バーチャル編集長のクリエーターズ・ハウス【3】

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2021/11/01(月) 21:33:15.41
・作家志望が集うスレです!
・議論、雑談などを通じて、創作法、作品設定などについての認識を深め、
 個々人の創作力の向上を目指します!
※個人の人格攻撃は止めて下さい、不毛ですから。

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※前スレ
バーチャル編集長のクリエーターズ・ハウス【2】
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bun/1635647651/
567名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 11:46:58.76
ここに上げられたのを読めない

糞だからね
568名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 11:47:07.50
>>565
誤読であっても読んだと言える
569名無し物書き@推敲中?
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2021/11/03(水) 11:47:54.81
>>566
デュマはマンガみたいなもん
570名無し物書き@推敲中?
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2021/11/03(水) 11:50:25.21
この板で大畑に興味あるのって大畑と中島だけなんだよな
必死になってコピペしてるけど誰も読まないし興味もないし評価もしない
571名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 11:53:53.80
デュマは元祖ライトノベル
572名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 11:57:25.56
大畑の自演であることは明らか
573名無し物書き@推敲中?
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2021/11/03(水) 11:59:00.83
>>572
本人だけだろうな、バレてないと思ってるの
574名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 11:59:03.66
中島ってナルシストだから、
そういうことはやらない
自分のことしか興味がない
575名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 12:00:39.21
中島って、うんこ踏ん張ってるような顔してるよな
576名無し物書き@推敲中?
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2021/11/03(水) 12:02:40.20
作家のナルシストは顔の美醜とは関係ない
ハルキだってウンガマ顔だ
577名無し物書き@推敲中?
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2021/11/03(水) 12:04:47.60
バー編の登場で、大畑は中島の付録でしかなくなった
578名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 12:06:45.68
大畑中島編は終了
これからはバー編編
579名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 12:07:48.63
>>563
20年前にその一作だけとか言われても、今読めないことには関係ないだろ
580名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 12:08:09.51
バー編の登場関係ないだろ
大畑って作家諦めたナマポ人でしょ?
581名無し物書き@推敲中?
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2021/11/03(水) 12:09:29.63
>>579
お前は読めるの?素人の文痴文
582名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 12:10:05.15
俺は星新一の作品をほとんど読んだから星マニアだとか言ってる奴だしな。
583名無し物書き@推敲中?
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2021/11/03(水) 12:11:25.00
>>579
俺のリレー(その一)を悪くないって言ってくれた人もいた
それについてはどう?
584名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 12:13:11.32
リレー小説(その一)

 とある高級住宅街の一角に、一際豪奢な造りの邸宅があった。
重厚なあつらえの門構え、そこから奥へと続く木々に守られた小道、さらにその奥に仄見える洋館がその本命の住居であった。
都会であるのに、鬱蒼とした樹木に覆われ、周囲とは隔絶した別世界を形造っている。
憧れると言うよりは、足を踏み入れるのも憚られるような、凛とした空気がそこにはあった。

 その前に、ふと一台の黒色のタクシーが停まった。
中から一人のスーツ姿の男が姿をあらわし、門前の石畳の上に降り立った。
歳の頃は三十手前ぐらいであろうか?
スラリとした長躯と、整った顔立ちが印象的な好男子であった。
男は手に土産物のような袋を下げていた。
そして、躊躇うことなく呼び出しの鈴を押した。

 話は通っていたのか、それに呼応するかの如くすぐに門は静かにその口を開いた。
男はそこから中へ入り、木々の小道へと消えて行った。
その後再び門は何ごともなかったかのように、またその厳めしい口を閉じた。
ありふれた日の午後の出来事であった。
585名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 12:15:33.24
517 名前:583です。[] 投稿日:2021/11/01(月) 12:16:57.13
もう書き込まないと言った『影裏』を紹介したものだが。
つい見ていられなくて書き込みます。

>>584
正直、悪くないと思ったよ。
「木々に守られた〜」は純文学の好きな人が、ついつい書いてしまう文章。でも裏を返すと、三島の世代の小説に親しんでいることが読み取れる。影響をダイレクトに作品に反映させてしまう、その青臭さについては賞レースにかける上で非常なマイナスポイントだが、5chにおいては稀有な水準であることも事実。

「都会であるのに」「ふと一台の黒色のタクシーが」「であろうか?」「スラリとした〜好男子であった」等、緊張が緩んでしまっている箇所も多い。だが、ワイスレで絶賛されている文章や、その後に投稿された書き手の文章よりはよほど好感を持ったよ。

どの作家の文章の続きを読みたいかと訊ねられると、俺は>>253を支持する。瑕疵の多い文章だが、一番純文学について切迫しているのもこの文章。

バーチャルの性格はクソだが、文学的感性は言うほどオワコンではないと率直に思った。ワイスレ含めて、5ch文体のようなものが身まで染み付いているここの書き手に辟易していた俺からすると、相対的に高ポイントをあげたくなる文章。

今度こそもう書き込まないわ。
お昼休みにロムっていたが、時間を無駄にしている感がすごい。
586名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 12:17:02.14
>>585
俺は>>584を支持する。

直し忘れていた
587名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 12:19:01.37
マイナスのことも一杯書いてあるのが公正な証拠だな
588名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 12:24:25.61
お前らに、こういう風に細かく批評してもらえる文章が書けるか?

良かった、面白かった、つまらなかった、語句の訂正だけじゃなく
589名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 12:30:13.11
293名無し物書き@推敲中?2021/11/01(月) 05:21:47.65
>>253
バーチャルにしてはがんばったみたいだが無駄の多い文章だな

>とある高級住宅街の一角に、一際豪奢な造りの邸宅があった。
行頭の「とある」はいらんな。木々に囲まれた洋館が豪奢か? 荘厳のイメージなんだが

>重厚なあつらえの門構え、そこから奥へと続く木々に守られた小道、さらにその奥に仄見える洋館がその本命の住居であった。
あつらえと門構えが意味の重複だな。書くなら重厚な門構えでいいな。そこから先の説明もダラダラしている
 重厚な門を抜けると木々に挟まれた小道があり、その奥に威厳漂う洋館があった。
このくらいの説明で十分。付け足すほど蛇足に思える。独立した小説とは違うんだし

>都会であるのに、鬱蒼とした樹木に覆われ、周囲とは隔絶した別世界を形造っている。
>憧れると言うよりは、足を踏み入れるのも憚られるような、凛とした空気がそこにはあった。
これも反復ぎみなんだよな。木々に守られた小道があるんだから、外観はそうだろうよ
それに邸宅のある場所が高級住宅街と書いてある。同じような内容が続くとだるい。単品の小説ならブラバ案件だな

>歳の頃は三十手前ぐらいであろうか?
ここは人称ブレだな。地の文は三人称だろ。なんで疑問符なんだ? 一人称と間違えてないか、ここ

>男は手に土産物のような袋を下げていた。
>そして、躊躇うことなく呼び出しの鈴を押した。
小説の形態なら提げるだろ。辞書を引けばすぐにわかる。呼び出しの鈴も妙な言い回しだな。呼び鈴でいいだろ

どうにも内容に動きがなくて怠いな
高級住宅街の一角にある豪壮な邸宅に好青年が訪れたってだけの話だよな
バーチャルが大好きなフックはどこにあるんだ? 当たり前の光景にしか見えないんだが
高級住宅街の一角に土地だけは広いが貧相な家が建っていたとかなら面白い展開になるだろ
邸宅は今のままで古ぼけた自転車に乗って現れた老婆が呼び鈴を押して中に招かれると不思議に思うよな?
その後の展開が気になるし、それらがフックじゃないの。バーチャルはリレー小説の主旨を理解していないのかもな
590名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 12:34:44.08
好感は評価ではないな
好きな文体だったってだけ
批評なら>>589だろ

バーチャルは自分に不利になるものを
わざと無視する癖があるよな
591名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 12:35:50.25
>>580
せやで
2021/11/03(水) 12:39:58.60
可もなく不可もない文章だな。
スポーツでもそうだが、実力を推し量るには或る一定の幅や長さが必要なわけで。
確かに、ほんの数行でも不味いなという文章はある、だがそんなのは論外だろう。
593名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 12:42:08.91
>>588
このまま一個の作品として最後まで書き切ったら認めてやる。
冒頭だけでは評価の対象にならない。添削の材料にはなるが。
2021/11/03(水) 13:01:38.09
別件だが、安易な「比喩が分からない」という感想は三流だと思う。
芥川賞選考委員にもこの手の感想を漏らす輩がいるからその点気を付けた方がいい。
595名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 13:41:17.46
>>593
別にお前みたいなカス素人に認めてもらいたいとは思っていない
596名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 13:46:10.04
お前らって大畑以下なんだな
597名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 13:47:44.46
>>596
お前は以上なの?
598名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 13:50:45.01
だって大畑だもん
599名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 13:50:45.15
>>589
>歳の頃は三十手前ぐらいであろうか?
ここは人称ブレだな。地の文は三人称だろ。なんで疑問符なんだ? 一人称と間違えてないか、ここ

俺的にはブレていない
俺はシーンを視覚的に頭の中に浮かべながら書いているからだ
このリーマンを頭の中で見ている訳だ
600名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 13:52:18.70
>>597
余裕で
601名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 13:52:56.24
人称ブレってより、語り手設定を意識してないんだろ
初心者にありがちな特徴
あと二流以下のエンタメ作家
2021/11/03(水) 13:53:03.82
>>599
サラリーマンじゃなくてもスーツ着ることはあるぞ
お前、スーツ持ってないの?
603名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 13:54:41.43
これは文学的には何の中身もない
エンタメ小説を文学風に書いたというだけだ
文学ぽいテクを使って
604名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 13:55:23.80
創作文芸板で書けるコテは中島さんしかいないんだよな
605名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 13:55:45.12
三人称の地の文で「歳の頃は三十手前ぐらいであろうか?」と言われても「知らんがな」「おまえが決めろや」としか言いようがないな
まあだいたいここらで読むのをやめる
606名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 13:57:21.27
>>602
作者の俺がリーマンを想定しているからそう書いた
ただの揚げ足取りだな
じゃあ、青年と訂正する
607名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 13:58:27.38
>>605
じゃあ、お前のサンプルを見せてくれ
どのくらいの腕か?
608名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 13:59:03.96
>>603
中身からっぽでも文章がよければそれだけでも読んだ甲斐ってのを感じられることもあるが、これは文章も似非だからどうしようもないな
2021/11/03(水) 13:59:20.47
>>606
バー編、スーツは買っとけよ
結婚式や葬式で必要だからな
610名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:01:10.13
>>601
方法論の違いじゃないかな
俺は視覚的、カメラ的な書き方をしている
611名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:01:28.40
見せてくれと言えばみせてもらえると思うその思考回路は改めたほうがいいな
ダメ元と認識してただ言ってみただけならよいが
612名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:01:38.47
>>608
じゃあ、お前のサンプルを見せてくれ
どのくらいの腕か?
613名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:05:53.57
結婚式や葬式なら礼服一着あれば十分
614名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:06:07.90
>歳の頃は三十手前ぐらいであろうか?

これは、人格的カメラがそう思ったのだ
なぜ、この表現になったのかわからない
でも、一人称ではないよな
615名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:06:17.07
見せてくれと言えばみせてもらえると思うその思考回路は改めたほうがいいな
ダメ元と認識してただ言ってみただけならよいが
616名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:09:34.22
>歳の頃は三十手前ぐらいであろうか?

地の文が登場人物の心理描写になってるときならいいんだがな
唐突に持ち出す奴が多くて「知らんがな」「知らんがな」と言ってるうちにちんこを弄り出すパターン
617名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:11:04.50
人格的カメラの一人称だな
それを三人称の中に放り込んである
普通に三人称だと平板になるからかな

つーか、もはや人称ではなく別の基準だ
618名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:13:22.80
人称ではなく「カメラ」なのだ
人格も含んだね
2021/11/03(水) 14:16:53.85
つまり誰とは言わないけど見えない語り手がいるってことだな
作者自身が登場人物の行動にツッコミを入れるみたいな
620名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:17:51.88
この「人格的カメラ」の統一性によってブレない
俺自身が機械に近くなっているってことだ

それによって以下のことが可能になる

>>592
>可もなく不可もない文章だな。
621名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:23:05.45
>歳の頃は三十手前ぐらいであろうか?

「人格的カメラ」からすると、わからない物を断定してしまうと
逆にそれは主観になってしまう
622名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:26:00.28
衰退国日本
2021/11/03(水) 14:28:53.86
バー編の言いたいことようやくわかってきた気がするわ。
昔、久美沙織の小説版『MOTHER2』読んだ時、登場人物の心情をそのまま描写するというよりも、まるで作者がその場にいて、起こったことを作者がどう感じたか語っているように感じたんだよ。
そういう意味で言っているなら、三人称神視点とも一人称とも違うかなり独特なスタイルだと思うよ。
624名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:29:51.39
まぁたらんたが湧いてる
お前、昔のゲームやりたいならswitch買ってダウンタウンしてこい
625名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:30:16.93
>>624
ダウンタウン→ダウンロード
松本が混じった
626名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:32:18.06
「人格的カメラ」=意識を持ったカメラで
描く対象を頭の中で見ている訳だ

その効果は、読者の中にも、
作者が見ているのと同じ像が再現されるということにある
カメラの性能に応じて
627名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:36:23.75
極論
ちびまる子ちゃんの間に挿入されるキートン山田のナレーション
628名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:36:39.81
>>623
視覚だけではなく、五感全部について言えるよな
そういうセンサーを持った人格カメラ機械に作者自身がなるってことだ
すると、リアル感、ライブ感がより高まる

まだ仮説だが
629名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:40:25.85
簡単に言えば、「カメラ」という考え方
それは、まだちゃんと措定(そてい)できていないけどね
630名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:43:56.97
映像ではないから、カメラに意識がないと文章には移せないんだよ
文章で撮る訳だからね
でも、機械なんだ
631名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:46:36.18
なぜ、そういう進化が必要かと言うと
映像と互角に戦うためだね
632名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:51:53.08
これは、まあエンタメの方法論だ
文学で書き手が機械では、おかしなことになる
633名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 14:56:01.06
辺りには硝煙の臭いが立ちこめていた。

人格カメラ機械は、情景をこう撮ったのだ
634名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 15:03:01.71
だから、このカメラの性能が問題になる

カメラと言っても、視覚だけではなく
聴覚、嗅覚、味覚、触覚
全てを兼ね備えた「センサーカメラ」だ
635名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 15:04:27.44
感じる力だけではなく、文章に移す性能も
636名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 15:08:02.40
書く対象のイメージング性能、それを文章に移す性能
637名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 15:35:51.41
 東京都大田区の蒲田駅付近は、二十三区の中でもかなり治安の悪い場所だといわれている。しかし実際その辺りに住んでみると、いわれているほど酷いとは思えない。ヤクザも外人もジャンキーもバイヤーも見かけないし、そういったものを期待していると肩透かしを食らう。東京なら歌舞伎町が一番危ないと思う。僕はそこで、酔った勢いで黒人からマルボロ・メンソールの空き箱に入った煙草の形にまとめた大麻を買ったことがある。
 酔った勢いといえば、蒲田駅西口の二十四時間営業の居酒屋で深夜友人と呑んでいたら、後ろのテーブルに座っている若い男の集団があまりにもうるさくて切れてしまい喧嘩になりそうになったことがある。僕は酔ったら性格が豹変する性質で、これまでにも色々と困ったことや危なかったことがたくさんあったが、喧嘩は一度もしたことがないし、そういうことを求めてもいない。背も低く力もないので負けることは確定しているし。ただアルコールが入ると豹変するだけだ。
 深夜一人で蒲田駅周辺をぶらついても、一度も危険な目に遭った試しはない。若い女性が一人でいるのもよく見かける。ではなぜ治安の悪い場所だといわれるのだろうか。元々そこに住んでいた何人かの人間に話を聞いたことがある。決まってこう言った。
「昔は酷かった」
「昔に比べると、今はマシだ」
 僕は元々の住人ではないので、昔のことはわからない。
 そこで僕は考えた。蒲田地区の今の現状をまとめれば、偏見がなくなり、そうやっていわれることはなくなるのではないだろうか、と。

「どうでしょうか?」
 蒲田駅東口前にあるドトールの二階奥で、僕たちは見合うようにして座っていた。僕の原稿を読み終え、それをテーブルの端に置き、生クリームの乗ったミルク・ティーをストローで飲む。僕もそれに習い、ブラックのアイス・コーヒーをストローを使わずに直に飲む。
「今回は自信があります」という僕の言葉を遮るように、「駄目駄目、駄目すぎるわよ」と言った。少し声が大きかったせいで、まばらに座っていた客が一斉にこちらをちらりと見た。
638名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 15:37:28.92
 膝までの深さがある沼をずっと歩き続けていた。いや、歩いているつもりになっていた。沼は進めば進むほどより深くなり、気がつけばずぶずぶと、肩のあたりまで沈み込んでいた。しかし、僕はそれでも歩くのをやめなかったし、もうすぐにでも向こう岸に辿りつけると思っていた。そんな僕に主治医ははっきりと、「入院したほうがいいね」と言った。僕は静かに頷いた。そこでようやく僕は歩くのをやめた。



 入院は決まったが、かかりつけの病院には入院施設がないので、家から数駅離れた病院に入院することとなった。完全禁煙なのが少し気にかかったが、そこは仕方がない。次の日――つまり二月七日に入院することとなった。そこは有名な作家も入院したことのある、由緒正しい――といっては語弊があるかもしれないが――精神病院だ。

 リュックに三日分の着替えを入れ、肩からかけるビジネス・バッグに洗面道具や煙草を詰め込み、アパートを後にした。電車で揺られること二十分、そこから徒歩で十分ほどのところに病院はあった。かなり大きい。僕の地元の市民病院よりも大きかった。受付に、かかりつけの病院でもらった紹介状を提出し、しばらく待つこと十分、白衣を着たひょろながい男性が僕に挨拶をしてきた。
ケース・ワーカーと名乗った。しかし、僕にはケース・ワーカーがなにをする人なのかはわからない。案内されるがまま病室に入る。ケース・ワーカーに、これまでの経緯について簡単に話をした。そこから家族構成など話が飛び、面談は三十分近く経っていた。この時点では、まだ僕が入院するかどうかはわからない。ケース・ワーカーがこれまでのことをカルテにし、また待たされること十分、あご髭を蓄えた、小太りの若い医者が僕に挨拶をした。どうやらこの病院での僕の主治医に当たる人のようだ。
 ほとんど話をすることなく、主治医は「入院しましょう」と言った。そして、流れるように担当の看護師が二人やってきた。それからのことは簡単に述べる。検尿し、採血し、心電図をとり、三階へエレベーターであがり、二重の扉の間に位置する面会室にて荷物検査をし――当然持ってきていた数箱の煙草は没収され――六人部屋の入って左側、真ん中のベッドが僕にあてがわれた。荷物を置き、ベンチ・コートを脱ぐと、汗ばんでいた長袖のシャツがひやりとした。よし――と心の中で呟いた。今日から入院だ。時刻は昼の十一時。
639名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 15:52:46.01
エッセイだな
640名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 15:55:47.87
 人類の発達は文明の発達であり、それに対して僕はただただ感謝の言葉を述べるしかない。しかし、誰に対して言えばいいのかわからないので、とりあえずありがとう、と心の中でつぶやいた。
 八月に入り、本格的な暑さが続いている。窓の外からは、必死そうな蝉の鳴き声が聞こえる。当然学校は夏休みなので、一日中涼しい部屋の中でだらだらとできるけれど、残念なことに三年生なので、受験勉強をしなければならない。しかし、そんなものにやる気が出るわけも無い。しなければならないけれど、やらないのだ。
 屋外は灼熱地獄だが、室内は過ごしやすい温度を保っている。エアコンからは冷たい風が流れ、それだけでは足りないので、扇風機もセットしている。そんな快適な部屋でアイスをかじりながら、冷蔵庫で冷やしておいたアイスコーヒーを飲む。場合によっては、父親のビールを拝借するのも悪くない。
 暑いから夏が嫌い。ただそれだけだ。海へ行ったってプールへ行ったって、水に入っていれば冷たくて気持ちいいけれど、一歩水から上がればただ単に暑いだけだ。と考えたところで、行く相手がいなかっということに気がついた。
 そこまで暑さを感じない春頃は、バイトの金で買った原付に跨って色んな所へ行ったりもしたけれど、夏に入るとさすがにそんな気力も無くなってしまい、日々がただ過ぎるのを、涼しい部屋でごろごろしながら待っていた。

 高校の夏休みが始まって一週間経ったある日のこと。僕はやはり快適な部屋で、氷が浮かぶアイスコーヒー片手にインターネットに勤しんでいた。いつもなら静かだけれど、今日は弟の誠が友人を連れてきているようで、一階から騒ぐ声が聞こえてくる。その音の中に、階段を昇ってくる足音が入ったのを感じ、僕は慌ててパソコンのモニタの電源を落とした。母親だろう。「勉強しろ」と言われる前に、パソコンの横に乱雑に置かれていた、志望大学に絶対受かる! と表紙に書かれた参考書を手に取った。そのうたい文句が本当かどうかは、読んでいないのでわからない。たぶん永久にわからないだろう。
 母親がノックもせず扉を開けた時には、既に僕は参考書を睨みながらノートを取る、受験生へと変貌していた。
「ちょっといい?」
641名無し物書き@推敲中?
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2021/11/03(水) 15:57:41.65
つまない自己顕示欲だな
642名無し物書き@推敲中?
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2021/11/03(水) 15:59:13.22
文学賞で認められないからと言って
ここで、ゴリ押し、押し売りはやめたまえ
643名無し物書き@推敲中?
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2021/11/03(水) 15:59:56.57
 十二月に入ると街にはクリスマスソングが流れ、カップルが自分たちがどれほど愛し合っているかを見せ付けるかのように、堂々と町中を歩いている。僕はその間、必死で求人誌を睨みつけながら、新たな仕事を探していた。当然一緒に過ごすような女性はおろか、男友達すらいない。
「こんな仕事こっちから辞めてやるぜ」と勢いよく辞めたのはいいけれど、世の中が百年に一度の不況に苦しんでいるという状況を忘れていた。さすがに、高校を卒業して以来まともな就職もしたことが無いような僕がまともな仕事を見つけられるわけでもなく、毎日求人誌を見ては電話をかけ、を繰り返していた。
 言い方は悪いけれど、妥協すればこんな田舎でも仕事はいくつもあった。まだ僕は二十歳を過ぎたばかりなので、年齢的にも全然問題が無い。それでも、これまで楽をしてきたせいなのか、仕事を選んでしまう。お陰で全く見つからない。
 と半ば諦めかけていたその時、ふと一つの求人が目に止まった。職場は、僕が暮らすアパートから歩いて十五分程度の所にあるらしい。しかし仕事内容は書かれていない。「パソコンが使える方急募!」とだけ書かれた怪しげな求人。この地域でのどのバイトよりも時給が高い。法律スレスレのようばバイトじゃないのか? と心配になったが、時給は高いわ近いわという好条件に負けた僕は、さっそくその番号にかけた。
「あー、はい、もしもし」
 何度か呼び出し音が鳴り、若い女性の面倒臭そうな声が聞こえた。会社の名前すら言わない。怪しすぎる。僕は電話用の声色を使い、丁寧な声を出した。
「あっ、すみません。求人を見て電話させていただいたのですが」
「おー、バイト? へぇ、求人とか出してみるもんだねえ」
 僕はまるでため息をつくかのように、「はあ」と声を出した。何というこの軽さ。僕が今までやってきたどの仕事にも無い怪しさがあった。と同時に、なぜかそれが魅力的に感じてしまっていた。
「まー、とりあえず今から来てよ。一応履歴書持ってきてね。住所わかる?」
「あっ、はい、大丈夫です」
 言うなり電話は切れてしまった。別の意味で大丈夫なのだろうか? 不安な気持ちを打ち消すかのように求人をもう一度眺めるも、書いてあることは変わらない。パソコンが使える方急募!
644名無し物書き@推敲中?
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2021/11/03(水) 16:00:23.78
ワナビ廃人だな
645中島英雄
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2021/11/03(水) 16:01:31.55
 考えていても何も変わらないので、事前に書いておいた履歴書を手に取り、求人に書かれた住所を元に行ってみることにした。バイトだしわざわざスーツを着なくてもいいだろう。あの軽さだし、普段着で大丈夫。

 あまりの寒さに思わずまわれ右をしそうになる体を抑え、クリスマスソングが流れる街中を歩いて行く。どこもかしこもカップルカップル。幸せそうな顔をして、腕を組んで歩いている。人の気も知らないで! と憤りを感じたが、知らないのも当然だろう。諦めて歩く。
 目的地である簡素な住宅街にたどり着いた頃には、寒さはどこかへ消し飛んでしまっていた。額には汗がにじみ、少しばかり息が切れている。この辺りのようなのだが、いくら見渡してみてもただ住宅が立ち並ぶばかり。途方に暮れてしまったので、電柱に寄りかかり、持ってきておいた煙草に火をつけた。煙とも吐息ともつかない白いもやが空へと昇っていき、何も無かったかのように消え去るのをただ静かに眺めていた。吸い終わった煙草を靴底でもみ消し、体を起こすと、面接はまた今度でいいか、なんていう甘い考えが頭の中を過ぎった。そのままぼんやりと空を眺めていると、突然頭に大きな衝撃が走り、目の前が真っ暗になった。

「いやぁ、頭を狙ったつもりは無かったんだけどね」
 目を開けると知らない天井が見えた。若い女性の顔が、天井を隠すかのように僕の視界に飛び込んできた。申し訳無さそうな顔をするわけでもなく、僕のポケットから煙草を取り出し、火をつけた。
 声を出そうとすると、頭に痛みが走った。
「動かないほうがいいんじゃない? 一応頭冷やしてるから。血は出て無いよ」
「そうですか、ありがとうございます」
 女性は僕よりも二三年上に見える。薄茶色のロングヘアーをうっとうしそうにかき上げながら、煙草を持っていない方の手で、僕の頭に乗っていたタオルを裏返した。トレーナーにジーンズというお洒落とは程遠い格好ながら、僕は少し見惚れてしまっていた。細く伸びた指の先には、似つかない物が赤く燃えながら挟まっている。
「多分ですけど、それって僕の煙草ですよね?」
「別にいいじゃん、一本ぐらい」
646中島英雄
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2021/11/03(水) 16:03:10.06
 そうやって微笑まれると、何も言い返せなくなってしまう。気持ちの悪い沈黙がこの部屋を漂い続けていた。じっとこの女性を見つめているのもおかしいと、寝たまま部屋を眺めて見た。六畳ぐらいの広さをしたワンルームのアパート。開いたままの扉の向こうには二メートルほどの廊下があり、壁際に小さな台所がある。廊下の奥は玄関になっている。トイレや風呂はここからでは見えない。部屋の中には本棚と小さなテーブル、その上に電源が入ったままのノートパソコンが光っていた。放置してから時間が経ったのだろう、スクリーンセーバーが画面に模様を描いている。
「じゃあ、痛みが治まったら早速働いて貰おっか」
 吸い終わった煙草を灰皿でもみ消しながら笑顔で言う女性をただ見つめていた。持ってきていた履歴書はポケットに入ったままだ。自己紹介も何もしないまま働くのだろうか?
「僕にはもう何がなんだか」全然わからないんですが「どういうことでしょう」
「仕事しに来たんでしょ?」
 女性は僕の煙草を一本取り出し、火をつけながら言った。僕は間抜けな顔でそれを眺めている。
「え? 違うの?」
「いやいや、面接しに来ましたよ」
「よかったぁ」
 僕の心臓がどきりと動いた。決して女性を魅力的だなんて思ったわけではない……はず。それだけで全てを許してしまいそうな気持ちにな……っては駄目だ。
「仕事は簡単なのよ。パソコンをちょちょっと触るだけ。……さすがにパソコンぐらいは触れるよね?」
 求人にも、パソコンが使える人、と書いてあった。僕にだって使うぐらいならできる。
「はい、大丈夫ですよ」
「じゃあ、私ちょっと煙草買ってくるからさ、適当にパソコンいじっててよ」
 そう言って玄関へ駆け出す女性の後姿をただ呆然と見つめていた。頭の中では聞きたいことは沢山出ているのにも関わらず、口は思うように動かない。
「あっ、あの」
 ようやく言葉を出し、女性の歩みを止める。しかしそれ以上の言葉が何も出ない。女性と目が合い、しばらく時間が止まる。何を言えばいい? 聞きたいことは山ほどある。
「山下陽平です!」
 なぜか名前を叫んでしまった。女性がぷっと笑いだし、恥ずかしさのあまり顔が熱くなる。女性との会話に慣れていない証拠だ。
「あ、あの、えっと、お名前は?」
647中島英雄
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2021/11/03(水) 16:04:10.86
 いたずらを覚えた子供のようににやにやと笑い、「内緒」と言った。突然静かになった部屋には、閉まりきれていない水道の蛇口から漏れる水滴の音以外何もしなくなった。重たい空気を取り払うように窓を開け、外を眺めたまま煙草に火をつける。風の冷たさに火照った顔が冷やされる。ノートパソコンは未だにスクリーンセーバーが模様を描き続けていた。
 女性はパソコンをちょちょっと触るだけ、と言っていた。誰にでもできる仕事なのだろうか。それにしては時給が高すぎる。それに、ここはどう考えても会社には思えない。では女性が一人でやっているのだろうか? 最近流行りの在宅ワークというものだろうか。しかしあれはかなり単価が安いと聞く。時給を払ってしまうと確実に赤字になるだろう。
 様々な考えが頭の中を過ぎる。いつの間にか煙草は指近くまで燃え尽きていた。それをテーブルに置いてある灰皿でもみ消すと、ノートパソコンが突然ポーンという音を立てた。スクリーンセーバーが消え、『新着メール 一件』という文字が現れた。
 これは開いてもいいのだろうか? 女性の個人的なメールかも知れないし、仕事の内容が書かれたメールかも知れない。見るのはやめておいた方がいいんじゃないか? という理性に反抗するように、マウスを握った指先は、メールを開くボタンをクリックしていた。見てまずいものならすぐに消せばいいじゃないか。なあ?
『おかあさんのびょうきをなおしてください  やなせかな』
 メールの内容を見たものの、何が何だかわからない。開くのはまずかったのだろうか? 迷惑メールの類なのだろうか? 何もかもがわからない。この、やなせかなという人がどういうつもりでこんなメールを出したのか、考えても答えは出ない。メールを閉じようとクリックした瞬間、また小さな音を立てて、画面にウインドウが新たに現れた。
『はい・いいえ』
 ウインドウには、はいといいえという二つのボタンがあった。メールを削除する際に出る確認のボタンだろうか? それにしては何の説明も無い。無闇にクリックするのは良くないのかもしれない。しかし僕は何かに吸い寄せられるかのように、はいをクリックしていた。次は小さな音ではなく、短い音楽が流れた。そしてまた新しいウインドウが立ち上がった。
『おめでとうございます! やなせかなの願いは叶えられました! 現在叶えた願いは七千三百八十一です! 目指せ一万!』
648名無し物書き@推敲中?
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2021/11/03(水) 16:05:23.06
バーチャル渾身の冒頭文を余裕でぶっちぎったな。
649中島英雄
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2021/11/03(水) 16:05:41.18
 どうも削除の確認では無いようだ。新手のゲームか何かだろうか。しかしそれにしては何の説明も無さすぎる。もしかしたらやってはいけないことをやってしまったのかもしれない。逃げた方がいいのだろうか。いや、謝るべきだろう。
『宝くじが当たりますように! 篠原和博』
 突然のメールにびっくりしてしまい、思わずその反動でメールをクリックしてしまった。するとまた「はい・いいえ」のウインドウが開き、僕は当然のようにはいをクリックした。短い音楽が流れ、同じようにおめでとう! の文字が現れた。
「驚いたでしょ?」
「ふはあああ」
 耳元にかかる暖かい息と女性の声に反応して、変な声が出てしまった。また僕の顔が熱くなるのが自分でもわかる。振り返ると、女性の顔が十センチ先にあった。どこを見ればよいか分からず、とりあえず目をきょろきょろと動かした。風に揺られる髪の毛が、僕の頬に突き刺さってこそばゆい。目は僕をしっかりと捉え、樹液に群がる虫のように、僕の意識は薄く口紅を塗った唇へと吸い寄せられるようにして近づいていき……。
「こら!」
 頬を掌で叩かれた。別の意味で僕の顔は赤くなっているだろう。ようやく現実に戻れた僕は何とか弁解する言葉を探そうとするが、何も出てこず余計にわけがわからなくなってしまった。全身に気持ちの悪い汗が浮かび、喉は急速に乾いていく。
「あ! こんな簡単に許可しちゃったら駄目じゃない」
 女性は僕の体を押しのけるようにパソコンの前に座り、キーボードをカタカタと軽快に叩いた。その間にもメールは留まること無く届いてくる。それを捌きながら煙草に火をつける姿が様になっていた。
「これは……何ですか?」
 その姿に見惚れてしまっていた僕がようやく声を出すも、女性の耳には入っていないようだった。未だ忙しそうにキーボードを叩いている。
「これは……何ですか?」
 もう一度声を出すと、ようやく女性の手が止まり、顔が僕の方へ向いた。少しどきりとする。
「まあ、仕事をするなら知っておいたほうがいいわよね」
 まるで独り言のように呟き、突然真剣な顔に変わった。また僕は少しどきりとした。
「これが仕事なんですか?」
「信じる信じないは別にして言うけど、これって人々の願いが届いてきてるんだよ」
650中島英雄
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2021/11/03(水) 16:07:40.12
 これは夢なんじゃないか、と僕は思い切り自分の頬をつねってみた。ただ痛いだけで少し涙が溢れた。それを見た女性が小さく笑った。
「残念ながら夢じゃないよ。何でもかんでも簡単に許可しちゃったら駄目。厳選しないと」
「あなたは神様ですか?」
 馬鹿にしたような顔で僕を見て、盛大に笑う女性をただぼんやりと眺めている。女性が開けた煙草に手を伸ばすと、ぱしりと叩かれた。ちょっと痛い。
「似たようなもんかな?」
 何かいたずらを考えたような子供の笑みを浮かべる。思わず僕も微笑み返した。
「神様がこんなところで何をしてるんですか?」
「嘘よ。仕事仕事。結構神経使うんだよねぇ」
「頭の病気か何かでしょうか?」
 拳で頭を思い切り殴られた。ものすごい痛い。
「だから信じる信じないはいいんだって。あ、いいのがあった。山下陽平君の願いが届いてるよ」
 この女性が僕の名前をどこで知ったのかはわからないが、知っていたところで何の不思議も無い。相手の名前はおろか住所も知らないような業者から当たり前のように郵便物が届いているこの時代、個人情報などと言う言葉はほとんど存在しないと言ってもいいだろう。
「ん? 目の前の女性とセックスがしたい? 馬鹿じゃないのお前!」
 笑いながら僕の背中をばしばしと叩く。痛い。まあ、これもトリックだ。年頃の男が、年頃の女を目の前にしてそんなことを思わないわけがないのだ。それに僕はそんなことを願った覚えは無い。今の願いはただ一つ、家に帰りたい、それだけだ。フッ。
「オッケーして欲しい?」
 俯き加減の僕の顔を覗き込むようにして、淫靡な笑いを浮かべた女性がマウスをもてあそぶようにいじっている。はいを押せばどうなるんだろうか。恥ずかしながら僕は、この年になってそういうことはおろか、彼女さえできたことが無い。それがこんなクリック一つでどうにかなってしまうものなのだろうか。僕にはわからない。にわかに信じたくは無いけれど、それが本当だったらどうする? なんの準備もできていない。こんなことだったら一応薬局でも行っておくべきだったか? いや、準備万端過ぎるような男も、逆に気持ち悪がられるかもしれない。
651中島英雄
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2021/11/03(水) 16:08:09.09
しかしそうなれば最悪の可能性もありうるのだ。今の僕に子供を養うことはとてもじゃないけどできない。仕事にだってありつけていない。自分で精一杯なのだ。ということは日を改めてまた、となるか? いや、それなら二人で買いに行けばいいんじゃないか?
「当然ながらいいえをクリックしまぁす。一生懸命何かを考えている山下陽平君は気持ちが悪いでぇす」
 女性はけらけらと笑っている。
「そ、そんなクリック一つで何でもできるんだったら、何でもできるじゃないか!」
「何でもできるってわけでもないけどね」
「詐欺だ! トリックだ! こんなのに僕はだまされないぞ! 何を買わすつもりだ? 壷か? 絵か? そんな金は無いね! 今日の晩飯だってどうするかっていう状況なんだ。ローンだって組まないからな!」
 一気にまくし立てて息を切らせている僕に、女性が一本煙草を差し出してくれた。一応お礼を言い、火をつける。
「時給は弾むからさ、やってみてよ。ほとんどいいえをクリックすればいいだけだから。あ、またメールが来た」

 僕はそのバイトをやることになった。といっても、こんなの信じているわけではないし、この女性に魅力を感じたわけでもない。単純に時給が良かったから、それだけの理由だ。仕事内容もメールを見てクリックするだけだし、その間はジュースを飲んでいても読書をしていても、煙草を吸ってもいいんだ。こんなにいいバイトが他にあるか? いや、無いね。僕はほぼ毎日、朝から晩までこのバイトをした。僕が仕事をしている間、女性はこの部屋にはいない。何をしているのかもわからないし、べつに聞こうとも思わなかった。僕にそういう雑務を任せて、家でゆっくり休んでいるんだろう。たまにサボってないかどうかだけを確認しにくる程度で、会話もあまりしない。一度、その乱暴な喋り方どうにかしたほうがいいですよ、なんてうっかり口を滑らしたばかりに、頬に赤い手形がついたこともあった。それから怖くて話し掛けることもできなくなった。
652中島英雄
垢版 |
2021/11/03(水) 16:08:44.00
 そして部屋にやってくる頻度も徐々に減って行き、ここ数日はまったく姿を見ることもなくなっていた。最初こそうるさいのが居なくなったと喜んでいたが、何にも無い部屋、代わり映えのしない仕事。徐々につまらなくなってきたんだ。断じて寂しいとか会いたいとかそういう気持ちなんかじゃない。
 僕はそんな気持ちを押し殺すように、無理やりメール作業に没頭した。しばらくするとその作業を楽しめるようになった。軽い願いことならはいにしているため、それによって外の世界がどう変化するのかを知りたいようになってきた。
『日本にゾンビの集団が現れてすごいことになりますように。 長谷川真一』
 思わず僕は吹き出し、なんとなくはいをクリックした。急いでドアの外へ飛び出すと、目の前にはゾンビ映画さながらの阿鼻叫喚の世界が広がった。泣き叫びながら逃げる人々、それを追い詰め人肉を食らう歩く屍たち……。僕は急いでドアを閉め、その願いをキャンセルした。そしてもう一度ドアを開けると、いつもののどかな風景が広がっていた。
 どうやらこれは嘘でもトリックでも無いようだ。うっかり許可してしまっても、キャンセルすれば何事も無かったかのように済んでしまうんだ。今までメールクリックと読書だけという何の刺激も無い日々を送っていた僕は、静かに微笑んで次のメールを待った。
『おねがいです、おかあさんのびょうきをなおしてください やなせかな』
 またこの子からのメールか……。あれから毎日届いている。僕はその願いを叶えた。これでかなちゃんのお母さんの病気は、それまでが嘘だったように完治するだろう。そして神様に感謝するだろう。しかしそれが僕のおかげだとは誰も思わない。それが少し虚しくなってしまった。誰にも感謝されること無く、人の願いを判別していく仕事。あの女性が必死に代わってくれと言うのも頷ける。
 煙草が切れていたのに気づき、僕は部屋を後にした。女性には、仕事の間は部屋から出ないように言われたが、少しぐらいならいいだろう。部屋の鍵はちゃんとしておくし。

 しかし、それが間違っていた。
653中島英雄
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2021/11/03(水) 16:09:24.23
 一カートンの煙草を脇に抱え、太陽の沈みかかった冷たい風の吹く静かな街を歩く。途中煙草に火をつけ、ぼんやりとしながら歩いていると、小さな公園を見つけた。さすがにこの季節では賑わうわけもなく、人一人いない。吸い寄せられるようにそこへ入り、隅にあるベンチに腰をかける。一組の母娘が公園に入ってきた。まだ年端もいかない幼女を連れながら、ゆっくりとブランコに腰掛ける。娘は母親と公園に来ることがそんなに嬉しいのか、と言うぐらいにはしゃぎ、何かと喋りつづけている。それに微笑みながら頷く母親。あのかなちゃんも同じように喜んでいるんだろうか、僕は良いことをしたんだろうか、などと思い耽りながら、煙草を灰皿へねじ込み、公園を後にした。その瞬間、背後で悲鳴が聞こえた。
 目の前で起こっていることが上手く理解できない。母親と娘が悲鳴を挙げながら、何かから逃げようとして、その何かはまるで虫を踏み潰すのように、二人をあっさりと殺した。僕はそれを助けることもできずに、絡まる足を引きずりながら部屋へと返った。息を切らせながらドアを開けると、一人の若い男がパソコンの前に座っていた。
「ここで何やってんだよ!」
 僕の声に振り向いた男は気持ちの悪い笑みを浮かばせ、すぐにまたパソコンに目をやった。届いてくるメール全てにはいをクリックしている。僕は頭が真っ白になりそうになるのをこらえながら、急いでパソコンの電源コードを引き抜いた。しかしパソコンは、何事も無かったようにうっすらと光ながら、次々とメールを受信している。そしてそれを笑いながらクリックしていく男。
男に飛びつこうとした僕の頭に、男は右手に持っていたマウスを叩きつけた。ちょうど女性に物を当てられた部分に当たり、背筋に痛みが走る。僕が痛みにもがいている間に、男は部屋から逃げるようにして出て行った。しばらくして痛みは治まったのだが、この事態をどうしていいかわからない。部屋をうろつきながら頭を回転させ、色々考えようとするが、焦りのほうが勝ってしまう。とりあえず玄関と窓の鍵をかける。
654名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 16:09:31.93
ワイ文芸書籍サロン民。創作文芸板の無法地帯っぷりに震える
655中島英雄
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2021/11/03(水) 16:09:51.56
 僕は以前あの女性から携帯番号を聞きだしておいたことを思い出し、震えながら携帯を取り出し、その番号にかけてみた。近くで着信音が鳴っている。この部屋にいるのだろうか? 音はトイレに近づくほど大きく聞こえてくる。トイレの前で一旦静止し、一度だけ深呼吸をして、勢いよくドアを開ける。あの女性が僕に向かって倒れてきた。衝撃を受けつつ女性を抱きかかえる。その掌に赤々とした血がこびりついた。背中には包丁が刺さっている。ゆっくりと床にへたり込んだ。
 警察に電話をしたところで、信じて貰えないだろうし、殺人事件として取り上げられるだけだ。その前に警察なんかが機能しているかどうかもわからない。次の瞬間、玄関のドアが大きな音を立てて倒れた。同時に外から何人もの男が飛び込んできた。小さな窓からは中年の女が入ってきた。
 男女は何かを叫んでいるが「あいつも殺っちまえ!」、何も聞こえないし「世界は俺たちのもんだ!」もはや興味も無い。「私が一番最初に」いつの間にか「やるんだからね!」涙を流していた。「邪魔だどけ!」僕は床に倒れこんだ。「早くはいクリックしなさいよ」ポケットから煙草を取り出して火を付け、「よーし、俺たちが神様だ!」ゆっくりと煙を吐き出した。「ぎゃははははははははははは!」仕事が見つかりますようにっていう願いも「全ての願いを許可しろ!」許可されたんだろうか?
 世界は終わるだろう。僕は煙草を近くにあった空き缶に入れ、。男女の笑い声と外から聞こえる悲鳴を聞きながら目を閉じた。
「ぎゃははははははははははは!」
 全てを無かったことにするには、受信ボックスの設定を……


 完
656名無し物書き@推敲中?
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2021/11/03(水) 16:13:12.27
れつだんの文章はかなりいいよな。
ただ、バーチャルのいうエンタメ三人称カメラ視点とはかけ離れている。
まあ、いわゆる純文ではあまり使われない手法だからな
657名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 16:18:45.14
>>588
>こういう風に細かく批評してもらえる文章が書けるか?

書けるだろ誰でも
そもそもただ>>585はの感想じゃん
それより奥義を極めたと称する作者が「影裏」をエンタメと間違えたり「山シゲ」みたいな文章を書くからバカだと思われるんだぞ
658名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 16:20:56.75

そもそも>>585はただの感想じゃん
659名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 16:22:29.45
れつだんって純文学なの?
660名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 16:25:03.87
バーチャルはなんでコテ外すんだよ
いちいちレスを読まなきゃいけないから面倒臭えんだよ
「編集長」ってのが恥ずかしくなったのか
661名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 16:37:15.19
>>657
どう思われようと結構
お前が小説で認められることはない
断言する
662名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 16:39:27.36
>>657
じゃあ、お前のサンプルをここに貼れ
どう評価されるか見ていてやる
663名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 16:41:07.38
>>661
>断言する

バカ特有の物言いだな
根拠もなく感情だけで言い切る
664名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 16:42:45.77
>>657
>「山シゲ」みたいな文章を書く

「山シゲ」は何も恥じるところはない

>「影裏」をエンタメと間違えたり

一文だけでは、わからないな
文学というのはコンテクストなので
665名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 16:43:10.35
>>662
またバカなこと言い出したな
そんなもんここは自演し放題だろ
666名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2021/11/03(水) 16:43:58.30
れつだんは文章はいいかもしれないが内容がゴミ
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