日本のメディアはもう長いこと、視聴者のリテラシーをいちばん低く見積もったところを基準値として設定して、とにかく「わかりやすくする」ということにひたすら腐心してきたわけですね。先日も、とある雑誌のお仕事をお手伝いしたんですけど、「こういうのがいまいちばん面白いんですよ」「いちばん先進的なのはこれですよ」と教えたところで、「うちの読者は、そこまでリテラシーないんで」の一点張りで、結局、今までさんざん出してきた情報を再生産することしかしないんですね。
「ってか、そのリテラシーを更新するために雑誌出してるんだろうが」と、ドヤしたくなるわけなんですが、これって端的に言ってしまえば、メディアの現場の人間が、自分たちのリテラシーの低さを、読者や視聴者のせいにしてるだけなんですよね。で、それが横行した結果、漫然とテレビや雑誌や新聞を読んで、そこに描かれているのが「世界の現在地なんだ」と思い込んじゃうと、もう、ひたすらバカになっていっちゃうわけです。