主人公は米軍のパイロット(イケボ)。市街地上空を飛行中、突然至近距離に現れた大きい
UFOに対してとっさに回避行動をとり、理由を報告したら精神疾患扱いで地上勤務に
されちゃった設定。

バーで知り合ったその優男は、俺の話を黙って聞いていた。
「・・・本当に至近距離だった・・・ああしなければ間違いなく街にも被害が出てたから
判断に後悔はしてない・・・パイロットとして死んだけどな」
イジメにも厳しい訓練にも耐え研鑽努力し続けた結末がこんな不条理とは、誰が想像できただろう? 
いつしかやり場のない気持ちにいきり立ち荒むことすら疲れた男は、カウンターで飲みかけのビール片手に力なく笑った。
・・・いくら相手が聞き上手だからってこれは引くだろう。酔った覚えはないが、気付けばさっき知り合った
ばかりの相手に、話すつもりの無かったことまでこぼしている。まるで口が勝手に動いているみたいだ。キチ〇イ扱いがオチ
だというのに、何やってんだ俺は。「はは。酔っ払いの冗談だ。忘れてくれ」

「・・・知ってるよ。君はイカレてない。・・・本当に飛んでたんだ」そいつは神妙なしたり顔で重々しくうなづいた。
悪い奴じゃないみたいだが、ちょっと変わっていた。
「マスター、ブラッディ・マリーのウォッカ抜きお代わり。・・・意外と美味いなこれ」
トマトジュースじゃねえか。

「いい話聞かせてもらったから、俺もとっておきの話してやるよ」
ジョンと名乗ったそいつは、奇妙な表情で俺を見つめた。