>>152 失礼しました。では順に放出していきます。
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「大介さん、お疲れーっす。今夜は例の旧道トンネル、連れてってくださいよ。」
「ったく、悠太ときたらしょうがねえなあ。まあ約束だし、行こうか。」

僕は日野悠太。法学部に通う大学二年生。
週に数回、コンビニのバイトをしている。
相沢大介さんは、同じ大学の一つ上の先輩で工学部に在籍。
バイトのシフトがたまたま一緒になって知り合った。
畑違いではあるが、互いに自分が持っていない要素にひかれ、すぐに意気投合。
先週の麻雀で負けた大介さんが、バイト終了後に深夜のドライブに連れていってくれると約束した。

「お邪魔しまーす。あこれ、僕から差し入れです、どうぞ。」
「アホ。何が差し入れだ、捨て弁じゃねえか。」
「へへ、本命はこっちですよ。いつものジョージア、ちゃんと買ってきましたから。」
「おうサンキュー。じゃ、出発。」

大介さんはいかにも工学部らしく、車が唯一の趣味。
昔流行ったS14シルビアなる、中古の改造車を格安で最近購入した。
どちらかと言えば普通のオタク系だが、ハンドルを握ると性格が変わるらしい。
僕はオカルト好きで、いわゆる心霊スポットを巡るのがマイブーム。
二人とも深夜の活動がメインゆえ、今ではまるで兄弟のような親密さだ。

パイパスから脇に逸れ、車一台がやっと通れるかという狭い山道を進む。
数十分後、漆黒の闇にトンネルが姿を現す。
車を停め、僕はスマホを、大介さんは懐中電灯を片手にトンネルを歩く。

「ああ、いいっすねえ、このボロボロの内壁が醸し出すホラー感。こりゃ絶対いますよ。」
「そっか?俺は特に怖いとは思わんなあ。むしろ警察の方が怖いわ。」
「もー、これだもんな。あ、そこの天井、斜めに照らしてもらえますか。」
「おう、こうか。」