バーチャル編集長代表作 「山シゲ」

朝っぱらから、ケントとメイは誰はばかることなく濃厚なキスを交わしていた。
「お熱いのー、ご両人、少しは周りを気にしたらどうだ?」
「ごめん、メイちゃんが、あまりにカワイかったもので自制できなかった」
「今日もアレか?嫁お手製の手作り弁当か? うらやましいのー、嫁のいない俺は今日も学食のわびしい日替りランチだ」
「山シゲさんの分も、今日は作って来ました
ケントの一番のお友達ですから」
「ま、マジか?できた嫁よのー。この山シゲ、感謝にむせび泣いておる!」
「ねえ、ケントー、私もお弁当作って来たんだけどどうする?
あの子のなんかより、よっぽど美味しいと思うけど」
「サ、サキさんの実家は洋食レストランだったな
これは強敵あらわる! 愛が勝つか、味が勝つか?」
「じゃあ、山シゲ、二人でサキさんの分も分けて食べようか。せっかく作って来てくれたのに悪いから」
「そうでやんすね、わりーすもんね。ケント一人では全部食べられないでやんすもんね
拙者も協力させていただきやす!」
(何だとぉ)
メイのこめかみがピクリと動いた
「いや、山シゲ、お前は食べなくて良いから。ケントのために作って来たものだからね。お前はその子のJKレベルのまずい弁当でも食ってなさい」
メイの様子を察して
「あのサキさん、今回は遠慮させてもらいます。せっかく、作って来てくれたのに悪いですが」
「あっそ、じゃあ、これ山シゲあんたにあげる。心して食えよ。サキ様特製弁当だから」
「マ、マジっすか、ありがてー。サキ様の弁当が食えるなんて、人生でもうこれっきりです
サキ様の寝姿を思い浮かべながら、心して頂かせていただきます」
そう言った後、チラリとメイの様子を覗う。
「うん、ケントの親友の山ちゃん、私の分は心配しなくて良いからね。別の人にもらっていただきますので」