少ないね」と言われたが、人の連絡帳を覗く方がよほど失礼だと思う。
 何様だと思う。