ワイが書いたリレー小説

リレー小説(その一)

 大大江戸時代、辻斬りが深夜の市中を我が物顔でのし歩く。
 出会った女は犯して斬る。男は問答無用で斬る。童女は性的虐待の末に掘りに投げ捨てられた。
 その獣(けだもの)が跋扈する中、その人物は涼し気な顔で歩む。左手に壺を提げて歩きながら口に含む。
 溢れた白い筋を手の甲で拭い、空に浮かぶ満月に笑みを向ける。

「良い夜だ」

 やや顔を傾ける。二ッと笑うと黒目が赤く濁り始めた。二人か、と呟いて変わらぬ足取りで大橋を渡る。
 駆け寄る足音を背後に聞いて、人物はくるりと向きを変えた。太鼓橋の頂点に立つ。頭上には綺麗な満月が白く輝いていた。