>>407じゃないけど、>>401のつづき書いた

(リレー小説その2)

 洞窟の奥はヘッドランプの光でも見通せない。湿った地面を慎重に踏み歩いていると、時折頭上をコウモリが飛んで過ぎる。
「本当にここで合ってるんだよな?」
 不安を紛らわせるように、その男はわざと声を張り上げながら奥へ奥へと進む。
 彼が噂の真相に迫ろうと思い立ったのは、勤めていた会社が倒産してしまったことに起因する。
 職は失ったものの、普段から金を浪費する習慣が無かった彼には、しばしの間なら働かなくても十分に暮らしていけるだけの蓄えがあった。そこで再就職までのリフレッシュ期間として、自由気ままに過ごしていたのだった。
 そんなある日、ネット掲示板で横穴についての書き込みを発見する。自宅から車で1時間足らず、暇つぶしにはもってこいだった。
 だが男は、ここに来たことをもう既に後悔しかけていた。
 日頃の運動不足に加え、洞窟の闇がこんなにも恐ろしく思えるだなんて。だがここまで来て引き返すのはどうもプライドが許さず、彼は半ば自棄になりながら暗い一本道を突き進んだのだった。
 だが10分ほど歩き続けた時、彼の足がピタリと止まる。
「……何だ?」
 じっとライトを当てた先を見つめる。そこには自然の洞窟に存在するはずもない、固められたコンクリートのように真っ平な壁面が照らされていた。