オリーブの木の下で

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人は自然と共にある。これはゲネの哲学であり生き方そのものである。
いつかゲネの土地を訪問した時に、彼は私に云った「人間はあくまで自然の一部である。サティもそう思わないかい」と。
葉先の尖った皮針形の葉と葉の間に細長い実を付けているオリーブの木をゲネと私はジッと眺めながら話をした。
「このオリーブの実は古代ギリシア社会の反映を支えた交易物資でね。オリーブの実はじつに用途が沢山あるんだ」ゲネは得意そうにオリーブの木について私にいろいろと話してくれた。
「オリーブの木はね、あの様に成熟した実を付けるまでに25年も歳月を要するけど、一度実を付ければ、毎年どっさり地面に落ちて苦もなく人間はそれを手にすることができる……それにオリーブの実は腐りにくい」
「腐りにくい?」
「ああ、果実の皮に付着してる菌類が発行して乳酸で覆われて自然に保存してくれるんだ」
「ずいぶん人間に都合のいい実だね」
ゲネがオリーブの木をこの土地に植えて、今年で30年が経過したらしい。この油脂の多い緑色の実を付ける常緑樹は、古代ギリシア文明に無くてはならないものであったことを彼は何度も口にした。