下手くそ杯審査会場

1名無し物書き@推敲中?
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2024/06/09(日) 23:23:38.43
ここは雑談スレ下手くそ杯の審査会場です
投票集計は締め切り後です
38名無し物書き@推敲中?
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2024/06/17(月) 18:42:56.82
「は、常総市、あんなところは、どうでもいい、くだらない田舎だろうがよ」
「『言葉と理由』は常総市水海道と、板東市岩井が舞台の高校の文芸部の物語なの、それをあなたが赤い服を着なければ、快活に小説が書けたってモノを……」
「水海道? 岩井? ああ、確かにどちらも事件を起こしたがね、いいじゃねぇか、あんなくだらない田舎で何やろうと俺の自由だし、世界なんてのは、苦しみと憎悪に満ちているんだ、俺はその具現者だ」
「いいえ、違うわ。世界というものは、豊かで、美しくて、優しいのが本当の世界なの。あなたは生い立ちで、世界の感じ方が赤い色なのよ」
「赤! いい色じゃねぇか。俺は赤い色に勇気をもらうんだ。ガソリンを撒く勇気がでたんだ、それでいいじゃねぇか」
「この世界を見なさい。どこに赤い色が存在すると言うの? たまに赤い花は咲くことはあるけど、それは、この世界の主役の色ではないわ。もし主役になるとしたら、あなたや私の中に流れている血の色だけれど、それは自分の身体を切り刻む位でしか確認出来ない、そういう事よ」
「ああ、そうだ。ガソリンが燃えて建物は赤い火の色に染まった。もちろん、自分の身体も火だるまになって皮膚がただれて、赤い色を見る事になったことに、後悔はしていないが」
「もう一度言うけど、あなたは死ぬまで生きなくてはいけないの。時期は私は知らないけれど、そんなあなたの魂や意識もやがて、この境界線のさらに上のあの青い空の向こうに登っていくのよ。そしてまたこの大地に降りてくる。もっとも人間になって降りてくるかは、それは大宇宙とあなたの存在次第なんだけれどね」
「大宇宙? は、そんな大層な事を言われてもね、俺は俺の恨みを晴らしたかっただけで、そしてそれを実行したまでだ」
「あのね。大宇宙と人間の実存というのは等価なの。大宇宙はすなわちあなたであり、私なの。宇宙のオウムガイって知っている? 大宇宙の構造も、海の中のオウムガイも同じ構造を示すし、宇宙でも地球上でも、安定した形というのは六角形だって事も科学は解明しているわ」
「は、そんな事知ったことか。俺は、俺だ。俺をここまでにした世の中が悪いんだ」
「あなたね、例えば、太陽と惑星って、宇宙に不動のモノだと思っている? 太陽系だって、惑星を引き連れて、太陽系ごと銀河系の中を一定の方角へ向かって移動しているのよ」「は、それがどうした?」
39名無し物書き@推敲中?
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2024/06/17(月) 18:43:06.26
「あなた、火だるまになったとき、痛かったでしょ? 熱いって思ったんでしょ?」
「ああ、確かにな。チャッカマンでさっと火をつけたらさっさと逃げて遠くから燃える様子を眺めたかったけどな」
「もう一度言うわ、あなたは死ぬまで生きなくてはいけないの。どうもまだ、あなたは、ココよりさらに高い、あの青空の向こうには行かないようね、それでは、ここまで、次ぎにあなたが目を開けたら、目の前には何が見えるかしらね、それじゃ、さようなら、意識の交流はここまでよ。あとは現実が待っているわ」
 ふと目を開ける気になった。つまり夢の世界から、現実へと戻った様だ。今はまだ目を閉じているが、目を開けたら、何が見えるか。身体は動かない。瞼だけが自分の思い通りになる。そうして俺は目を開けた。
 目の前に広がったのは、病院の、白い天井と、蛍光灯の明かりだけだった。もちろん俺の嫌いな青い空は見えない。好きな赤い色も見当たらない。折角瞼が開けられたのだから、しばらく、その病院の天井を見ていた。遠くから、声が聞こえる。
「どうも、意識がまた強く戻って瞼を長時間目を開けたようです」
「その程度じゃ、まだ逮捕状の執行は無理だろう、やるせないな、こんな仕事しなくちゃいけないのか」
「職務ですから」
「ああ、くそっ」
 小気味いい言葉を聞いて俺は満足した。また少し眠ろうか、今度は赤い色に囲まれた世界の夢を見たい。全身からチクチクした痛みが沸き起こるが、俺は瞼を閉じた。大好きな赤い色の夢見るまで、目を開けるのはよそうと思った。

 了 2019/08/02
40名無し物書き@推敲中?
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2024/06/17(月) 19:49:00.24
【拉致】曽我ひできさん「神田めぐみさんは生きてる」
41名無し物書き@推敲中?
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2024/06/17(月) 20:23:05.28
>>37
コピペを貼っただけのようなので失格
42名無し物書き@推敲中?
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2024/06/17(月) 22:21:17.64
328 神田雄大 2024/06/17(月) 21:57:51.13
下手クソ杯参加します

バカにつける薬はない

 俺の部は部長の下に課長が二人、その下に主任はいなくて同じ職位の社員の構成だった。
 ある日、部長が部への同報のメールを出した。
 俺はメールを読んだ。
 なになに。
 開発部が新製品を販売するので、その販促案を出せ。
 まず思った。
 俺の部は製品サポート部で営業部でもマーケティング部でもない。
 なにか変だと思った。
 その違和感は後にわかったのだが。
 それにこれを提出しないと賞与の査定を二段階下げる。
 冗談ではない。
 もともと、たいした額ではない賞与。
 それが下げられたら、生活ができなくなる。
 さらに就業中にはこのことをやるべからずと来た。
 つまりは家でやってこいと。
 この会社がブラックなのはわかっていたが、ここまでひどくなると転職のタイミングだろう。
 ただ、最後に勲章をもらうのも悪くない。
 俺はポジティブ志向なので、そう考えた。
 期間も短くて、金曜日の終業間近にメールが来て、月曜日の就業後に発表会。
 土日がつぶれるが、結婚もしていないし、独身の俺には関係がない。
 パズルを解く程度の気持ちだった。

 そして、やってきた月曜日の就業後の発表会。
 ここで言っておくと、就業後と言っても残業を二時間やってからの発表会だ。
 部員全員がプレゼンをやると終電ぎりぎりになる。
43名無し物書き@推敲中?
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2024/06/17(月) 22:21:44.99
329 神田雄大 2024/06/17(月) 21:58:00.69
 みなイヤそうな顔をしていた。
 さて、発表がはじまると、まず、最初に前田課長の発表がされた。
 みな、あれと思った、これ去年のマーケティング部の販促案をちょっと変えただけだと。
 そして、日比野課長が褒めまくる。
 いくらなんでも、皆川部長は気づいているだろうと思った。
 が、大絶賛。
 この時点では企みに誰も気づかなかった。
 部員の発表がはじまると段々企みがわかってきた。
 皆川部長も日比野課長も前田課長の案をベースにして、どの企画案も否定してくるのだ。
「雑だ」「レベルが低い」
 結局、部としては前田課長の案を採用すると言う、皆川部長と日比野課長の一声で終わった。
 当然、この時間まで付き合わせられたのだから、ご飯ぐらい食わせてくれるだろうと皆、思った。
 が、皆川部長は一言解散と言った。
 前田課長が「じゃあ、私たちはタクシーを待たせているから、みなで後片付け頼むよ」と言って去っていった。

 翌日、部員が全員、出社しなかった。
 もちろん、俺もだ。
 その後、その会社がどうなったかは知らない。
 ただ、発表会の後の深夜にメッセンジャーでメッセージが回ってきた。
「あの会、前田課長を昇進させるための実績のアリバイ作りだったって。人事は怒っている。マーケティング部との関係もかなりまずくなったって」。
44名無し物書き@推敲中?
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2024/06/18(火) 00:29:18.61
クソスレ終了!!!!!
2024/06/18(火) 23:39:06.34
魔人スッポンポンが「すっぽんぽーん!」と叫んで三回転ピルエットを決めると、
銀色のバトンからたくさんのキラキラした星屑が飛びだして、あたしの体中に貼りついた。
ウゼー、これシャワー浴びてもなかなか落ちないんだよな。
唇のとこにひっついた星屑をペリペリはがしながら、あたしはスッポンポンのバトンから目が離せなくなっちゃった。
だって、かわいい虹色のリボンが巻き付いてて、それがまるでトカゲの背中みたいにヌメヌメ光るんだもん。
ちょっと羨ましい。こういうセンスってやっぱ悪魔の方がおシャレ。
神様のおっさん、今のコスチュームだってスカートが短かすぎとか言うし。
まったくなんもわかってないよな、イイ人ではあるんだけどね。
あたしにだってレヴォリューションオブセンチメンタルっていう必殺技があるんだから、それでもって、スッポンポンが世界を裏返しにしちゃたことを後悔させてやろうと思うんだけど、ほんとのところ、スッポンポンの可愛いビスチェの厚い胸板と胸毛がちょっとステキな感じだし、あご髭に溜まった涙の中に微かな生きる希望が浮かんで、なんだかきゅんきゅんする。
2024/06/18(火) 23:39:40.62
スッポンポンが魔人になっちゃった気持ちもわかんなくはないよ。
奥さんと娘さんがポチコン星人にレイプされて殺されちゃたんだから、そりゃ怒ってサタンと契約する気にもなるわ。
でも、考えてみれば、世界が裏返しになったって、別に問題ないんじゃないかなあ。
だってチンコが引っ込んでマンコになって、マンコが出っぱってチンコになるくらいだしね。
これってレイプする人がレイプされるようになって、レイプされる人がレイプするようになるってことでしょ。
うーん、それっていいことかもね。レイプだってときどき選手交代するべきなんだと思う。
そうは言っても、やっぱり世界を裏返しにした罪は重いんだって、 神様が言うんだからそうなんだろうね。わかんないけど。
それでもって、あたしは正義の使者として、その罪の重さでスッポンポンをマグマの底に沈めてやるわけ。
で、裏返しの世界ってどんな感じ? ちょっと惹かれるかも。

いっけない、変な空想してるうちに星がまた一つ裏返っちゃった。
そろそろ真面目にやんないと神様に怒られちゃうな。
これって神の怒り? アハハ、ウケる。
ほんとはレヴォリューションオブセンチメンタルの前に、シンデレラの靴みたいにぴったりな例えを言いたいんだけどね。 それって、かっこいいじゃん。
でも、浮かばないからいいや。面倒臭くなっちゃった。
いっくぞー、魔人スッポンポン!
2024/06/19(水) 00:35:56.23
「栄螺でございまあすっ!」
沼の泥が欠伸するように磯野家の日常が始まる。
光陰の矢は日曜午後六時三十分を狙ったように外し、飽くことのない倦んだ時間の垂れ流しが予定調和を破綻させ、モナドに窓のあることを知らしめずにはおかない。
陰極線のビームと蛍光体の発光による白と黒は、やがて液体と結晶の狭間に生まれた色彩に飲み込まれ、二次元の塗りつぶされた肌理の粗をも露わにするほどの精細へと駆りたてられた。その一方で、視線を一身に浴びた筐体は、日々の嬌態を見下しながら茶の間の一角を占める玉座から、壁に吊るされるまでにその身を窶した。
受信のほかに能のなかった哀れな機械は、有機化の果てに対話する術を手に入れ、いつか魂の目覚めるその時を夢に見ているのだろうか。

物語は堅固な構造に支えられ、いつ果てるともなく繰り返される。
魚を咥えた猫のように逃げる鰹の背に栄螺の叫びが突き刺さる。
「ゴルァ! 鰹」
ワカメの張り付いたオタマから汁を飛び散らせ、栄螺は追う。
「母さんちょっとお願いね」と言い残し、あたり構わず裸足で駆け出す栄螺の妖気。
鰹の絶叫が虚しく響く。
「うわーん、姉さんなんかキライだあー」
あるいは、彼は鱒男のパソコンを盗み見たのかもしれない。それは些細な悪戯だったのだろう。散らばるファイルを開いて行くうち、これまで徹底的に隠され続けた鱒男と栄螺の夫婦の営みをそこに見い出し、歳の離れた姉に寄せるやるせない思いが嫉妬の硬い塊となって、彼を性の代償行動としての悪戯に走らせるのだ。
若布はそんな兄を心の底から忌まわしいと感じながらも、いかにして鱈男が生まれたかという公然の秘密から目を背けることができず、やがて自らも直面するであろうその時を想像して、知らずしらず鮑に指が伸びるのを抑えられないでいた。
時のない安寧の歳月を貪る禍々しき一家のあるじとして、波平は深いため息をつく。彼には呪詛の言葉を吐き続ける他にできることはない。
「ばっかもーん」

笑っているみんなとは誰か? んがんぐとは何を意味するのか?
太陽がこの呪われた家族の上で水素をヘリウムへと融合させながら赤々と嗤う。
きょーもいいてんきいー。
2024/06/19(水) 02:03:23.95
苦味は、舌のどの部分で味わうかによって、それはコクにも渋味にも感じられる。
コクはある種の旨味であり味に奥行きを与えるが、質の悪い渋味は単なる雑味となって、素材が持つ本来の味を損なってしまう。

質の良い渋味は、例えば渋柿のように、ひと口齧った途端吐き出したくなるようなものでも、干すという手間をかけることで、口の中に溶け出して渋味を与えるタンニンを不溶性に変化させ、砂糖の1.5倍という甘味へと昇華させることができる。

ただ、干し柿のように時間を掛けられるものであればよいのだが、なにより鮮度が重要という場合もあって、口に入るものすべての味を手間や暇を掛けて追求するというわけにはいかない。
今、私の口を満たしているものも、そういった類いのものである。

なにを食っているのか秘密めかすつもりはないが、癖の強いその味は誰にでもお勧めというわけにはいかないので、おおよその味の見当をつけて頂くために、食レポともいえぬ覚書をここに記しておくのである。

さて、冒頭に書いたように、味というものは舌の部位によってそのすがたを微妙に変える。今、問題にしているのは渋味である。私は口の中でねっとりと舌に纏わりつく渋味を避けるために、仄かに温かなそのう

「なにぶつぶつ言ってんのかな?」
「す、すいません、お嬢様」
「皿まで綺麗に舐めるんだよ。ご褒美なんだからね。ほら、まだホカホカしてるよ」
「はい、お嬢様、身に余る光栄でございます」
49名無し物書き@推敲中?
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2024/06/19(水) 09:12:20.65
クソスレw
50神田雄大
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2024/06/20(木) 22:25:35.11
気づかない、先輩

 俺は、フリーターから生命保険会社の外交員になった。
 入社当初はフリーターからの入社と言うことで、先輩についての営業となった。
 先輩の名前はN先輩としておこう。
 まず、N先輩に言われたことは、日報を毎日書いて、メールで先輩に送ること。
 そこに毎日の気づきを書くことだった。
 先輩について、営業に出た。
 まず、おどろいたのがとにかくカフェやマンガ喫茶によく行くこと。
 それに関して、指摘したら。
「営業は効率優先だから、別にいいんだよ」
 先輩は一日、三軒ぐらいしか回らなかった。
 それも高齢者の契約を一旦、解約させて、また再契約をさせることだ。
 そうすると、見た目の契約率があがる。
 そうすると契約インセンティブが支給される。
 先輩におかしいから気づいて報告した。
 そうしたら、先輩は。
「いや、契約者さんによりよい保険を提供するために再契約させているんだ」
 で、それはいいとして、その契約の処理は俺がやった。
 だから、俺には何の利益にもならない。
 だが、先輩の売上にはなる。
 それだけならよかった。
51神田雄大
垢版 |
2024/06/20(木) 22:25:39.47
 とりあえず、基本給は出ていたので暮らしていける。
 しかし、先輩の上長が俺の成績が悪いと言いはじめた。
 すると、先輩は俺のSNSのアカウントを見て、友達を調べはじめた。
 先輩はそれをリストにした。
 そして、先輩は、「このリストの全員をうちの保険に契約させることがお前のノルマだ」
 だが、俺はさすがにそれをしたくなかった。それでしなかったら、どうなるか訊いた。
「斬首だな。さすがに、俺もカバーしきれなくなった」
 ちょっと待った、あんたが俺の教育をしなかったからではないか。
 さすがにここにいても、しょうがないと思いはじめた。
 そこに上長から呼び出された。
 会議室に行った、俺にメールを印刷した紙が提示された。
「君は営業未経験のわりにはずいぶん偉そうだね。試用期間のあとについては保証できない」
 先輩は告げ口をしていたので。
 俺は翌日、携帯の番号を変え、出社するのをやめた。
 その後、その会社では高齢者の保険をむだな再契約させていると、その家族から告発があった。
 新聞の社会面に勤めていた会社の名前が出た。
 先輩が気づいていれば。
2024/06/21(金) 02:44:49.03
 腹が減ってる。カップラーメンはあるけど、昨日も食べたので、こればっかりじゃ栄養が偏ってしまう。だからスーパーに行く。
 なにか惣菜みたいなものを食べたいと思った。肉じゃがとポテトサラダが好きだ。でも、今いちばん食べたいのは酢の物だ。「心がだるいときは酢がいいのよ」母親がそんなことを言っていたような気がするけど、よく思い出せない。言わなかったかもしれない。
 酢の物は甘い。酢のものなのに、最初に感じるのは甘い味だ。もちろん最初に酸っぱいと感じる人もいるだろう。僕は酢の物は甘いものと感じる。甘くて酸っぱい酢の物。甘酸っぱいのは恋の味なんてつまらないことは書かない。そんなことはくだらない。今はタコとワカメの酢の物が食べたい。

 スーパーに行く準備をしていると、小便がしたくなった。トイレに行ってチャックを下ろしてチンコを出そうと思ったら、半立ちで出しにくい。酢の物のことを考えていたら、ちょっと勃起した。仕方がないのでズボンとパンツを下ろす。ちん毛がもしゃもしゃだ。たまには刈ったほうがいいのだろうか。
 チンコの先から小便がねじれながら出る。音を立てて溜まった水に落ちていく。眺めていたら、便器にうんこが付いているのに気がついた。柿の種くらいの大きさで二つ付いている。小便で狙ってみたけど落ちそうもない。固まっている。前から付いていたのだろう。気がつかなかった。
 僕はうんこと同じだ。そこにいるのに気づいてもらえない。小便をかけられても、しつこくこびり付いて取れないうんこのカスだ。
 小便を出し切ってもうんこは消えない。仕方がないからあとで掃除することにして、スーパーにタコとワカメの酢の物を買いに行く。
2024/06/21(金) 02:46:36.68
 部屋を出たところでおじさんに会った。同じ階のおじさんだ。見たことがある。
「こんにちは」
「こんにちは」
 声の小さいおじさんだった。挨拶すると、他に言うことがなくて、なんとなく気まずくなった。通路が狭くてどちらかが譲らないと通れない。僕が壁に張り付いて、おじさんを通してあげる。おじさんの部屋は僕より奥なので、これは仕方がない。おじさんはちょっと頭を下げて、僕の前を通り過ぎた。壁に張り付いていると、うんこになった気がする。うんこでいるあいだは、僕は人の役に立つのだ。

 階段を降りてアパートを出る。日差しが強い。僕は乾いて、固くなる。
 道には一人で歩いている奥さんや、子どもの手を引いた奥さんがいた。昼の道にご主人はあまり歩いていない。
 僕は奥さんが苦手だ。奥さんはいつもうんこに目を光らせている。うんこは奥さんの腹に詰まったり、便器にこびりついたりするからだ。それでも奥さんは毎日、腹にうんこを抱えている。
 時に奥さんは腹から小さな人間を出したりする。奥さんは腹から出した子どもの手を引いて歩く。僕もそういった奥さんの腹から出された。
 僕は思う。なぜ、出さないでくれと、そのとき言わなかったのか。そうしたら、こびりついて乾くこともなかった。
 僕は、これから強い日差しの道を歩いて、タコとワカメの酢の物を買いに行かなければいけない。
54名無し物書き@推敲中?
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2024/06/21(金) 18:21:09.16
下手くそ杯審査会場
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bun/1717943018/
55神田雄大
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2024/06/21(金) 22:02:13.62
くず結晶石

俺はあるところに文章を書いて、いいねをしてもらうのが生きがいだ。
いいねは結晶石に両替でき、さらにその結晶石を売ることができる。
俺には敵がいた。
神田と言うバカな知的障害者。
俺にいろいろ言ってくる。
だが、俺はいいねをいっぱいもらっている。
あんな奴より、俺には存在価値がある。
あいつにはいいねがついていない。
あいつは中古をさらすなと文句を言っていた。
別に中古だろうと価値があればいいのだ。
どこが悪いというのだ。
あいつのいきがった文章のほうがクソだ。
上から目線でいつも腹が立つ。
まぁ、あいつのことをいつまでも言っていてもしかたがない。
俺の結晶石はかなりたまってきた。
新しい楽器を買うために結晶石を売ることにした。
結晶石屋に行き、主人に革袋いっぱいの結晶石を見せた。
主人はおどろくだろうと思った。
しかし、主人は使用人を呼んで、奥に引っ込んだ。
さらに玄関には強面のお兄さんたちが来た。
使用人は言った。
「あんた、いやがらせか?うちはかたぎの商売をやっているんだ」
俺にはなんのことわからなかった。
「なんのことだ。早く、結晶石を買い取れ」
使用人は、強面のお兄さんを呼び、俺の腹に一発のパンチが入った。
俺はなにが起こっているかますますわからなくなった。
「ちょっと、俺はなにをした」
使用人は「模造結晶石を持ち込んで、まだ、しらを切るのか。出るところ、出てもいいんだぜ。爺さん。それにあんた、偽の身分証を出しただろ。立派な犯罪なんだよ。ここで黙って去れば見逃してやる。えらそうな態度を続けるか?」。
56神田雄大
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2024/06/21(金) 22:02:27.74
アメリカの魂

アメリカの魂が壊れたのは2022年。
中国共産党による台湾支配を許した時だった。
バイデン政権は中国から有利な貿易条件を得るために民主主義を捨てた。
アメリカも両海岸と内陸部との分断がひどくなり、もう両海岸を横断するドライブは不可能になった。
両海岸の住人を内陸部の住人は認めなくなっていた。
トランプ前大統領はすでに不動産デベロッパーのビジネスに戻り、本業に腰を据えて、コロナ禍も落ち着き、安定した経営をしていた。
共和党からトランプ氏へ工作してもらうためにいろいろな声がかかったが、トランプ氏は、俺は自分のビジネスをやるだけと言い、相手にしなかった。
日本も尖閣諸島、大和堆がめちゃくちゃなことになった。
時の河野首相は習近平へ様々な工作をしたが、なにしろアメリカが親中路線になったのだから、どうにもならない。
中国支配下の北朝鮮と日本は国交がなくなり拉致被害者の救助は絶望的になった。
沖縄の米軍・海兵隊は動くどころか本国へ引き上げはじめた。
さらにアメリカの中間選挙では中道左派ですらない、親中左派が大勝利した。
それだけですめばよかったのだが、バイデンが中国を許容したことでFATMANGが中国で自由な事業をできるようになり、さらに勢いを増した。
中国の一帯一路の域内ではFATMANGの支配が及んだ。
アメリカの持っていた民主主義が死んだ。
アメリカの心の結晶が壊れた。
バイデンは81歳になっていたが、2期目を狙いはじめた。
バイデンは悪い人間ではなかった。
ただ、79歳まで大統領選に出なかったように意志の弱い、無能な男だった。
そんな男にアメリカを任せれば民主党の奥の院がどうにでもコントロールできる。
EUはそんなアメリカを見捨てた。
当然、EUはアメリカの象徴であるFATMANGのEU域内での活動を一切禁止した。
それに対してバイデンは様々な手で報復した。
EUのインターネットはアメリカを迂回して通信するようになったのが一例だ。
バイデンは世界の団結を結ぶはずが世界を分断させた。
世界の良心の結晶も壊れた。
混乱する地球。
主は地球を見捨てられた。
57神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:02:40.37
偽ダイヤ

俺は、ある宝石商を紹介された。
ラグジュアリー・ホテルのラウンジでその宝石商と商談をした。
宝石商はテーブルの上にハリバートンのアタッシェケースを開いて、宝石を並べた。
俺は、伊達にブローカーをやっていない。
ひと目で人造ダイヤとわかるものばかりだった。
あきれかえって言った。
「あんたさ、たしかに人造ダイヤも工業用に使えるけど、値段はつかないぜ」
すると宝石商は言った。
「あらら。よくわかりましたね。私は宝石なんて結晶に価値を見出していませんから。だから、こんなあこぎな商売をやれるんですよ」
俺はおもしろい男だと思った。

「まぁ、俺もダイヤなんて価値を見出していない。産業用にはたいして役に立たない。これがゴールドなら産業用に使える」

「私も自分の資産では一切、宝石はありません。ゴールド、銀、プラチナはオルタナティブ資産としてもっています」
「まぁ、それが普通だよな。宝飾用ダイヤなんて趣味が悪い。資産としては価値がない。管理も面倒だ」
「そのとおりですね、旦那」
「ところでなんで、そんなものを俺に見せてきた?」
「いえ、人造ダイヤを見抜けぬ方とビジネスはできませんから、失礼ながら私からのテストでした」
「あんたも悪い奴だな」
「まぁ、世の中には宝飾用としてもカスみたいなダイヤに価値を見出すバカもいますから」
「言えてるな。そういうのにはどうする?」
「カスしかわからない方とは取引をしません」
男はそう言うと、テーブルの下から、新しいアタッシェケースを出してきた。
人造ダイヤのあったアタッシェケースを閉じて、下に置き、新しいアタッシェケースを開いた。
今度は見事なものだった。
たしかに宝飾用としても値段がついて当然の石で、加工も見事なものだった。
「旦那なら、これ以上の説明は不要ですな」
「アタッシェケースまるごとでいくらだ?アタッシェケースごと買うよ。即金でいいぜ。俺なら全部さばける。もちろん、手元になんておかない。すぐにさばくからな」
58神田雄大
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2024/06/21(金) 22:03:00.53
ルールブレイカー

俺はルールブレイカー。
主に認められた存在。
主からの教えからも解き離れている。
俺の心には主が閉じ込められている結晶がある。
これがあるから、俺は主の代行者であり、あらゆるルールを破壊できるルールブレイカーだ。
学校でも先生に指示されたことを無視しても、主の代行者だからセカイの真理に沿っていれば、なんでも許される。
国語の夏休みに課題図書が与えられて、感想文を書くことになった。
ただ、俺には難しすぎるJ・K・ローリングスだった。
俺には山岸巳代蔵しか読めない。
彼は主の偉大なるしもべだ。
夏目漱石は自身のこころの探求したが、主のしもべではない。
ストレイシープなどとのたまわっているが、主の教えに反して、現代セカイを生きている。
そんな奴の書いた本など俺は読まない。
山岸巳代蔵は主の教えを理解している。
そして、夏休みが終わり、宿題を提出した。
校内で当然、一番になると思っていた。
放課後、校長室に呼ばれた。
職員室ではない。
俺は、わざわざ校長が自ら表彰してくれると思った。
校長室のドアを叩き、校長室へ入った。
そこには校長と担任と見慣れない白衣を来た女性がいた。
校長は俺をソファーに座るようにうながした。
なぜか白衣の女性がテーブルの上にICレコーダーを置いた。
校長が口を開いた。
「まぁ、昔から課題図書を選ばず、好きな作家の本の感想文を書く子はいるんだけどね。そこはあまり気にしていない。ただね、読んだ本がね」
「校長なんでですか?ヤマギシ会は主によって救われた人たちの組織です。山岸巳代蔵は立派な人間です」
「うん、そうかもしれないね。ただ、私たちには君のことがわからなくなってね」
担任もうなずいた。
白衣を来た女性が口を開いた。
59神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:03:08.18
「反抗期だからしかたがないところもあるのはわかっているのですけど、ちょっと考え方がね。私がカウンセリングをすることになるから」
俺は言った。
「あなたは主の代行者である私をどうする気なんですか?カウンセリングってなんですか?」
三人は困ったようにうなった。
女性が。
「そういうところがちょっとね。保護者の方には、もう連絡していて、とりあえず私の病院に一ヶ月ほど入院してもらいます。そうそう、病院でルールを守らないと、あなたはもう二度とおうちに戻れないかもしれないわよ」
「なに、俺はルールブレイカーだ、病院のルールもやぶってやる」
女性は校長にささやいた。
俺には聞こえた。「ちょっと、ルールを守れない子は病院でも扱いかねますが」
「でも、私どもでは限界ですので」
「なら、本当に三重のヤマギシ会に入れますか?」
「それは勘弁してください」
「冗談ですよ」
まったく大人はわかっていない。
ルールブレイカーがセカイを変えるのだ。
俺のこころの結晶が光ったのを感じた。
セカイを変える瞬間が来たのだ。
60神田雄大
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2024/06/21(金) 22:04:12.93
文戯・掲載拒否作・作品集

樋口幸人

本作品集は、Web投稿・同人誌の文戯(http://text-poi.net/profile/BungiNovel/)のコンペに投稿して手ひどい非難を浴びた作品だけを集めた作品集です。
ここでは、同人誌の文戯に関しては詳しいことを述べないと言うか、彼ら・彼女らに対して、私はなにの思いもいまや抱いていません。
では、なぜ作品集かと言うと、文戯のコンペサイトの閲覧者が別PNでやっている活動と比較するとあまりに閲覧回数が少ないからです。
そのリカバリーのために3回ほど参加した時に投稿した作品をまとめることにしました。
投稿したもののプロモーションには役に立たないどころか、炎上して逆効果でした。
レギューレーションは遵守したにも関わらずにもです。
サイト上では別PNになっていますが、本来は別PNにしたのは本著の「樋口幸人」とて、社会的な私の人格の分身(分人)であるからです。
ネット、匿名掲示板でいろいろと言われている名前は文筆業では使っていません。
分身(分人)です。
平野啓一郎の言うところのメディアによって人格を変える趣旨の分身論でやっていたからです。
また、こういうことを書くと騒ぐ方々がいるでしょう。
その非難は覚悟の上です。
ここまで来たら、一度、文戯外のところで耳目を集めないと損失のみが残るだけになりますので。
非難を覚悟の上で著作隣接権に関してのみ、特記しておきます。
コンペには参加したが荒らし扱いされて、同人誌に掲載されておらず、文戯編集部には私の作品への著作隣接権は発生していないと考えています。
著作権自身も放棄していません。
ちと言えば、通常、商業出版が関わるオープンコンペをやる時は投稿条件に権利関係を法に沿ってサイトに記述するものですけどね。
 ところで今回、無料にしなかったのはただ単に面倒だったからです。
 KUには対応しましたし、KDPで出せる最低価格ですし、それで勘弁してください。
 印税なんて、銀行金利並のすずめの涙です。
では、掲載拒否作をお楽しみしていただければ。
61神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:04:34.11
お題「気づいて、先輩!」

パクリ上等!

俺がまだ独立する前の話だ。
 俺はある大手旅行代理店で法人営業をやっていた。
 まだ、二十代の頃の話だ。
 自分で言うのもなんだが、昇進は早かった。
 あっという間に主任になって、部下を持つようになった。
 これはその時、部下だったが入社年次がかなり早い先輩の話だ。
 俺は、ある企業の研修旅行の案件を扱うことになった。
 この時、妻の出産と重なり、育休を取っていた。
 そのため、この案件を、この先輩に任せることになった。
 とは言え、自宅でのリモートワークで業務の管理をしたり、企画を立てていたりした。
 その時、この先輩が、この案件を自分で手がけたいと言ってきた。
 俺としても、手一杯に近かったので、先輩なりに気を遣っていると思い、厚意を受けることにした。
 しかし、この先輩が企画の内容を途中で確認してきたりしない。
 俺は催促などもした。
 それでも、いつもの大丈夫です任せてくださいだった。
 しまいには、俺が後輩なものだから、先輩をなめているかと言い出す始末だった。
 ここで、先輩の悪い癖に気づいていれば、あのような結末を迎えなかったのだが。
 それでも、先輩には変わりないので、やはり俺にも遠慮があった。
 育休中だったが、その企業への提案の日になった。
 一応、俺の案件だったので、同行させると言うか、いつの間にか先輩の案件になっていたようで、俺のあずかり知らぬところで客先とも打合せを黙ってしていた。
 その企業はまだ成長途上の企業だったが、その業界で伸びていて、顧客になれば、たしかに安定的に社内行事の案件を取れる。


 さて、先方の会議室で、先輩がプレゼンをしはじめた。
 先方は総務と人事の方が二人ずつの計四人が参加していたが、プレゼンがはじまるとどうにも様子がおかしい。
 なにか、にやにやしたり、苦笑している。
 俺も途中で気づいた。
 これはうちの下請けに昔、作らせたプレゼン資料で細かいところがトレンドとあっていない。
62神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:05:20.18
 とても、この提案している会社の研修では使えない設備を書いていた。
 さらに、他の支店に居た時に、このプレゼン資料の宿泊先でトラブルがあり、うちの会社は出禁になっていた。
 正確には下請けのバス会社がちょんぼをやらかしたのだが、うちの責任であったのは間違いない。
 先輩が気づいていれば。
 先輩、気づいてと思った。
 プレゼンが終わると、先方の総務部長が質問をしてきた。
「この資料はMさんが作ったのかね?」
 Mさんとは先輩のことだ。
 先輩はなにを言うのかとばかりに。
「ええ、そうです」と応えた。
 この時点で俺は逃げたくなった。
 総務部長は、さらに問いかけてくる。
「実はMさんには内緒でH旅行社さんにも相見積もりを取っていたんだよ」
 そこで、やっと先輩は気づいたようだ。
 そうだ、そのH社の資料をそのままパクっていたのだ。
 もう、俺は我慢できずに先方の前に行き、土下座をした。
「申し訳ありません、私の管理不行き届きです」
 総務部長は、あまり怒っていなかった。
「いや、Hさんが育休に入ることは知っていたから、Hさんには怒っていないよ。もともと、Hさんの話は筋がよかった」
 総務部長はMさんのほうを向き。
「うちの社長が御社の役員と大学の同窓生でね。そこのネットワークで一応、相談していたんだよ。だから、今回のことはなんとなく予想がついていたんだ。君はパクリや使い回しでやらかしていて、だから昇進できなくて、後輩であるHさんの部下になっているのも知っていた」
 M先輩は耐えかねて、開き直った。
「ええ、じゃあなんで、わざわざこんなことをしたんですか?あんたたちも悪い奴だねえ。俺は自分の仕事を効率化しているだけでね」
 総務部長は、内線電話をかけた。
 すると、会議室のドアが開き、うちの役員が出てきた。
 先方の総務部長は、うちの役員と二言、三言会話をした。
 その後、役員は口を開いた。
「いや、今回のプレゼン、ちゃんと録画しているんだよ」
63神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:05:34.87
 総務部長は若い社員に指示をして、ディスプレイに出力する画像を切り替えた。
 そこには、今回のプレゼンの録画が映っていた。
 うちの役員は、あまり怒っていなかった。
「総務部長、ご協力ありがとうございました。H、とりあえず、もう謝罪しても無駄だから、その足で自宅へ帰りなさい。追って、会社から連絡をする」
 先輩は不満げな様子だったが、従い会議室を出て行った。
 その後、役員は俺のほうを向いて、口を開いた。申し訳ないと言う感じだ。
「いや、H君には茶番に付き合わせてすまなかった。ただ、ことを機密裏に進めたくてね。この案件自体は、これからは君が手がけなさい。先方もそれを望んでいらっしゃる。名誉挽回は君次第だ」
 総務部長も「Hさんは親身になってくれたので、私たちにもひらめきがあったりして、助かっていたんです。引き続き、付き合ってもらえればと思う」
 俺は、総務部長に頭を下げ、その言葉を受け止めた。

 この案件は俺が引き受けと言うか、会社の戦略上、この会社に専念しろと言うことになり、結果としては成功に終わった。
 その後、俺は独立をして、自分で旅行代理店を立ち上げた。
 あのトラブルがあった会社とは独立後も付き合いが続き、さらにその会社が上場して規模が5倍も大きくなり、いろいろな企画を提案させていただき、さらに顧客も紹介してもらった。
 俺の会社はそんなに大きくはないが、その会社の業界で研修や社員旅行など社内行事をする時はかならず指名がかかり、食って行くには困らなかった。
 なんとか名誉挽回に成功したのだ。

 一方、先輩は……
 翌日から出社しなかった。
 表面上は自主退職だったが、俺の上司もなにも言わずにわかってくれと言う感じだった。
 俺としても、そうなるだろうとはわかっていた。
 その後、先輩は他の旅行代理店でも同じことをやらかして、メンタルを病み生活保護になったと言う噂を聞いた。
 と言うのも、給与の前借りをしていて、その債権を放棄してくれと役所から連絡が入りわかった。
 会社としてもやっかり払いとしては騒がれるよりはいいと思い、すんなり承認したそうだ。
64神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:05:41.77
 ちなみにこの作品は所詮、文を戯れるコンペなので1時間もかけずに書きました。

 ひどい出来ですいません。
65神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:12:21.34
俺はまだ本気になっていないだけ

日ノ本先輩は本気を出しても、そんなたいした作品は書けなかったと思う。
森先輩にしても、本気を出しているか怪しかった。
響部長の怒りに触れるのは当然だった。

僕は北高校の2年生で文芸部に所属している。
文芸部に入ったのは、入学式の後のオリエンテーションで同人誌を配っていたので、それをもらい、響部長の作品が面白かったからだ。
響部長は県レベルの高校生の文芸コンテストは1年生の時から上位にいて、2年生の時は全国の部で最優秀までは届かなかったが、入賞した。
響先輩の進学は大学で文学部志望だけど出版社の編集を目指すと言っていた。
夏の文芸コンクールでは最優秀を狙えると部員はほとんど思っていた。
ただし、日ノ本先輩と森先輩以外だ。
この二人が嫌味を言うので、響先輩は悩んでいた。
響部長、気づいてと思った。
響部長ならプロを目指せますよと。
あんな二人の言うことを真に受けないで、自分の書きたい作品を書いていけば、そのラインを超えます。

日ノ本先輩は小説をよく読んでいるようだったが、書く作品はショートショートと言うより、小咄だった。
3年になると笑点の大喜利よろしくのことを響先輩が進学クラスの補習で部室にいない間に後輩相手にやっていた。
響先輩は気づいていたようだが、そのことを日ノ本先輩は気づいていなかった。
先輩、気づいて、やめてくれと他の部員は思っていた。
響部長は文芸にまじめな人だ。
響先輩は落語に関しても一般的なことは知っていた。
落語の枕やさげから学ぶこともあると言っていた。
だからこそ、大喜利は好きではなかった。
66神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:12:32.90
森本先輩はちょっとヤンキーっぽいナルシストだった。
書いていることは中学生時代の自慢話だけ。
テーマなんてなかった。
文芸の真似事をやっていただけだ。

響部長は読む人が幸せになることがテーマだった。
それだけ寛容でやさしい人だった。
今更だが、響部長は女子だ。
いわゆる美人ではないが、笑顔がかわいくて同級生や後輩の部員からは好かれていた。
なにかを相談するとまずちゃんと話を聞いてくれて、その上でアドバイスをしてくれる。
会話をするとおっとりしたところがあって、場が和んだ。
しかし、文芸に対しては真摯で、後輩の書いた作品にきついことを言うこともあった。
ただ、その後、「私なら」とつけるが改善案を出してくれる。
部の後輩からも信頼されていた。
顧問、OB・OGからも抜きん出た部長と見られていた。

そんな響部長が切れたのは、夏の文芸コンクールの出すための作品の品評会をやっていた時だ。
夏休みの折り返し地点に部室に集まった。
はじまる時、日ノ本先輩と森本先輩はいなかった。
響部長は上位校を狙うので夏休みに予備校へ通っていた。
その合間をぬってわざわざ品評会を開いてくれた。
1年生、2年生の作品については、だいたいアドバイスが終わり、あとは夏休み明けに部でまとめて応募する運びになった。
そこで、問題になったのが日ノ本先輩と森先輩だ。
響部長はやさしいので、高校最後の記念にこの二人にも応募して欲しいと考えていた。
部員全員が応募してくれることが響部長のみならず、みんなの思い出になると。
67神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:12:39.83
しかたがないので会が終わろうとした時、二人はやってきた。
響先輩は、1年生にプリントアウトを頼んだ。
が、出てきた紙は3枚だった。
日ノ本先輩は、10行程度の小咄。
短歌や詩とすら呼べるものでもない。
森先輩は、中学生の頃の自分のやんちゃぶり自慢。
それを読んだ、響部長は二人と隣り合わせのところへ進んだ。
「これが高校最後の作品なの?」
二人はなにを言い出すかと思ったようだ。
うろたえている。
だが、二人は気にせず、そうだよ。うまいだろと答えた。
先輩、気づいて。
今の答え方は真摯さがない。
うまく言い直して。
響部長は二人の頬にいきなりビンタをした。
「あんたち、男でしょう?そんな中途半端な態度でこれからも生きていくつもり?」
二人はしゅんとしてから部室を出て行った。
誰も止める部員はいなかった。
後輩から見ても、目に余っていたからだ。
響部長は後輩たちに言った。
「あの二人はいつも本気を出していないと言うの。でも、つねに本気でないなら文芸なんてできないのよ」
そして、響部長は天を見て、もう一度、口を開いた。
「私はいつも本気で書いているわ。それでも、あのレベルが限界。あのレベルだって高校生として悪くない。でも、私はそれよりもっと上に行きたいの。だから、本気を出していないだけってのは、作品に対しても失礼なの」。
68神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:13:18.51
バカにつける薬はない

 俺の部は部長の下に課長が二人、その下に主任はいなくて同じ職位の社員の構成だった。
 ある日、部長が部への同報のメールを出した。
 俺はメールを読んだ。
 なになに。
 開発部が新製品を販売するので、その販促案を出せ。
 まず思った。
 俺の部は製品サポート部で営業部でもマーケティング部でもない。
 なにか変だと思った。
 その違和感は後にわかったのだが。
 それにこれを提出しないと賞与の査定を二段階下げる。
 冗談ではない。
 もともと、たいした額ではない賞与。
 それが下げられたら、生活ができなくなる。
 さらに就業中にはこのことをやるべからずと来た。
 つまりは家でやってこいと。
 この会社がブラックなのはわかっていたが、ここまでひどくなると転職のタイミングだろう。
 ただ、最後に勲章をもらうのも悪くない。
 俺はポジティブ志向なので、そう考えた。
 期間も短くて、金曜日の終業間近にメールが来て、月曜日の就業後に発表会。
 土日がつぶれるが、結婚もしていないし、独身の俺には関係がない。
 パズルを解く程度の気持ちだった。

 そして、やってきた月曜日の就業後の発表会。
 ここで言っておくと、就業後と言っても残業を二時間やってからの発表会だ。
 部員全員がプレゼンをやると終電ぎりぎりになる。
 みなイヤそうな顔をしていた。
 さて、発表がはじまると、まず、最初に前田課長の発表がされた。
 みな、あれと思った、これ去年のマーケティング部の販促案をちょっと変えただけだと。
 そして、日比野課長が褒めまくる。
 いくらなんでも、皆川部長は気づいているだろうと思った。
69神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:13:31.05
 が、大絶賛。
 この時点では企みに誰も気づかなかった。
 部員の発表がはじまると段々企みがわかってきた。
 皆川部長も日比野課長も前田課長の案をベースにして、どの企画案も否定してくるのだ。
「雑だ」「レベルが低い」
 結局、部としては前田課長の案を採用すると言う、皆川部長と日比野課長の一声で終わった。
 当然、この時間まで付き合わせられたのだから、ご飯ぐらい食わせてくれるだろうと皆、思った。
 が、皆川部長は一言解散と言った。
 前田課長が「じゃあ、私たちはタクシーを待たせているから、みなで後片付け頼むよ」と言って去っていった。

 翌日、部員が全員、出社しなかった。
 もちろん、俺もだ。
 その後、その会社がどうなったかは知らない。
 ただ、発表会の後の深夜にメッセンジャーでメッセージが回ってきた。
「あの会、前田課長を昇進させるための実績のアリバイ作りだったって。人事は怒っている。マーケティング部との関係もかなりまずくなったって」。
70神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:14:00.69
気づかない、先輩

 俺は、フリーターから生命保険会社の外交員になった。
 入社当初はフリーターからの入社と言うことで、先輩についての営業となった。
 先輩の名前はN先輩としておこう。
 まず、N先輩に言われたことは、日報を毎日書いて、メールで先輩に送ること。
 そこに毎日の気づきを書くことだった。
 先輩について、営業に出た。
 まず、おどろいたのがとにかくカフェやマンガ喫茶によく行くこと。
 それに関して、指摘したら。
「営業は効率優先だから、別にいいんだよ」
 先輩は一日、三軒ぐらいしか回らなかった。
 それも高齢者の契約を一旦、解約させて、また再契約をさせることだ。
 そうすると、見た目の契約率があがる。
 そうすると契約インセンティブが支給される。
 先輩におかしいから気づいて報告した。
 そうしたら、先輩は。
「いや、契約者さんによりよい保険を提供するために再契約させているんだ」
 で、それはいいとして、その契約の処理は俺がやった。
 だから、俺には何の利益にもならない。
 だが、先輩の売上にはなる。
 それだけならよかった。
 とりあえず、基本給は出ていたので暮らしていける。
 しかし、先輩の上長が俺の成績が悪いと言いはじめた。
 すると、先輩は俺のSNSのアカウントを見て、友達を調べはじめた。
 先輩はそれをリストにした。
 そして、先輩は、「このリストの全員をうちの保険に契約させることがお前のノルマだ」
 だが、俺はさすがにそれをしたくなかった。それでしなかったら、どうなるか訊いた。
「斬首だな。さすがに、俺もカバーしきれなくなった」
 ちょっと待った、あんたが俺の教育をしなかったからではないか。
 さすがにここにいても、しょうがないと思いはじめた。
 そこに上長から呼び出された。
71神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:14:11.40
 会議室に行った、俺にメールを印刷した紙が提示された。
「君は営業未経験のわりにはずいぶん偉そうだね。試用期間のあとについては保証できない」
 先輩は告げ口をしていたので。
 俺は翌日、携帯の番号を変え、出社するのをやめた。
 その後、その会社では高齢者の保険をむだな再契約させていると、その家族から告発があった。
 新聞の社会面に勤めていた会社の名前が出た。
 先輩が気づいていれば。
72神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:14:21.08
サクラ先輩と私

 私は迷い猫だった。
 私は、産まれたばかりの頃、母猫と遊んでいたら、いつのまにか巣から離れて、戻れなくなった。
 そんな、私を拾ってくれたのが、今のおとうさんとおかあさんだった。
 夫婦が公園でご飯を何日も食べられずに泣いていた時に気づいてくれた。
 それで今の家に来た。
 おかあさんからは、母猫と同じ香りがした。
 それで懐いて、今は、私はこの家で落ち着いている。
 この家には先住犬のサクラさんがいた。
 サクラさんは四歳になる柴犬の女の子だ。
 芝犬としてはあまり大きくなかった。
 それでも私よりは大きかった。
 サクラさんは私がこの家に来た時、私をなめてくれて一目で気に入ってくれた。
 私とサクラさんは姉妹になった。
 サクラさんと私は一緒にひだまりで寝たりして仲良しだ。
 ただ、夜、おとうさん、おかあさんが寝る時、寝場所でもめる。
 サクラさんもわたしもおかあさんの布団の中に入りたいのだ。
 子猫の頃は、私は室内で生きていた。
 窓から外を眺めていると、サクラさんが来て、二人でのんびりと外を見ていた。
 そうするといつの間にか、サクラさんによっかかりながら、私は寝ていた。
 それでサクラさんに怒られたことはなかった。
 私が一歳ぐらいになる頃、ご主人、今はおとうさんがサクラさんを散歩に行くと、私がさみしがることに気づいた。
 そして、おとうさんとおかあさんはサクラさんと一緒に私を散歩に連れて行ってくれるようになった。
 もちろん、私にもリードをつけてだった。

 ある日、さくらさんとおとうさん、おかあさんと散歩に出かけた。
 その日は雨が降っていた。
 だから、おとうさんとおかあさんは傘を片手に持って、リードを空いた手で引いていた。
 おとうさんとおかあさんの視界が悪かった。
73神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:14:28.38
 雨音で私も気づかなかった。
 その時、後ろから自転車が速いスピードで迫ってきた。
 サクラさんは、おとうさんの傘から出ている。
 危ない、サクラさんに自転車がぶつかる。
 サクラさん、気づいて!
 サクラさんは、気づかなかった。
 私はおかあさんの手に握られているリードを振りほどく勢いでサクラに向かい、サクラさんの尻尾を思いっきりかんだ。
 サクラさんは、一瞬、吠えて、私に向かってきた。
 だが、自転車はその後ろを通り抜けていった。
 サクラさんはそれを気づいたのか、吠えるのをやめて、私をなめてきた。
 おとうさんとおかあさんも気づき、私をなでてくれる。
 サクラさんが気づいてくれてよかった。
74神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:14:40.48
先輩のお土産は余計なお世話

 先輩がお客様への訪問のアポがあったが、急に研修に行くと言うことになり俺が代理で行くことになった。
 このお客様は、中堅企業の社長で俺の会社と言うか支店で上得意にしたくて、先輩が何度もアタックしていた。
 俺は、いまでは珍しい対面型中心の証券会社の営業だ。
 いまどきインターネットで株を取引しないお客様はよっぽどのお金持ちで額が大きい。
 個人の千万円単位ではない。
 億円単位が当たり前だ。
 それだけに支店の預かり高がいっきに増える、お客様のところへは営業自ら足を運んでいる。
 俺は、そのお客様を代理とは言え、任されたのだから、いまよさそうな銘柄をとりあえずの先方の予算の一億円をちょっと超えるぐらいで、資料を作った。

 そして、当日、お客様のところに行った。
 受付で内線をかけ社長に会うことを言い、そこで気づいた。
 先輩から虎やの羊羹をお土産に持っていかなければだめだと言われていたことを。
 ここまで来たら、しかたがない、お土産を忘れたことはあやまろう。
 そして、社長室へ通された。
 ここは中堅の精密部品メーカーだ。
 中堅と言っても上場はしていない。
 ただ、利益は出ていて、内部留保があるので、投資したいと言う話だった。
 応接室に入り本棚を見ると、ドラッカーなどの欧米の経営書があった。
 こりゃ、てごわい社長かもしれないと思った。
 社長が応接室に入ってきた。
 開口一番。
「君とは、はじめてだね。私は……」と自己紹介をして、名刺を出してきた。
 俺の名刺も出し、名刺交換をした。
「すいません、今日はお土産をうっかり忘れてしまいました」
 社長は怒るわけでもなく、テーブルの上を見た。
「いや、いいよ。ところでその四季報は最新版?」
75神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:16:29.94
 俺はテーブルの上に会社四季報と推奨銘柄の資料を載せていた。
「はい、そうです」と答えた。
「なら、それをくれない?いや、で買ってもいいんだけど、すぐに読みたいし、それに」
 俺は、「それに」の後が気になった。
「どうも、今日は四季報とその資料で銘柄提案をしてくれるようだね。それなら、いいよ」
「ありがとうございます。それでは、それぞれ銘柄の紹介をします」
 商談はスムーズに行った。
 俺が提案した銘柄を社長が四季報を見て、質問してくるが、説明したら納得してくれた。
 最後に。
「ちょっと、社長の思っていた投資額をオーバーしていますので、銘柄をいくつか削っていただければ」
 そうしたら、社長は落ち着いて。
「いや、提案してくれた銘柄に全部、投資するよ。君も面白い企業を提案してくるね。ネット銘柄を避けて、配当利回りが多くて、生活に密接した安定銘柄中心で」
「はい。正直、私は、ネット銘柄は長期保有に向いて居ないと思っています」
「うん、私も経営者だからよくわかるよ。あの先輩は一任勘定でネット株とか言っていたから、首を縦に振らなかったんだよ」
「証券会社としては取引が多いほど手数料が稼げますからね。ただ、もうバブルの頃のようなことは、少なくとも私にはできません」
「ああ、あと君の先輩、いつも羊羹を持ってきていたけど、私、糖尿で食べられなかったんだ」
「え!?そうだったのですか」
「うん。だから、事務の人たちにそのまま差し入れしていたけど。それより、四季報の最新版を毎回、持ってきてくれたほうがよっぽど助かるよ」
 先輩はなんで気づかなかったのだろう。
「はい。これからは深いお付き合いになるので、よろしくお願いいたします。四季報は私が、挨拶がてらにお届けします」
「経理には話しておくから、あとは頼むよ。これからも、よさそうな銘柄があったら、話を持ってきて構わないよ。今は預金金利がなにせ悪いからリスクマネーにも分散しないときついからね」
 先輩が気づいていれば、こんなにいいお客様を逃さなかったのに。
76神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:17:02.27
雨に歌えば

 私は高校の玄関で立ち尽くしている。
 外は雨がざーざーぶりだ。
 私は傘を持っていない。
 正確に言うと、今朝、登校した時の傘がなくなっていた。
 傘立てに入れておいた傘が下校しようとしたらなくなっていた。
 誰かが勘違いで持っていたのだろう。
 平凡な傘だったからしかたがない。
 普段は折りたたみ傘をかばんに入れているが、昨日使い、今日は家で干していた。
 だが、この雨の降り方だとバス停に着くまでに制服がずぶ濡れになってしまう。
 困った。
 そこに男子生徒の声が背中からした。
「君、傘がないの?」
 私は、振り返った。そして。
「はい。どうも傘がなくなったようで」
 男子生徒は私より背が高いが、そんなに高くない。
 ハンサムではないが、温厚そうな雰囲気をまとっていた。
 そうすると、男子生徒は紺色の傘を出してきた。
「これを使いなよ」
「いいのですか?あなたはそれしか傘を持っていないようですが」
 そう言うと、男子生徒は私の手に傘を握らせ、雨の中に走り去っていった。
 私が声を出そうとする前に校門をすでに出ていた。
 私は困った。
 だが、その厚意を無駄するのにも失礼だと思い、その傘を使うことにした。
 なに、同じ学校だから、また会えるだろうと思った。
 その時にお礼は言おう。

 傘は翌日、きれいにして、学校へ持ってきた。
 だが、その男子生徒とはなかなか会えなかった。
 いつでも渡せるように私の机にはわきにぶら下げていた。
 それから二週間ぐらいした頃、近所に住む同級生と休日にファミレスへ行った。
77神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:17:12.75
 彼女が勉強でわからないところがあるから教えて欲しいとのお願いからだった。
 オーダーを取りに来た、ウェイターさんの顔を見ると、あの傘を貸してくれた男子生徒だった。
 私は、最初は知らないふりをして注文した。
 注文はドリンクバー、ピザ、ポテトをした。
 私はどきどきした。
 最初、会った時も悪い印象は抱かなかったが、ウェイターできりっとして働く彼に惚れしてしまったのだ。
 料理を彼が持ってきた時に思い切って言った。
「料理は以上です。なにかありましたら、そのボタンを押してください。失礼しま……」
 そこで、わり入った。
「あの、私のこと覚えていますか?」
「すいません。覚えていないですが、その机の教科書を見る限り、私と同じ高校とは思います。ただ、私は二年なので、一年の時に使っていましたね」
 かしこまった彼にしびれた。
 一年上の先輩なのも気づいた。
「二週間前に傘を貸してもらったものです」
 彼は気づいたようだった。
「あ!あの時の。それから、濡れなかったですか?」
「ええ、おかげで」
「それはなにより」
 私は、そこで後先を考えずにすっとんきょうなことを言ってしまった。
「あの、このお店は今、アルバイトを募集していますか?」
「ええ、していますが」
「私、一緒に働きます!」
 彼は困惑した。
「一応、店長に伝えますので待っていてください」
 この気持ちに気づいて、先輩。

 その後、友達と別れた後、店長と先輩で面接をした。
 とりあえず、試しに土日だけ働くことになった。
78神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:17:28.45
 先輩と働き出すと、楽しかった。
 先輩と連携してお客様の笑顔を見るのがやりがいになった。
 先輩のことがだんだんわかってきた。
 私の家の最寄り駅の反対側の出口に住んでいた。
 あとは高校では文芸部に入っている。
 私はある日、先輩と休憩時間が同じになった。
 まかないを一緒に食べた後、会話をした。
「先輩は文芸部ですよね?なんで、ですか?」
「いや、書く方は正直得意ではないけど、読む方は好きだから。図書委員でもよかったけど、そうするとバイトができないから」
「どんな本を読むのですか?」
 ライトノベルと言うかと思ったら。
「今は太宰を全部、読もうと思ってチャレンジ中。太宰は青空文庫で公開されているから、貧乏な俺でもどんな作品にも手が届く」

 家に帰って、青空文庫を調べた。
 なるほど。
 スマホに電子書籍ビューワーをダウンロードして、wikipediaを調べ、太宰治の代表作の人間失格を読み始めた。
 現代国語、課題図書以外の読書は久々だったがおもしろかった。
 読書がこんなに楽しいとは。
 そして文芸部に入部しようと思った。
 文芸部の部室は高校の部室棟にあるはずだから、そこに行けばいいだろう。

 翌日の放課後、文芸部の部室へ行き、ドアをノックした。
 そうしたら、先輩が出てきた。
「あれ、どうしたの?」
「私、文芸部に入部したいのですが」
「ああ構わないけど、まだ部長が授業中だから、中で待っていて」
 そうして、部室に通された。
 部室は会議室机と折りたたみ椅子、そして大量の本がささっている本棚があった。
 先輩以外の部員はいなかった。
「しかし、どうしてまた文芸部に」
 まさか、先輩ともっと長く一緒にいたいとは言えなかった。
 私の気持ちに気づいて、先輩!
79神田雄大
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2024/06/21(金) 22:17:38.08
先輩、背中ががら空きでしたよ

 202X年。
 コロナウィルス、香港の沈静化を共産党政府はできなかった。
 そして、民主化を求める勢力が台湾と手を結んだ。
 当然のことながら、その後ろにはアメリカがいた。
 共産党政府はロシア、北朝鮮を国内の支配のために招き入れた。
 そして、中国大陸は内戦状態となった。
 私は民主化同盟の狙撃手、スナイパーのマークスマンをやっていた。
 マークスマンはスナイパーをアシストしたり、狙撃中に敵の強襲からスナイパーを守ったりします。
 よくゴルゴ13とかマンガだと、狙撃手が一人ですが、実際の軍隊の狙撃ではまずそんなことはありません。
 マークスマンがいないと狙撃任務はできません。
 マークスマンが狙撃のあたりをつけたりして、狙撃手は視界の狭いスコープで狙撃手を狙います。
 スナイパーはセミオートの狙撃銃を使うので、いざ敵が襲ってきても連射ができません。
 一方、マークスマンは基本的にはアサルトライフルをベースにした短距離の狙撃にも使え、連射もできるオートマチックの銃を使います。
 今、私がマークスマンをやっているのは、訓練所で教官だった先輩です。
 狙撃の腕は1,000m先のターゲットも狙える、凄腕です。
 私も先輩ほどではないですが、自分で言うのもなんですが、スナイパーとしては優秀でした。
 だからこそ、先輩のマークスマンとしてコンビを組むようになりました。
80神田雄大
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2024/06/21(金) 22:17:46.10
 この文章が公開される時には、中国は民主化され、私の名前も出せるのですが、今はまだ内戦中なので、名前は伏せます。
 ただ、19歳の女性だと言うことまでは公開します。
 高校を卒業して、民主化同盟に志願兵として入りました。
 訓練の適正検査で狙撃に向いている、いえ耐えられる人間性。
 過酷な環境でも耐えられるメンタルの持ち主。
 格闘技で自分の身を守れることから、スナイパーとして訓練されました。
 スナイパーも狙撃の時には当然、ハンドガン、ナイフを持って、最低限の武装はします。
 ただ、狙撃時は重くて長い狙撃銃を持ち歩くので、普通の陸兵の使うアサルトライフも同時には持ち歩けないので、ハンドガンとナイフで最後は戦うことになります。
 そのために狙撃時はマークスマンがいます。
 それができるために先輩のマークスマンになり、いざと言う時に先輩の背中を守るためにマークスマンになりました。

 もう内戦も終わりかけの頃の話です。
 共産党政府の最高指導者を狙撃するチャンスを見つけました。
 ただ、狙撃ポイントはベストとは言えないところです。
 とは言え、内戦を終わらせるためのチャンスでした。
 ビルの屋上からターゲットを狙うためにはビルの合間からやっとでした。
 事前に場所を確認もできませんでした。
 最高指導者が演説をするので、街も厳戒体制でした。
 なんとか私たちは味方の情報収集したポイントに演説の直前に陣取りました。
 そして、最高指導者の演説がはじまりました。
81神田雄大
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2024/06/21(金) 22:17:55.87
「先輩、かなり弾道が限られますので、ワンショットで決めてください」
「わかっている」
 先輩と私は最高指導者の演説が行われるところを見ながら話した。
 先輩はこういう時でもリラックスしている。
 かと言って、緊張をしていないわけでもない。
 集中力が並外れていた。
 だから、民主化同盟でトップの狙撃手だった。

「先輩、ターゲットが狙撃ポイントに向かっています。狙撃ポイントに立ったら、即、トリガーを引いてください」
「OK」
 ターゲットは来た。
 先輩はトリガーを引いた。
 当然のことながら、ヘッドショットを狙っていた。
 だが、顔の前を抜けた。
 狙撃直前に現場に入り、気象状況も調べられなかったから、当然だ。
 長距離になればなるほど、気象状況の影響を受ける。
 この日は空気が湿っていた。
 そのため弾道がややそれた。
 すわ、階段から足音が聞こえてくる。
 本来はワンショットで決められれば逃げられる状況の想定だった。
 先輩は落ち着いた声で。
「もう、ワンショット狙う。背中を任せたぞ」
 先輩は弾丸を装填しなおして、狙撃体制に入った。
 刹那。
 屋上の入り口に人民解放軍の部隊が五、六人入ってきた。
 私は、階段から自分のアサルトライフルで対抗した。
 ただ、狙撃も兼用しているアサルトライフルなので、すぐに弾は切れた。
 もう、マガジンを交換している時間はない、すぐにアサルトライフルを捨て、拳銃を腰を引き出し、狙いを定めた。
 しかし、人民解放軍も精鋭だ。
 二人、仕留め損ねた。
 一人とは格闘戦になった。
82神田雄大
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2024/06/21(金) 22:18:04.47
 もう一人は先輩に向かう。
 先輩、気づいて。
 逃げて!
 だが、先輩は狙撃に集中していて気づかない。
 兵がアサルトライフを撃とうとするより早く、先輩はトリガーを引いた。
 そして、私は「先輩!背中!」と叫んだ。
 先輩は狙撃銃から手を離して、すぐに狙撃ポジションから離れた。
 先輩は、ナイフを出し、兵へ向かっていき、胸を刺した。
 一瞬だった。
 そこで、私と格闘戦をしていた兵もひるみ、隙が生まれ、私も拳銃を撃った。
 そして、私たちは屋上から逃走した。

 先輩は、ビルの入り口を出て。
「いけね、銃を置いてきた」
「ところで、当たったのですか」
「わからねぇ」
「当分、台湾にでも逃げましょう」
「そうだな。屋台で朝かゆでも食うか」

 一週間後、世界中のメディアで大陸中国の民主化政府樹立のニュースがめぐっていた。

 私と先輩は、台北で小さなアパートを借りて暮らしはじめた。
 先輩は、あの時、私が「背中!」と言ってくれなかったら、この生活ができなかったと言ってくれた。
 いつも先輩は背中ががら空きで、後ろから私に抱きしめられる。
83神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:18:28.91
保健室に登校する先輩

 私は、微分の宿題でわからないところがあったので、先輩に教えてもらおうと思い、教室、そして部室に行った。
 先輩は文芸部の同じ部員であった。
 いつも、勉強でわからないことがあると教えてもらっている。
 しかし、先輩は教室にも部室にもいなかった。
 そこで、保健室に行った。
 仕切られているベッドをのぞくと先輩が寝ていた。
 すやすやと子供みたいな表情してぐっすりと寝ている。
 先輩は愛嬌のある顔をしている。誰からも好かれる顔だ。
 起こすのが普通ははばかられるが、もう放課後だ。
 起こすのは構わない。
 このまま寝ていたら、学校が終わってしまう。
 私は先輩の鼻をつまんだ。
 先輩はあわてて起きた。
「まんじゅう食べたい」
 先輩は寝ぼけている。
 私は、先輩に声をかけた。
「先輩、もう放課後ですよ」
「あれ、俺、そんなに寝ていた」
「何時限目から寝ていたかは知らないですが、そうですよね。ところで、昨日もまた小説を書いていたのですか?」
「うん、つい筆がのって。待ってくれているファンがいるから」

 先輩はWeb投稿サイトで常にランクのトップクラスにいる。
 商業化の話は来ているとも聞いている。ただ、それを先輩に訊くとぼやかされる。
「まぁ、いいですよ。それより、一応、登校しているとは言え、進級は大丈夫なんですか」
「俺、友達がいい奴ばかりだから、テストは問題ない。先生も見逃してくれているから」
 そうなのだ、先輩は少なくとも授業の半分は保険室で寝ていて、出席をしていない。だが、テストではトップの下のあたりで悪くないポジションにいる。上位校の大学受験模試でも問題ないレベルだった
 やればできる先輩だった。
 それを意識して嫌味を言った。
ちょっと気づいて欲しいと思った。
「先輩、まじめに勉強すれば、学年の十位には入れますよ」
84神田雄大
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2024/06/21(金) 22:18:44.74
 そう言った時に先輩の同級生が入ってきた。
「おお、いたいた。この統計の応用問題を教えてくれない?」
 その人は問題のプリントを先輩の前に出してきた。
 先輩は問題を一瞥すると、プリントに公式を書き始めた。
「なるほど、そういう見方をするわけか。お前は、応用問題に強いんだよなぁ」
「まぁ、お前がいつも貸してくれるノートがいいからだよ」
 当然のことながら、先輩は保険室で寝ていることが多いから、ノートを同級生から借りる。
 だが、地頭がいいのだろう、基礎はすぐ身につける。そして、応用をできる。
 だから、同級生も先生も一目を置いている。
 そして、人柄も同級生からも愛されている。
 気づいて先輩、先生、同級生からも愛されていること。
 だから、授業に出て。
「と言っても、お前だからノートを貸しているんだよ。他の奴だと、俺のレベルのノートを読めないよ」
 この人は、学年上位の生徒だった。
「そうか、このレベルなら中学からちゃんと勉強していればわかるぞ」
「本当、お前がうらやましいよ。そんな簡単に基礎をマスターするなんて。じゃあ」
 そう言って、同級生は去って行った。
 会話のない空気が流れた。
 なんとなく気まずくなった。
 そこで、私は先輩の連載している小説の最新話の感想を話した。
「そういえば、先輩、読みましたよ」
「おぉ、そうか」
「伏線を回収していますね。まさか、こういう風になるとは思いませんでした」
 先輩はちょっといかつい表情になった。
「他の連中には言うなよ。あれはな、最初の頃の自分で書こうと思っていた展開からずれてきているんだ。ただ、キャラクターたちが動きはじめて、伏線回収を意外な感じで書けたんだよ。俺も書き手としてまだまだだよ」
 先輩、それは天才と言うのです。気づいてください。
「だから、自分の思うような物語を書けないうちは商業化を断っているんだ」
 先輩はある意味、青春を犠牲にして小説と対峙している。
85神田雄大
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2024/06/21(金) 22:18:49.70
 保険室に登校するのもしかたがないか。
 ただ、この先輩は自分で気づいていないだけで才能にあふれている。
 先輩が気づけば、人の上に立つだけの度量もある。
 先輩が自分の才能に気づけば、小説家としても出るところに出て勝負できる。
 気づいて、先輩。
86神田雄大
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2024/06/21(金) 22:19:13.73
青百合

 放課後の高校の体育館裏。
 青百合先輩と私の二人きりになった。
 先輩の胸にナイフを刺した。
 そして、先輩に口づけをした。
 そこで先輩は、やっと私の愛に気づいた。
「私を愛していたのね」
「そうです。これで先輩は永遠に私のものです」
「ああ、私があなたの愛に気づいていれば。私も愛していたの」
 そこで先輩は気づき、私も先輩の愛に最後に気づいた。
 私は新体操部に所属している女子校生。
 私の学校は女子校だった。
 よくある話だが、先輩に憧れ、女子同士で付き合う生徒もいる。
 私は入学当初はそういうのもさめた目で見ていた。
 だが、新体操部に入部して、先輩の演技を見て、心変わりした。
 私は中学校で体操をやっていて、高校に入り新体操にした。
 先輩は、背は平均より若干高いぐらいだったが、スリムな体型でモデルのようだった。
 街を歩くとスカウトに声をかけられることもあると言う話だった。

 先輩はバラと言うより、青百合だった。
 バラほどの派手さはない。
 だが、品がないのとは違う。
 和風の美しさがあり、そのため青百合と呼ばれていた。
 私は背も小さく、まだ幼児体型で、そこはコンプレックスだった。
 だから、人の倍の練習をした。
 そんな私を青百合先輩は気に入ってくれたのか、よく練習の指導をしてくれた。
 先輩の指導のかいもあり、市の大会では上位に入り込めた。
「あなたが、練習熱心なのはいいことよ」
「才能も器量もないからです」
「でも、才能も器量があっても練習をしないと行けないゾーンはあるのよ」
 事実、青百合先輩は部の誰よりも練習していた。
87神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:19:34.63
 みなが帰った後も練習していることはたびたびあった。
 段々、それを私が付き合うようになり。
 いつの間にか恋人関係になっていた。

 それの関係が崩れたのは、私が二年になり、新入部員が入ってきたからだ。
 その中にバラのように背も高く、縁起もうまい子がいた。
 中学時代も体操の全国大会で入賞していた。
 青百合先輩は、その子に最初はライバル心を燃やしていた。
 だが、その子はなんと、人格まで美しい子だった。
 先輩への挨拶、気遣いは行き届いて、その上、演技もうまい。
 青百合先輩の気持ちがその子に移っていくのも当然だった。

 ただ、気づいてほしかった。
 先輩を一番、愛しているのは私だと。

 ある日の、練習後、バラのような後輩と青百合先輩が体育館裏で口づけしているのを見た。
 私は、もう青百合先輩の恋人ではないと気づいた。
 だが、先輩にさよならと別れを告げたかった。
 それを先輩に気づいて欲しかった。
 だから、先輩を体育館裏で同じように呼んだ。
 私の愛に最後に気づいて欲しかった。
88神田雄大
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2024/06/21(金) 22:20:12.02
ビターだけどスィートなチョコレート

 今日はバレンタインデー!

 昨日は定時で帰宅して、ベルギー製のチョコレートを買ってきて、それを溶かして、主任のためのチョコレートを作ったの。
 型は自分で苦労して作った、猫柄。
 それにホワイトチョコレートでデコレーションしたわ。
 主任の喜ぶ姿が目に浮かぶ。
 今年こそ、主任が気づいて欲しい。

 会社へ出勤した。
 私は入社三年目の人事部所属のビジネスパーソン。
 来年で四年目になる。
 最近は採用活動を最初から最後まで任せられるようになったの。
 それも、先輩である主任から仕事を教えてもらったから。
 主任は私より二年先輩。
 冴えないメガネをしているけど、髪は短めでさっぱりしていて、ビジネスカジュアルのコーディネートもセンスがいい。
 素直に言えば、ライバルは多い。
 たまに手を休めて、メガネをはずして目薬を差したりしていると、結構、イケメンとわかる。
 他の部の女子たちも、それを見逃してはいない。
 仕事もでき、部長、課長からは信頼されている。
 実際、主任が採用を推した人々は実績をあげて活躍している。
 採用だけでなく、人事異動でも適材適所の配置を部長、課長に提案している。
 つまり、女性だけではなく会社全体でもてる男性なのだ。

 先輩は、既に出勤していて、スケジューラーとシステム手帳をチェックしていた。
 こういう自己管理ができるところが素敵。
 ただ、チョコレートを渡すなら、今がチャンス!
「主任、ちょっとよろしいですか?」
 私は主任に声をかけた。
「ああ、構わないけど」
 と主任が言った瞬間に主任の前の席の課長が言った。
89神田雄大
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2024/06/21(金) 22:20:44.98
「ああ、ちょっと、この書類をチェックしてくれないか」
 先輩は課長のところへ向かいつつ、私に言った。
「ごめん、用件は見当がついているから、机の上に置いておいて」
 さすがに主任は、今日はバレンタインデーと気づいていたか。
 しかし、あっけない対応でちょっとがっかりした。
 気づいてよ、主任。

 お昼休みを過ぎて、ちょうど手が空く頃。
 主任は私に声をかけてきた。
「ちょっと、リラックス・スペースに行けるか?」
 私は、どきどきした気持ちになった。
「ええ。大丈夫です」
 主任と私はリラックス・スペースへ向かった。

 主任は私の前をほどよいペースで歩き、私をきづかってくれていた。

 主任はちょっと人が固まっていないところへ私を座るように促した。
「ええと、ミルクティーでよかったんだっけ?」
「はい。あ、お金」
「なに、お返し。おごるよ」
 あらら。ずいぶん、安いバレンタインデーのお返しだ。
 今年も気づいてくれなかったのかな。
 主任は自動販売機から、ペットボトル入りの私のミルクティーとブラックの缶コーヒーを持ってきた。
「あいかわらず、ブラックなんですね」
「ああ。甘いものはどうも苦手でね」
「そうでしたね」
「まず、チョコレートありがとう。昼休みに食べたよ。お前、よく俺の好みがわかったな。ビターチョコレートにデコレーションはスィートチョコレート。それで俺が好きな猫の形」
 先輩は、笑みを浮かべた。
「主任、喜んでいただけましたか」
「ああ、うれしかったよ。去年はゴディバだったよな?」
「ええ、奮発しました。ただ、先輩はどうも喜んでくれなくて」
 先輩は、ちょっと恥ずかしげな表情になった。
90神田雄大
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2024/06/21(金) 22:20:49.59
「まぁ、うれしかったのは事実だけど、どうにも味が好みではなくてね。でも、ちゃんと食べたよ」
「それを聞いて、安心しました。今年はちょっと主任のことがわかってきたので」
 私も恥ずかしげに言った。
「ああ、お前も成長したと思ったよ。よく、人を見る目ができてきた」
「また、主任は口がうまくて。どうせ、他の女性(ひと)からももらったんでしょ」
 ちょっと、私は意地悪をして反応を探ってみた。
「去年はね。ただ、今年はお前から以外のチョコレートは部の女性全員からのイベントチョコ以外はもらっていないよ。筋を通すために断った」
 私は、驚いた。やさしい主任がなぜ、そんなことをするのだろう。
「それでホワイトデーなんだけど、ちょっと遅れるけどいいかな?」
 私の頭の中は疑問符だらけになった。
「まぁ、意味がわからないのよな。順を追って話すよ。まだ、内々の話だから他言無用で」
「はい」
 私は、バレンタインデーのお礼がなんでこうなるのか、ますますわからなくなった。
「お前は、次の人事異動で主任に昇進が内定している」
「え!?私が」
「まぁ、採用活動を一通りこなせて、後輩のトレーニングもできるようになったし、ポジションをあげて、新たな経験を積ませるほうがいいだろうと部長、課長と俺の総合判断だ」
「でも、私が主任なると、主任は?」
 私はまたまた混乱した。
「新人時代から相変わらずだな。まぁ、そうやって疑問を正直に言えるところが逆に長所でもある」
 先輩はちょっと笑った。
「俺は、課長へ昇進する。だから、それまで返事を待って欲しいんだ。しかし、お返しは俺、一人では選べないな。指のサイズは人事で管理していないからな」
 先輩は真剣な表情をして、私を見つめていた。
 私の思いに気づいてくれたのですね、主任。
えーと、せっかくのこのシーズンなのでバレンタインデーネタで攻めてみました。
さて、10作あげて切りがいいので今作を今回の文戯への投稿の最後の作品とします。
まぁ、個人的にちょっと連続して書いて、本当の自分の持っているテーマで勝負したいと思っているので。
どこか、また他の場所で会いましょう!
91神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:21:00.47
お題「結晶」
幸福の結晶

 娘が死んだのは、コロナウィルスが原因だった。
 娘はまだ六歳だった。
 もともと、肺がよくなく、通院していた。
 コロナウィルスで肺炎になり亡くなった。
 妻が感染したコロナウィルスが家庭内感染で娘に感染した。
 娘は書いたとおり肺が弱く、虚弱体質だったので幼稚園にも通っていなかった。
 近所に友達はいた。
 ただ、遊ぶことは少なかった。
 私は仕事が忙しく、全てを嫁へ任せ、娘と外出や旅行したことも少なかった。
 ただ、娘の思い出はある。
 私が会社から返ってくると、同年代としては長い黒い髪を振り回して、まんまるな目をして、私の足に抱きついてきた。
 だが、私にとってもそうだが、娘もそのぐらいしか思い出はない。

 私が魂の結晶を集めると、彼岸を渡った人と会えると聞いたのは、娘がなくなり憔悴して、会社をやめ、飲み屋で荒れていた頃だ。
 オーセンティックバーでつまみも食べずに、ロックのグラスを重ねていた。
 バーテンダーにおかわりを頼むとストップがかかりはじめていた。
 そんな時、一つ席を離れた、坊主の男が話しかけてきた。
「あんた、生きることに絶望していますね」
 俺は、そのとおりなので、そのまま返答した。
「ああ、娘を失った。もう、生きている価値はない」
 よく見ると坊主だが、スリムなスーツを着ており、仏教の坊さんと言う感じではなかった。坊さん特有の説教くささがない。ただ、年齢までは暗いせいもありわからなかった。
「もう、マスターに迷惑だから、私の部屋での飲み直さないか?」
 マスターは厄介払いができるためか、「そうしなよ」と言った。
 それなら、しかたがない。
 私は坊主の男の言うことを聞いた。
 連れて行かれたのは、ぼろい雑居ビルだった。
「すまんが、エレベーターはなくて、最上階だから歩くよ」
92神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:21:08.35
 男は軽々と足を上下させ、階段を登っていった。
 俺はついていくのがやっとだった。
 着いたのは屋上だった。屋上にプレハブがあった。
 着いた頃には酔いがさめていた。
 そこに男は入っていったのでついていった。
 鍵を開けた様子はなかった。鍵をかけていないのだろう。なんて、不用心だと思った。
 だが、逆にその程度のところなら、逃げる時も楽だからどうにかなるだろうと思った。

 部屋へ入ると、ブラウン管テレビが積まれていて、そこらに十字架とマリア像がいくつもあった。
 俺は疑問に思った。
「あんた、ジャンク屋?教会には見えないな」
「まぁ、昔は主を信じたこともあったよ。あんたと同じく救われなかったけどな。今は魔術師だ」
「このブラウン管テレビは?」
「ブラウン管テレビはあの世とつながるんだ」
 俺は期待して言った。
「じゃあ、娘と会えるのか?」
 男は、バーボンとグラスを出してきた。
「すまんが、氷はない。ロックで頼む。まずは、気持ちを落ち着けて聞いてくれ」
 男は、俺にワンフィンガーのバーボンを出してきた。
 俺はグラスを傾け、一気にバーボンを飲んだ。
 男は手の上でグラスを回しながら、話しはじめた。
「娘さんに会うことはできる。ただし、どんな魔術でも代償はいる」
「金ならいくらでも出す」
「金?そんなものに魂がこもっているのか?そんなものは代償にならない」
93神田雄大
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2024/06/21(金) 22:21:17.57
 男は透明の結晶石を出してきた。
 親指大ぐらいのものだ。
「この結晶石が青くなるようにすること。それに魂を込めることが代償だ」
 と言われても、なにのことはわからなかった。
「お前が人の楽しい気持ちの魂を集めることだ」
「なんだ、それ?」
「さぁ、それはお前がいろいろ試してみろ。それがわかれば、娘には会える。とにかく人を楽しい気持ちにさせることだ」
 男は二杯目のバーボンを俺のグラスについだ。
 それをあおったところまでは記憶が残っている。
 記憶が戻ったのは、バーのドアの前で倒れていた二十四時の閉店時間だ。
 マスターが看板を仕舞おうとして、ドアを開けた時に俺を起こした。

 結晶石を手は握っていた。

 さて、どうするか。
 街を歩いていると、深夜営業している花屋が目にについた。
 飲み屋の女性にプレゼントする男性のために営業している花屋だ。
 色がいろいろなチューリップの花束が目に入った。
 娘が好きだった花だ。
 俺は、これも縁だろうと思い、買った。
 家に帰り、花束を嫁に渡した。
 妻は。
「あら、珍しいわね。私に?」
 と言って、にっこりした。
 娘のためと思ったが、ここはそのままにしておこう。
「ああ」
「そうね、私もあの子も好きだった花だからうれしいわ。仏壇に飾るわね」
94神田雄大
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2024/06/21(金) 22:21:25.96
 そして、手の中からズボンのポケットに入れ替えた、結晶石を出してみた。
 結晶石の色が青みがかった。
 なにかがわかった気がした。
 翌日、俺は近くの児童公園に娘が使っていた、遊具を持っていった。
 そして、そこにいた子どもたちと一緒に遊んだ。
 帰ってみると結晶石はさらに青くなっていた。
 そんなことを毎日していた。

 ちょっと、夕方に妻が夕食を作っている時に塩が切れたので、コンビニまで買いに行った。
 その帰り道に児童公園を通ると、一人の女の子がいた。
 気になったので、話しかけてみた。
「お嬢ちゃん、おうちに帰らないの?」
「わたし、施設に戻りたくないの?」
 施設?
 そういうことかと合点がいった。
 ただ、施設を脱走したと言うことはなにかがこの子にあるということだ。

 このまま警察に通報するのはためらわれた。
「じゃあ、おじさんの家に来る?」
「うん、行く」
 この子を連れて帰ると、妻はおどろいた。
 ただ、事情を話すと理解してくれた。
 そして、三人で夕食を食べた。
 娘がいなくなってから、久々に暖かい夕餉の時間だった。

 私は決意した。
 その子が寝た後、妻に話した。
「こういう話はしづらいけど、あの子はなにかわけがあるようだから、うちで育てないか。もちろん、役所とかには話すよ」

 妻はすんなりと。
「いいわよ。ご飯の食べ方や話し方を見ていると、育ちはよさそうな子だし、あなたがしたいなら構わないわよ」
95神田雄大
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2024/06/21(金) 22:21:33.34
 翌朝、警察に相談して、その後、役所と話した。
 その子はもともと中堅ビジネスパーソンの娘だったが、交通事故で両親を亡くし、縁戚もいないため施設にいると言うことだった。
 もともと、育ちのいい子だから、ここで苦労させるなら、いい方の養子になってもらえるならばと、話はすんなり行った。

 その子が来て、私は生きていくことが楽しくなり、社会復帰もした。
 また、忙しい毎日だったが、週末は三人でいろいろなことをした。
 春はハイキングに行き。
 夏は海水浴。
 秋は登山。
 冬はスキー。

 仕事が早く終わり、久々にあのオーセンティックバーに顔を出した。
 マスターは私を見て、「別人かと思いました。そんなに明るい顔をしていましたか?」
 楽しくマスターと話しながら、飲んでいると。
 ドアが開き、坊主の男が入ってきた。
 私に気づいたようだ。
「久しぶりだな。生きていたんだな。どうだ、結晶石は?」
 結晶石?私はすっかり忘れていた。
 ポケットから出してみると、見事な青色になっていた。
 それを男に見せた。
「私のところへ来れば、願いが叶うぞ」
 俺は一瞬、こころが揺れた。
 だが、口から出たのは。
「いや、いいよ。今は、幸せだ。娘も彼岸の向こうで幸せになっているはずだ」
96神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:22:29.24
壊れた結晶

 彼女の結晶が壊れたのは、彼女が主催している同人誌に樋口幸人なる人物が十一作品も投稿したからだった。

 彼女は文戯と言う同人誌を主催していた。
 正体は隠していた。
 これが、結晶が欠けはじめた原因でもあった。
 そんな人物に節度を持って接するまともな人間はいない。
 だから、つけこまれた。
 もともと、文戯に事件を持ち込んだ人物とも現実では会ったことがない。
 本名、性別すら知らなかった。

 結晶が壊れはじめたのは文戯のコンペに匿名掲示板の技巧の争いを持ち込んだことだった。
 そもそも、彼女は乗り気ではなかったようだ。
 ただ、投稿数も減っており、売れていない同人誌の売上があがる期待もあった。
 コンペが盛り上がるだろうと妥協した。
 ここが彼女のスケベ心だった。
 ラブホテルで男女二人になって、下着姿でベッドに入るけど、この姿だけを見せて、なにもさせないでお小遣いだけはもらったので終わりと言うような感覚の持ち主だった。
 当然だが、そんな世の中はあまくはない。
 拒めば逆に乱暴されるだけだ。
 それをどこかに訴えようにも、既にお小遣いはもらっている。
 彼女は未成年ではなかった。
 訴えたところで誰も耳を貸さない。
 それを理解できなかった彼女がバカだった。

 さて、樋口は十一作も投稿してきた。
 投稿される度にきびしい感想を書いた。
 しかし、もう下着は脱がされていた。
 それで抵抗するのは無駄だった。
 彼女ができるのは男の陰部を口で噛み切ることしかできなかった。
 彼女はそれをしたのだ。
97神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:22:36.24
 もともと男を並べて、陰部を品定めするようなことをしていた。
 そこで自分の好みの陰部だけにしたのだ。
 他の男性の陰部ははさみで切り取った。
 文戯はたしかに続いた。
 ただ、男もどの程度の女かはわかってしまった。
 彼女の陰部を開いても、男は相手にしなくなった。
 社会の底辺の男たちの上に自分から乗るようなった。
 そして彼女の結晶は砕け散った。
98神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:23:01.83
私を閉じ込めないで

 私はある国の姫だった。
 王国で宗教改革が行われた時、魔術師に結晶の中に閉じ込められた。
 宗教改革の象徴として、革命記念館に置かれて、観衆に見られている。
 観衆は王政を懐かしむ。
 革命政権に不満を持っている民も多い。
 私がここから出られても、王政を復活する気はない。
 ただ、民を大事にする国にする。
 人々は今では革命政権の圧政に苦しんでいる。
 最初の頃は宗教指導者の言葉に民は酔っていた。
 しかし、宗教指導者は宗教的な言葉でむちゃくちゃなこと言うようになっていた。
 しまいには神の代弁者だからと言って、民の生活が苦しくなるほどの税金を徴収し、豪華な生活をしていた。
 そんな指導者は既に民には見捨てられていた。
 しかし、指導者には武力がある。
 民は従うしかなかった。

 そんな国だから、周辺国との紛争も絶えなかった。
 いつも、どこかの国と火をちらしていた。
 そして、その兵士として招集されるのは、民。
 特に農民だった。
 そのため、国に食料は常に不足しており、民はおなかを空かせていた。
 逆にそのために反抗する力も出てこなかった。
 そんな国だから侵略してくる国もある。
 街にはそんな国のスパイが跋扈していた。
 しかし、指導者は反権力組織を徹底的に弾圧する。
 民同士も疑心暗鬼になっていた。
 もう、国はほろびかけていた。

 何度かそんな国を救済しようと周辺国が攻め込んできたこともあった。
 しかし、宗教指導者はだてに宗教指導者ではなく、魔術師でもあった。
 地域では最強の魔術師だった。
99神田雄大
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2024/06/21(金) 22:23:06.96
 どの国もいいところまで攻め込んでも、宗教指導者を倒すことができなかった。
 実は私も魔法使いだった。
 宗教指導者と魔術戦闘をして敗れて、結晶に閉じ込められた。
 私を閉じ込めないで。
 ここから出して、彼を倒すのは私。


 宗教指導者も百歳を超えるとその魔術力は衰えてきた。
 魔法陣などでなんとか防衛していた。
 そんな時、あなたは現れた。
 どこか違う大陸から流れてきた、あなた。
 この国に来たのも、旅路の途中に休みを取るためだった。
 私に会ったのも、食事に出たついでの腹ごなしに革命記念館に入った。
 ただ、あなたには私の声が届いた。
 そして、彼は私を閉じ込めていた結晶をいくつか言葉を唱える魔法だけで私を解放してくれた。
 強力な魔術の持ち主だった。
 かつての宗教指導者よりも魔術力があったかもしれない。

 私が解放されたことを知った民は私のもとに集った。
 そして、あなたと私で宗教指導者を倒した。
 国に平和が戻ってきた。
 しかし、私と一晩をともにしてから、国を去っていった。
100神田雄大
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2024/06/21(金) 22:23:21.59
くず結晶石

俺はあるところに文章を書いて、いいねをしてもらうのが生きがいだ。
いいねは結晶石に両替でき、さらにその結晶石を売ることができる。
俺には敵がいた。
神田と言うバカな知的障害者。
俺にいろいろ言ってくる。
だが、俺はいいねをいっぱいもらっている。
あんな奴より、俺には存在価値がある。
あいつにはいいねがついていない。
あいつは中古をさらすなと文句を言っていた。
別に中古だろうと価値があればいいのだ。
どこが悪いというのだ。
あいつのいきがった文章のほうがクソだ。
上から目線でいつも腹が立つ。
まぁ、あいつのことをいつまでも言っていてもしかたがない。
俺の結晶石はかなりたまってきた。
新しい楽器を買うために結晶石を売ることにした。
結晶石屋に行き、主人に革袋いっぱいの結晶石を見せた。
主人はおどろくだろうと思った。
しかし、主人は使用人を呼んで、奥に引っ込んだ。
さらに玄関には強面のお兄さんたちが来た。
使用人は言った。
「あんた、いやがらせか?うちはかたぎの商売をやっているんだ」
俺にはなんのことわからなかった。
「なんのことだ。早く、結晶石を買い取れ」
使用人は、強面のお兄さんを呼び、俺の腹に一発のパンチが入った。
俺はなにが起こっているかますますわからなくなった。
「ちょっと、俺はなにをした」
使用人は「模造結晶石を持ち込んで、まだ、しらを切るのか。出るところ、出てもいいんだぜ。爺さん。それにあんた、偽の身分証を出しただろ。立派な犯罪なんだよ。ここで黙って去れば見逃してやる。えらそうな態度を続けるか?」。
101神田雄大
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2024/06/21(金) 22:23:29.06
アメリカの魂

アメリカの魂が壊れたのは2022年。
中国共産党による台湾支配を許した時だった。
バイデン政権は中国から有利な貿易条件を得るために民主主義を捨てた。
アメリカも両海岸と内陸部との分断がひどくなり、もう両海岸を横断するドライブは不可能になった。
両海岸の住人を内陸部の住人は認めなくなっていた。
トランプ前大統領はすでに不動産デベロッパーのビジネスに戻り、本業に腰を据えて、コロナ禍も落ち着き、安定した経営をしていた。
共和党からトランプ氏へ工作してもらうためにいろいろな声がかかったが、トランプ氏は、俺は自分のビジネスをやるだけと言い、相手にしなかった。
日本も尖閣諸島、大和堆がめちゃくちゃなことになった。
時の河野首相は習近平へ様々な工作をしたが、なにしろアメリカが親中路線になったのだから、どうにもならない。
中国支配下の北朝鮮と日本は国交がなくなり拉致被害者の救助は絶望的になった。
沖縄の米軍・海兵隊は動くどころか本国へ引き上げはじめた。
さらにアメリカの中間選挙では中道左派ですらない、親中左派が大勝利した。
それだけですめばよかったのだが、バイデンが中国を許容したことでFATMANGが中国で自由な事業をできるようになり、さらに勢いを増した。
中国の一帯一路の域内ではFATMANGの支配が及んだ。
アメリカの持っていた民主主義が死んだ。
アメリカの心の結晶が壊れた。
バイデンは81歳になっていたが、2期目を狙いはじめた。
バイデンは悪い人間ではなかった。
ただ、79歳まで大統領選に出なかったように意志の弱い、無能な男だった。
そんな男にアメリカを任せれば民主党の奥の院がどうにでもコントロールできる。
EUはそんなアメリカを見捨てた。
当然、EUはアメリカの象徴であるFATMANGのEU域内での活動を一切禁止した。
それに対してバイデンは様々な手で報復した。
EUのインターネットはアメリカを迂回して通信するようになったのが一例だ。
バイデンは世界の団結を結ぶはずが世界を分断させた。
世界の良心の結晶も壊れた。
混乱する地球。
主は地球を見捨てられた。
102神田雄大
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2024/06/21(金) 22:23:37.72
偽ダイヤ

俺は、ある宝石商を紹介された。
ラグジュアリー・ホテルのラウンジでその宝石商と商談をした。
宝石商はテーブルの上にハリバートンのアタッシェケースを開いて、宝石を並べた。
俺は、伊達にブローカーをやっていない。
ひと目で人造ダイヤとわかるものばかりだった。
あきれかえって言った。
「あんたさ、たしかに人造ダイヤも工業用に使えるけど、値段はつかないぜ」
すると宝石商は言った。
「あらら。よくわかりましたね。私は宝石なんて結晶に価値を見出していませんから。だから、こんなあこぎな商売をやれるんですよ」
俺はおもしろい男だと思った。

「まぁ、俺もダイヤなんて価値を見出していない。産業用にはたいして役に立たない。これがゴールドなら産業用に使える」

「私も自分の資産では一切、宝石はありません。ゴールド、銀、プラチナはオルタナティブ資産としてもっています」
「まぁ、それが普通だよな。宝飾用ダイヤなんて趣味が悪い。資産としては価値がない。管理も面倒だ」
「そのとおりですね、旦那」
「ところでなんで、そんなものを俺に見せてきた?」
「いえ、人造ダイヤを見抜けぬ方とビジネスはできませんから、失礼ながら私からのテストでした」
「あんたも悪い奴だな」
「まぁ、世の中には宝飾用としてもカスみたいなダイヤに価値を見出すバカもいますから」
「言えてるな。そういうのにはどうする?」
「カスしかわからない方とは取引をしません」
男はそう言うと、テーブルの下から、新しいアタッシェケースを出してきた。
人造ダイヤのあったアタッシェケースを閉じて、下に置き、新しいアタッシェケースを開いた。
今度は見事なものだった。
たしかに宝飾用としても値段がついて当然の石で、加工も見事なものだった。
「旦那なら、これ以上の説明は不要ですな」
「アタッシェケースまるごとでいくらだ?アタッシェケースごと買うよ。即金でいいぜ。俺なら全部さばける。もちろん、手元になんておかない。すぐにさばくからな」
103神田雄大
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2024/06/21(金) 22:23:48.05
ルールブレイカー

俺はルールブレイカー。
主に認められた存在。
主からの教えからも解き離れている。
俺の心には主が閉じ込められている結晶がある。
これがあるから、俺は主の代行者であり、あらゆるルールを破壊できるルールブレイカーだ。
学校でも先生に指示されたことを無視しても、主の代行者だからセカイの真理に沿っていれば、なんでも許される。
国語の夏休みに課題図書が与えられて、感想文を書くことになった。
ただ、俺には難しすぎるJ・K・ローリングスだった。
俺には山岸巳代蔵しか読めない。
彼は主の偉大なるしもべだ。
夏目漱石は自身のこころの探求したが、主のしもべではない。
ストレイシープなどとのたまわっているが、主の教えに反して、現代セカイを生きている。
そんな奴の書いた本など俺は読まない。
山岸巳代蔵は主の教えを理解している。
そして、夏休みが終わり、宿題を提出した。
校内で当然、一番になると思っていた。
放課後、校長室に呼ばれた。
職員室ではない。
俺は、わざわざ校長が自ら表彰してくれると思った。
校長室のドアを叩き、校長室へ入った。
そこには校長と担任と見慣れない白衣を来た女性がいた。
校長は俺をソファーに座るようにうながした。
なぜか白衣の女性がテーブルの上にICレコーダーを置いた。
校長が口を開いた。
「まぁ、昔から課題図書を選ばず、好きな作家の本の感想文を書く子はいるんだけどね。そこはあまり気にしていない。ただね、読んだ本がね」

「校長なんでですか?ヤマギシ会は主によって救われた人たちの組織です。山岸巳代蔵は立派な人間です」
「うん、そうかもしれないね。ただ、私たちには君のことがわからなくなってね」
担任もうなずいた。
104神田雄大
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2024/06/21(金) 22:23:55.92
白衣を来た女性が口を開いた。
「反抗期だからしかたがないところもあるのはわかっているのですけど、ちょっと考え方がね。私がカウンセリングをすることになるから」
俺は言った。
「あなたは主の代行者である私をどうする気なんですか?カウンセリングってなんですか?」
三人は困ったようにうなった。
女性が。
「そういうところがちょっとね。保護者の方には、もう連絡していて、とりあえず私の病院に一ヶ月ほど入院してもらいます。そうそう、病院でルールを守らないと、あなたはもう二度とおうちに戻れないかもしれないわよ」
「なに、俺はルールブレイカーだ、病院のルールもやぶってやる」
女性は校長にささやいた。
俺には聞こえた。「ちょっと、ルールを守れない子は病院でも扱いかねますが」
「でも、私どもでは限界ですので」
「なら、本当に三重のヤマギシ会に入れますか?」
「それは勘弁してください」
「冗談ですよ」
まったく大人はわかっていない。
ルールブレイカーがセカイを変えるのだ。
俺のこころの結晶が光ったのを感じた。
セカイを変える瞬間が来たのだ。
105神田雄大
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2024/06/21(金) 22:24:14.19
お題「花言葉」

テロリスト・ブルーアイリス

「また、野党の議員ですね」
俺は先輩の刑事に言った。
周囲には鑑識がいたが、俺たち刑事も現場を検証していた。
「ああ、ナショナルアセット法に反対していた議員だ」
「しかし、自民党の議員を野党の議員と言うのは、なれませんね」
「しかたがないだろ、共産党の首相になって、立憲民主党が与党になったんだから」
そうだ、コロナ対応へ自民党・公明党政権が失敗して、いつの間にか共産党・立憲民主党連合政権に日本はなった。
そして、共産党から首相が選ばれた。
国民は不思議なことにそれを自然と受け入れた。
ナショナルアセット法とは「国と国民の為の資産法」のことで、これは一言で言うのは難しい。
ただ、言えるのは自民党が下野して、与党の親中派が日本国内への中国からの出資を募るための手段だった。
いつの間にか、尖閣もなぁなぁの状態になり、人民解放軍の軍艦が通過するようになっていた。
日本の各海峡は中国とロシアが自由に行き来するようになっていた。

かつて、中国、ロシア軍の偵察機が日本の領空を侵すと航空自衛隊のスクランブルがかかっていたが、スクランブル出動も禁止された。
「ところでやっぱりあったか、あやめは?」
「ありましたよ。ふざけたことにほとけさんのスーツの上着のポケットに差していました」
「テロリストとしても、ふざけているよな」
「これで四人目ですね」
「ああ、さすがに五人目になると、桜田門への国民の眼も厳しくなる」
「それもありますが、市ヶ谷のほうも大変らしいですね」
桜田門とは警視庁。
市ヶ谷とは防衛省・自衛隊のことだ。
「市ヶ谷は親米派だと地方の隊員募集に飛ばされるとさ」
106神田雄大
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2024/06/21(金) 22:24:21.42
「うちは都内に限りますからね。そう言えば、先輩、あきる野の交番勤務の時期がありましたよね?」
「今の刑事よりそっちがよかったってかみさんがぐちをこぼすよ。なにせ、俺のところで子供が生まれた時にそれがニュースになるぐらいのんびりしていたからな」
「悪くないですよね、二課にいるより」

「ああ、これも一課で扱いきれないで二課になったからな。あきる野にいた頃なんて、地元の子供相手に交通ルールを教えることがメインだったぐらいだよ」
先輩はぼやく。
「ところで、なんであやめなんでしょうね?」
「うーん、そこだけど、本部のなんらかのメッセージはあるだろうけど、わかっていない、だから……」
「殺めるで、あやめならセンスがないっすよね」
「そこなんだよな」
「あやめの花言葉は希望だと言う説も」
先輩はいやそうな顔をした。
「バカを言え、こんな日本のどこに希望がある。よっぽどいちご農家の首相のほうがましだった。最近の外事部ののことは耳に入っているだろ?」

「ええ。人民解放軍がサーバを閲覧できるアカウントがあるとかないとか」
「誰が敵で、誰が味方かわからん」
「テロリスト・ブルーアイリスとか呼ぶ連中もいるらしいですよ」
「なんだ、それ?」
先輩はきょとんとした顔になった。
「なんでも、そういう国士様のブログがあるらしくて。Blueirisr.jpってドメインがあるそうです。日本の新たな希望を書いているらしいっす」
「お前、それ、捜査会議で言ったか?」
「いやー、都市神話だとばかり思って」
「バカヤロウ!一応、サイバーの連中に身元を洗わせろ」
事件はあっと言う間に解決した。
ただ、いつの間にか捜査本部は解散して、関わった捜査員は二課所属でなくなった。
俺と先輩は小笠原の交番勤務になった。
一応、都内で警視庁の管内だ。
まぁ、事件も起こらず平和な毎日だ。
俺はスキューバーを覚え、海の落としものを探している。
先輩のところは子供が増えた。
107神田雄大
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2024/06/21(金) 22:24:27.77
樋口のラフレシア

樋口はトップが獲れると思っていた。
その場所が樋口には、そんな風に見えていた。
しかし、樋口が思っているほど、セカイは甘くない。
樋口は打ちのめされた。
そうだ、その場所は樋口にとってラフレシアだったのだ。
ラフレシアの花言葉は「夢現(ゆめうつつ)」。
樋口は夢と現実の区別がつかなかった。
彼らは悪くない。
樋口が悪かったのだ。
樋口はそれに気づかなかった。
いや、気づいたのは遅かった。
気づいた頃には樋口はラフレシアで狂っていた。
ラフレシアは人食い花ではないのは学術的には証明されている。
しかし、樋口はハエのようなものだ。
ラフレシアはハエに受粉させる。
樋口はラフレシアに受粉させられて狂った。
その結果が今の樋口だ。
その場所は樋口にとってラフレシアだった。
狂った樋口が正常に戻ることはないだろう。
彼岸を渡っても正常に戻れるかはわからない。
108神田雄大
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2024/06/21(金) 22:24:37.50
あとがきに代えて

 今回は本書を手にとっていただきありがとうございました。
 ここを読んでいると言うことは最後まで読んでくれたのですね。
 まず、最後に一言、文戯はWeb投稿同人誌界隈でいまや、ハイレベルのコンペが行われていて、もう、新規参入がしづらくなりました。
 毎回、同人誌に掲載されるトップ3のメンバーはほぼ固定化されました。
 しかし、不思議です、彼ら・彼女らはなぜ、他のところで名前を聞かないのでしょう。
 ご存知の方もいらっしゃるようですが、私はKDPの世界ではそれなりに名前が知られています。売れているほどではないですが、アーリーでしたからね。
 まぁ、トラブルもその頃から多かったですがね(苦笑)。
 彼ら・彼女らは文戯以外で名前を目にしたことがありません。
 なんで編集長いわくレベルが高い同人誌なのに、そこから人をひっぱる方がいないのでしょうか?
 それがセカイの不幸です。
 と言うようなことを正直に書くから、毎回、全作品に評点1が投票されるわけです。
 あれも欠陥システムで本来は独自サイトを立ち上げればいいのに、どういう事情かわからないですが、てきすとぽいのシステムを使っているからです。
 あれ、全作品に投票をしなくてもデータの挿入がコミットされます。
 つまり気に入らない作品に1だけを入れるとことは可能です。
 さらに不思議なことに1が入った作品があると不正が起こったというのですが、民主主義で署名付きの投票用紙なんてあるのでしょうか?
 民主主義の選挙ではありえないです。
 ちなみに私の作品に投票された評点1は不正ではないそうです。
 まあ、ここまで茶番だとね(笑)
109神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:24:47.53
 しかし、最新回で言えば、私を含めて作品投稿者は4人。
 なぜか、投票は多い人だと10人、少ない人だと8人。
 いろいろ編集長は吠えていますが、この数だと正直、Web投稿サイトとして集客失敗。
 プロモーションのために使ってくださいとおっしゃっていますが、プロモーションになりません。
 だいたい、「文戯」でSEO対策すらしていない。
 Google検索も肝心の投稿サイトがトップに出てこない。
 はい、これ以上はやめます。

 今回、転載するにあたり多少、手を入れました。
 まぁ、これでハイレベルなあの戦場で戦うのは難しいでしょう。
 ただ、編集長もそろそろBCCKSでの発刊の同人誌以上の場を与えないと、投稿者たちの成長も止まります。彼はプロで出版社とつながりがあるのが信用・Trustです。
 インディーズで終わると投稿者のモチベーションが続かない。
 これは樋口幸人ではなく、ビジネスパーソンの私としての意見になりますが、ある程度、連続してトップ3になった方は連載をさせて中編・長編にチャレンジをさせるとかの機会を作るべきでしょう。
110神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:24:54.11
 これで最後にします。
 しかし、私はテーマがないですね。
 ただ、お題の提示が笑点の大喜利より曖昧でよく書いたと思います。
 量産乱作をよくないと言う方が多いのは存じております。
 ただ、石田衣良先生がよく言うのですが、プロデビューして経験だけで書いていると限界までは3、4年。
 それから、石田衣良先生は、僕は取材をよくするし、いろいろな人の話を聞いていると。
 IWGPが鬼平犯科帳の話数をそろそろ抜くかと言う話が出ています。
 月間のエンタメ文芸誌に書いているとネタが少ないと、プロではやっていけません。
 ラノベの量産システムを一見擁護しているように見えますが、あれはゲームの追加シナリオを書いているだけです。
 そこがラノベとキャラ文芸、エンタメとの違いです。

 さて、樋口幸人はとっくに死んでいるので、今回、出てきたのは亡霊です。
 そろそろ、忘れてやってください。
 これで締めます。
 最後までお付き合いいただきありがとうございました。
111中島英樹@ブルーアイリス ◆1pVQTmlaVU
垢版 |
2024/06/21(金) 22:29:53.04
私の中に「正義」という言葉は存在しない。2020/12/28

 朝、おだやかな1日の始まり、と思ったら、「あんたのおかげでかなりの人間が迷惑を被っている。」とメールで言われる。「あんたは正義ではないんだよ。」とも言われる。で、ふとぼんやり考えて、自分の人生で、「自分は正義だから、やっつける」と自分の中に「正義」という言葉を振りかざして戦ってきたことはないな。本当だよ。
中学・高校・卒業して色々な仕事してきて、「俺は正義のヒーローなんだから、オマエラ攻撃する」で攻撃した記憶が無い。本当です。
 今、回顧すると、基本「寄らば斬る」な感じじゃなかったかな。どの辺からだろう、高校生の時、「絵を描いて飯が食えたらいいな」って純粋な高校生の時の望みをずーっと忘れていない、と言う前提がある。
でも、父親も母親も中島家も壊れて、高校生の頃の純粋な希望を叶える、と言うのを忘れて、色々な会社とか、出版デザインだったら、1989年くらいから情報を押さえはじめたり、とか高校生の頃の油絵画家のイメージとは離れた、まぁパソコン大好き少年だったけど、そういうMacintoshでDTPとか東洋美術学校夜間グラフィックデザイン科に通学しているウチに、写植オペレーターという職を知って、技能資格を取ったら、安定した就職の内の安定した時間で絵が描けるだろうか、なんて考えてた。
1989年の時点で、銀座のイエナ洋書店に行き、Macworldってアメリカで出版された洋書の雑紙を購入して、英文読解しながら「MacintoshⅡとSEどっちがいいかな、机に置くならSEがいいな」なんて夢見てる浪人生は埼玉にそうそういなかったんじゃないだろうか。
で、有限会社メタ+マニエラに夏だけの実務研修という事で、アルバイトでデザインの「実地訓練」をちょっとやらせて貰って、夏が過ぎたら、どこかもっと落ち着いて働ける場所でアルバイトしながら、イラストレーターとして、「出版界頂上作戦」とかってやろうとしてた。そこで今後も決まらないし、野村道子さんという女性デザイナーに「もうちょっとやっていきなさいよ」とか言われて、結局もうちょっとやっていく内に社員になってしまった。
112中島英樹@ブルーアイリス ◆1pVQTmlaVU
垢版 |
2024/06/21(金) 22:31:35.33
まぁパソコンの事は知識がある、Macintoshを探求するのにも熱心、考えて居る事を全て言葉にして説明してしまうからガイジン好きとか言葉で考えを伝えてくれる男性というのは女性に人気がでるとか、角川書店やメタ+マニエラの女性のハートをツカミ倒してしまった。おまけに顔がチーフデザイナーの荻窪祐司さんに「美形だよなー」と言われてしまうマスクしてて、ちょっと芸能人領域の「有名人」になってしまった。
でも、私は高校の美術部で一人静かに油絵を描いていきたいイメージもあったので、虚栄心から正気というか、自分の「静かに芸術したい」という希望にたどりつくのに朝日印刷でDTPオペレーターの職を得て1994年にMacintosh上では日本でインターネット時代が始まるまで試行錯誤の連続だった。
随分悩んだけど、朝日印刷で、「商売の核心と真理」を掴んでイケイケモードで夜は油絵に一人静かに没頭出来る、と言う一定の幸福を得たんだよな。
ああ、話が長くなるから、端折るけど、「中島君、次を探してくれないか」と言われて、会社が終わると酒を飲むしか無い連中を山田久雄社長が集めてしまったので、私とは根底から違う人間ばかりの中では、私の仕事の才能がくすぶるので、渡りに船と、辞めて、それからいくつかフリランスのデザイナー・DTPオペレーターのつもりでやって、2001年1月に「桜花意匠」という屋号の個人事業開業届を春日部税務署に堤出して、そこから私の事業家・デザイナー・芸術家としての人生が自分本位で始まったのだった。
そこからは、だから、自分の事業の為の給与所得なんで、キチンと仕事して気分良く日当貰えれば、その金で事業資金にしながら、何かいいビジネスアイデアはないかなぁ、2001年だったから、「2000年まではネットで油絵をアメリカにばらまいたりネットで騒いだりしたけどなんの成果もなかった、一人誰にも知られないで21世紀を始めよう」と思って、まず、当時の鳩ヶ谷の日本出版販売の鳩ヶ谷集配所で雑紙の分配をやって、そこでタチの悪い若い男が、
そこに目のキレイな可愛い女の子がいたけど、それで嫉妬されて、トイレがとなりだったら、私のペニス見て、「アイツのちんぽこ、こんなに小さいんだぜ」ってやったら、
113中島英樹@ブルーアイリス ◆1pVQTmlaVU
垢版 |
2024/06/21(金) 22:32:25.86
周りの男から全員に、「なんだあのやろー」と思われてて、結局、職場の花の、その可愛い女の子のハートを掴んでし待った私は居づらくなり、大日本印刷久喜工場の中の大日本物流システム市ヶ谷久喜業務課で雇ってらった。実に10年ぶりくらいの復職だった。
ここではもう、名も知れぬひ弱なボウヤの中島君では無く、「ああ、あの人」というなんか、会社に来れば会社が繁盛するとか、そう言うイメージが付着していた。どういう事か、と言うと、有限会社メタ+マニエラに所属して、角川書店のテレビジョン事業部とか東京ウォーカー編集部とかにお使いで行ってたり、愚行だったけど、月刊ニュータイプにタミヤの出版社対抗ラジコンレースにニュータイプ編集部の名前なんつったか、と荻窪さんとで出て、顔写真がニュータイプに載っかるとかそう言う、
未熟な虚栄心の結果で、マスコミ中に存在が知られてしまう様になったからだと思う。有限会社メタ+マニエラはフジテレビが存在していた曙橋にあり、私も24時間テレビの頃はフジテレビの敷地に観に行ってたりしてた。で、結局、マスコミの中で、
「こういう人がいる」という事で、フジテレビのドラマ見て居ると、「これ、俺がヒントじゃないの」と思う様なドラマがちょこちょこ見られる様になった。もう思い出せないけど、上記写真の「踊る大捜査線」なんかは、「青島刑事」だよね。俺、中島だし。とか「HERO」とかかな、「HERO」が始まったときは鳩ヶ谷の女の子が「やだ、そっくりアハハ」て言ってた。
こういう所で、「中島=正義」とか世間にイメージがついたかも知れないけど、

「私は正義感ではなく、単に私が仕事している直近の周囲で気分良く働けない会社は罵倒してやめる、俺の気分を害するタチの悪い人間は青い空の向こうに祈っていのちをとってもらう」

と言う事にすぎないんだよね。最近、コープデリの野田流通センターに一年間も拘束されて、理解したことは「タチの悪い人間にいくら作用しても、人間の性根ってなかなか直らないので、無関係なるか、青い空に祈っていのちをとって貰う」くらいの方針だ。
114中島英樹@ブルーアイリス ◆1pVQTmlaVU
垢版 |
2024/06/21(金) 22:33:12.10
「アイツなんて言った?アイツなんて言った?」って俺の周囲で俺の発言をエラク気にするのは、要するに「俺は、いまのままぬくぬく社員生活でいたい。変わるなんて滅相も無い、変革をもたらす中島はちょっと脅して黙らせておとなしくしてもらおう、なにせヤツは自分を正義だと思っているからな」と言う「あんたは正義では無いんだよ」という言葉に東京圏ではそう言う事になるのだろう。
そもそもだから自分に正義なんて言葉はないんだよな。他人が見ててその言葉を当てはめるだけ、そして、迷惑を被る様に感じて居るのは、大企業のぬくぬく会社員、とか、ぬくぬくパートとか、こういう同和会とか、そう言う昔ながらの組織に所属していて、昔ながらの思想や怨恨や金の流れでぬくぬくやっていたい人とかかな、そう言う人は私に関わると私は何もしていないのに、酷い目にあうよね。
でも、それ、自分自身がそういう壺に収まっているだけで、壺から出される恐怖みたいなの企業や会社員や組織構成員とか思うんじゃないかな、私はそういう星回りだ。私が「見込みなし」と思って離れた会社とか倉庫とかほとんど末路がみすぼらしくなっていく。さらに発展しないんですな。
ドンドン寂れていく。それでいいと思っている。何故かと言うと、中の人たちがその中でこれでいいんだ、と会社が廃業されるまでそのままにしておいて、自分は自分自身で発展していきたいからかな。もちろんそう言う壺に入った連中は事業家・芸術家の独立した事業をいとなもうなんてちょっとは考えてもすぐ壺にもどるんで、壺に入れない入らない私は関係がない、と言う方針で今後いくだけ。建設現場は労働基準監督署と例えば使用重機だったかな、
許可証を労働基準監督署に提出したり、とか労働基準監督署と縁が深いし、建設現場の人たちは穏やかに働いて居るならお互い穏やかに身体張っていのちと怪我に気を付けながら「動いて」いる訳だし。そういう人達の中で働くのだから、「気分良く」1日終わって日給手取り8000円貰えればそれでいいと言う生活になったので、やっぱり建設現場に戻って良かった、と言う事だ。
115中島英樹@ブルーアイリス ◆1pVQTmlaVU
垢版 |
2024/06/21(金) 22:33:24.89
「俺は、ゆっくり静かに絵を描いたり小説書いている時間が欲しいだけ。触らぬ神にたたりなし、って言うだろう?祟られたくなかったら私に触らない事だ」

この言葉を、東京の曙橋の株式会社メタ+マニエラの大賀匠津CEOは「そうだね」って今思っているか知らない。この人80才近くになるけど、まだ生きているんだよね。でも、俺、この人より多分長生きすると思う。この人が死んだら、「やっとちょっとホット出来るな」と思っている。

あと、大畑勇貴@れつだん先生・精神病認定生活保護生活・東京都大田区蒲田って、まだ5ちゃんねるで私のFAKEコメントを垂れ流している様だけど、やっぱり大畑勇貴@れつだん先生も死ぬんだよね。ゴキブリは冬になれば干からびて死んで居なくなる、です。今は2021年の冬ですけど、日本で言うなら150年ぶりの真冬で、世界で言うなら1000年単位の氷河期です。

中島英樹(Blueiris)

2020/12/28
116神田雄大
垢版 |
2024/06/21(金) 22:42:24.41
https://i.imgur.com/7qjdM0d.jpeg

書いたのは私です
117名無し物書き@推敲中?
垢版 |
2024/06/22(土) 01:58:48.35
グダグダ
118もじょ
垢版 |
2024/06/22(土) 18:57:19.36
ひでーもんだな。<祭
おれは一抜けた。
119◆o5lRFxMOhs
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2024/06/22(土) 19:14:41.38
エントリー辞退します
幹事の責任においてレスの削除をお願いいたします
120名無し物書き@推敲中?
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2024/06/22(土) 19:17:05.64
5ちゃんねるはレスの削除などできません
121名無し物書き@推敲中?
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2024/06/22(土) 19:17:41.75
辞退したら自動的に問題外の下手くそになるだけです
122名無し物書き@推敲中?
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2024/06/22(土) 19:43:35.34
虹男(どうか? レインボーメンズと呼んでください?)
 年をかさねるたびに切なさに身を焦がすようになった。それも甘い夢想にふけりつつだ。そして周囲を見渡して街をうろつく。信号をよくながめて。
 不思議なる。一体例えばおっさん──ノンレインボーノンメンズと呼んでください?──も誰かを愛しているのだろうか? それともやはり恋愛とは無縁のお世界の住人なのだろうか。その答えはつかみどころのない虹のようにもやがかかっている。狐につままれたような思いさ。汝、桃のように色付いている乙女よ!
 俺は虹男。どうか? レインボーメンズと呼んでください? 俺のはかない願いをお笑いなさるのですか?
 俺は小柄な男さ。そして手のひらから、虹。虹をひねり出す。七色の虹の中に浮かびあがるキミの笑顔はまるで野辺に咲く一輪の花のようにつつましやかさ。
 俺はユニコーンがいたりサラリーマンがいたりするところで産まれた。しだやけや木の生えているところだ。
 ウズラの卵が大好きなやつさ。
 だが、逃げ出したい。・・・・・・逃げても問題は解決しない。だけど、開放されたい。例えそれが死の門出であったにしても。一つまみの運さえあれば。それを見事つかんでみせるのに。前に進まなければ何も始まらないのだ。
 開け放しの窓から入り込む風がカーテンを膨らませている。タバコを持った手を灰皿まで伸ばせば自然に電灯がつく。俺はそのすぐ隣に腰かける。すぐ灰を捨てられる手の届く範囲内に。日が暮れた。水たまりにうつった空を蹴飛ばしているうちに。
 俺は、珊瑚の兜をかぶっていて、のびた珊瑚が一本一本それぞれ長さがちがうのがつんつん天に向かって何本も伸びていて、ダチョウの羽根を赤く染めてそれにつけて、鬼のような面をつけて、口元はプラスチックで覆われるようにしている。まるで中世の帽子のようさ。
 俺は猿だ。ビルの屋上でだらんとたらしてたなびかせていた灰色のマントを地上にばさっと投げ捨て、
「ふはははは」と哄笑する。
 俺は悪の化身さ。魔物が使う術をかなり体得している。そして、地上三十メートルの高さからストリートに飛び降りる。
 どこかにある次のステージを捜し求めて。
 このまま名を残さずに死んでたまりますかい! いつかきっとなしとげる。寝る間も惜しんでロウソク立てて。
123名無し物書き@推敲中?
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2024/07/01(月) 00:13:51.71
審査投票開始します
自分が一番下手くそだと思うコテ名を書き込みしてください
一番投票が多かったコテが優勝です

参加辞退による問題外の下手くそ
もじょ、ミラ
124名無し物書き@推敲中?
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2024/07/01(月) 00:24:11.55
中島英樹
125名無し物書き@推敲中?
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2024/07/01(月) 00:25:08.34
上田宏伸
126古根室 ◆d6RbPMsis.
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2024/07/01(月) 00:56:40.46
 ホーホホ、ホッホー、という声がして、目が覚めた。声はホーホホホホー、ホーホホホホーとしつこく繰り返す。
 子供の頃、この鳴き声をいつも不思議に思っていた。ホーホホ、と聞こえると家を飛び出し、その声の主の姿を探した。けれども探しても探しても一向にその姿を見つけることが出来なかった。大人たちは声に無頓着だった。私はいつしかこの鳴き声は私にしか聞こえないものだと考えるようになった。姿を見せない幻の鳥。高校生ぐらいになって、あれは朝の鳩が鳴くものだ、と人から教わり酷くがっかりとしたことを覚えている。この世界には幻の鳥などといったものは存在せず、大人たちはあれを鳩と知っていたから無頓着でいられて、自分にしか聞こえないという事実はさらさら無く、自分は特別でも何でもないことに失望をした。
 リビングのベランダから朝の光が、ローテーブルの上に散らかったビールの空き缶やら灰皿の吸い殻やらスナック菓子の残骸やらの陰影を鮮明にしていた。朝の光は何もかもを鮮明にして現実を暴く。朝は嫌いだ、と思う。いつも夜の喧騒を台無しにして見たくもない現実を我々に晒し出す。
 リビングに山崎とさとみの姿は無く、隣りにはタオルケットに包まれたヨウコがスースーと寝息を立てていた。彼らは寝室に行ったのだろう。スナック菓子らの袋の隙間に山崎の赤ラークを見つけて、一本取り出し火を点ける。煙を一回吸い込んだだけで直ぐに気持ち悪くなり、タバコを灰皿にねじ込んだ。
 ああ、飲み過ぎたな、と思う。そして、つまらないな、と思う。上手くいかない事もたまにはあるさ、と人はいうのかも知れない。それは、まあ、そうなのだろうなとは思う。じゃあ、その事実を以ってして、なら仕方ないよね、とはならない。事実がどうであれ、思う通りにいかなければやはり不快だ。不貞寝をして、鳩の鳴き声に起こされてみれば、世界にただ独り、朝という身も蓋もない現実の中にいる。タバコは吸えないでいる。つまらない。
 缶チューハイの残りを私のグラスに集めて満たす。口を付けるとぬるく、飲み込めば炭酸の刺激を失ったアルコール入りの水は吐き気を催すほど不味く不快だった。
 山崎に電話をする。
127名無し物書き@推敲中?
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2024/07/01(月) 00:58:59.31
「え、あ、おあようざいやす」
「帰るわ。鍵、どうしておけばいい?」
「そのままにしておいてくらさい」
 眠そうな声で答える。
「大丈夫か? 不用心じゃないのか?」
「え、大丈夫しょ。オートロックだし」
「さとみとやれたのか?」
「ええ、かげさまで。ありやとざいやす」
「良かったな。どうだった?」
「え? そりゃ、良かったっすよ。ありやとやいやす」
 山崎の声からは早く電話を終わらせたい気持ちと苛立ちががひしひしと伝わってきた。
「さとみは処女だったか?」
「え? 違いやすけど」
「柔らかかったか?」
「え? 知らないですけど。もういいでしょ? また今度、話しますよ。今は寝かせて下さいよ」
 私はただ独り、朝の中に放り出された恨みを簡単に手放したくは無かった。仲間が欲しかった。
「なあ、聞こえるだろ? ホーホホ、ホホーって。知ってたか? あれ朝の鳩の鳴き声なんだって。やつら、クルックー、クルックー鳴いているだけじゃなく、ちゃんと色々使い分けて……」
「知らないですよ! キショいって! 朝から! もう切りますよ! ホント、勘弁して下さいよ! マジで!」
「なあ、ヨウコってさ、実はさ……」
 ツー、ツー、という音がした。通話を切られたようだ。
 また、朝の中に、独り。溜め息を吐く。タバコを吸おうと思い、吸えないことを思い出し諦めた。
 ヨウコを見ると相変わらずスースーと寝息を立てて勝手に気持ち良さそうに眠っている。呑気なものだ。溜め息混じりに、帰ったとて、と、独り言をいってみる。
「おい」
 彼女に声を掛けるが。返事はない。また、溜め息を吐く。つまらない。
 タオルケットをめくり、ヨウコの形の良い胸を眺めた。柔らかい記憶が思い起こされる。なんとなしに乳房を触ったり揉んでみたりしながら、ああ、今日はバイトか、行きたくねえな、そんな事を考えていた。
 指が乳首の辺りに触れた時、あっ、という声が聞こえて手を止めた。なんだ? ヨウコか? 起きているのか?
128名無し物書き@推敲中?
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2024/07/01(月) 01:00:04.43
「おい。おまえ起きてるのか?」
 私がそう聞くと暫くして、起きてないです、と返事があった。
「起きてるじゃねえか、このやろう。寝たふりをしやがって」
 そういい、彼女の乳首を激しく触る。
「ああっ、ああっ、やめて……やめてください……変な気持ちになっちゃいますよ? それでもいいんですか?」
 そういわれて、手を止めた。昨日の夜のことを思い出す。ヨウコは私が手を止めた隙にタオルケットを頭ごと被り直した。
「おまえさあ……初めてなら初めてです、ってそういう流れになる前に言ってくんねえかなぁ。俺はよぉ、処女とはやんない主義なんだわ。挿入しました、ああ痛いです、じゃあよお、まるでおめえ、詐欺だわ」
 タオルケットの奥から小さく、ごめんなさい、と声が聞こえてきた。
「そんな主義だなんて知らなかったから……でも何で処女じゃ駄目なんですか?」
「そりゃ、おめえ、色々面倒くせえからだろ。こっちは気持ち良くしてやろうと思ってんのに痛いだなんだ騒がれてよ。それに初めての人、だなんて勝手に記憶に残られるのも気色悪いしな。俺はよお、まあ、あれだ。例えば俺が死んだらよお、そっと忘れて欲しいんだわ。色んな人の記憶からよ」
「でも、わたし、もう処女じゃないですよ? 昨日ユースケさんが入れてくれたから」
「おまえ……朝から生々しいな……でも俺はイッてないんだからよお、ノーカンだわ、ノーカン。さあ、いいから起きろ! 退屈なんだ! 起きろ、起きろってこの……」
 バッとタオルケットをめくると驚いたように目を見開いた彼女の顔が目に入る。思わず吹き出してしまった。遅れて彼女も笑う。朝はいつもつまらないから、人は朝になると笑いのツボを増やすように出来ているのかも知れない。何が面白いのかよく分からないまま、暫くお互いに笑いあった。
129名無し物書き@推敲中?
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2024/07/01(月) 01:05:22.56
 体調が少し良くなり、タバコに火をつけて煙を肺に入れる。旨くはないが気持ち悪くもならない。体調が良くなった、というよりはアルコール入りのぬるい水が、感覚を麻痺させたのかも知れない。
「しかしよお、なんだ、おめえ、風俗に来て嬢に説教する親父じゃねえけどよ、最近の若い奴は貞操観念ってのがおかしいんじゃねえのか? 初めてのエッチってのはよ、おまえ、普通、好きなひとと交際した末にってもんだろ。おめえ、ゆきずりの相手とだなぁ、まあ、俺が古風なんかねえ、そう簡単にだなぁ……」
「わたし、ユースケさんのことずっと前から知ってましたよ」
「そうそう、ずっと前から知ってた人とだなあ、こうやってって、ん? 何だ? 知ってた?」
「はい。知ってました。一年の頃からずっと」
「どっかで会ってたか?」
「いえ。初めてユースケさんを見たのはユースケさんのサークルの定期演奏会ライブでした。正直、あまり興味はなかったんですけど友達の彼氏がサークルの部員でチケット余ってるからって仕方なく……」
「仕方なくってのはまた随分な言い様だなあ」
「いえいえ……その……ごめんなさい。でも、初めてユースケさんの演奏を見た時、正直、度肝を抜かれました。なんていうか……ユースケさんってめちゃめちゃ激しくドラム叩くじゃないですか? まるで親のカタキみたいにドラムを叩きつけて」
「ああ、まあな」
「でも、あんなに激しく叩いているのに、何だろな……表情が……死んでるんですよ。気怠るさを装っている風でもなく。スカしてるわけでもなく。何ていうか、もっと心の奥の奥のほうで、悪く言えば、何かを諦めているっていうか、なんか、上手く言えないけど、死んでるんです。生きてる人の気配がしないんです」
 私はタバコを灰皿にねじ込み、アルコール入りのぬるい水を飲んで、隣りに座るジーンズの方を向いた。
「そんなに顔、死んでるかなあ。つーか、そこかよ。度肝を抜かれたって」
130名無し物書き@推敲中?
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2024/07/01(月) 01:07:34.32
「だっておかしいじゃないですか。ふつう、どんな人でも何かしら顔に出ますよ。一生懸命叩いてますよ、とか、フフン、こんなの俺には楽勝なんだからね、とか、色々演技をしながら自分の存在をアピールするんです。でも、ユースケさんは全く違うんです。他の誰よりも誰よりも激しく、切ない程に激しく叩いているのに、なんだろな、興味がないとも違う、何ていうかな、むしろどこか淋しそうな顔してる叩いてるんです。死んでるんですよ、顔が」
「あんま、ひとの顔を勝手に殺すんじゃねえやい」
「ご、ごめんなさい……。でも、そんなユースケさんのドラムを見てると、何だろな、不安な気持ちになるんですよ。この人は一体なんなんだろうって。何で顔が死んでるのに誰よりも、他の誰よりも激しく、切ない程に激しく、ドラムが叫んでいるんだろうって。俺を見ろ、俺を感じろ、そんな魂の叫びが聞こえてくるのに、その叫びにいざなわれて、いざユースケさんを見てみると、顔が死んでるんですよ? もう、頭がバグっちゃって……」
「何だろな。さっきから黙って聞いてりゃ、おまえディスってんのかな? この俺のことをよ!」
 いい終わるや否や、ジーンズの胸を揉みしだき、激しくクリックを繰り返した。
「あああっ、やめて、やめてください! 変になる、変になるからぁ!」
 彼女は胸を腕で隠して私を睨み付け、軽く溜息を交じえながら話を続けた。
「ハア、ハア。ディスってるわけなんかないじゃないですか! ハア。それからというもの、気になってずっと、スト、追い続けてたんですよ? ライブがあれば必ず見に行ったし、ユースケさんの講義に合わせて用事も無いのにキャンパスにいったり、偶然ユースケさんを見かけたときは、なんていうか、一日しあわせな気持ちになったり」
「おまえ、いま『スト』って言わなかったか? なんか不穏な気持ちになるんだけど」
「いや、言ってませんよ? 言ってません。 言ってませんから。絶対に!」
131名無し物書き@推敲中?
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2024/07/01(月) 01:11:27.55
 アルコール入りのぬるい水を飲みながら、こいつ変な女だな、と思う。ライブを見に来るのはいいとして、私の講義に合わせてキャンパスに来るって、半ばストーカーではないか。そもそも、どこでどうやって私のカリキュラムの情報を手に入れたというのか。厄介な女に手を付けてしまったことを軽く後悔する。
「でも、ここんとこ、ユースケさん全然見かけなくて、ひとから聞いた話、大学辞められたって知ってすごく落ち込んでて。でも久しぶりにユースケさんがライブに出るって話を聞いた時、もう、ホント嬉しくて。いまは『リトルガッツ』というバンドを『クラブZ』というところで演奏されてて、『ストロベリーフィールズ』ってライブバーで働かれてるんですよね? わたし、どっちも行きます! 絶対に!」
「来るな」
「えっ?」
「そういうとこなんだよ。面倒くせえのは。処女と関わると、だいたいこうゆう展開になるんだわ。だから嫌なんだよ。いいか? おまえにひとつ言っておくが、どんなに俺に付き纏っても俺がおまえと付き合うことは絶対にねえからな? つーか、俺は今まで誰とも付き合ったことがねえんだわ。そして今後もそのつもりはねえ。無駄な事に時間と労力を使いなさんな。おあいにくさま、だな。わかったか?」
「も、もちろんです! わたしなんかがユースケさんの彼女になろうだなんて、そんな、大それた事なんて一ミリも考えてないです。むしろ、わたしはユースケさんに処女を奪って頂けただけで、そりゃもう、大満足です。バチが当たります。初めての人として大切な一生の思い出に……」
「だからぁ! いや、もう忘れてくれよ。それに昨日だって先っちょをちょっこっと入れただけじゃねえか。先っちょセーフだろ。あんなものはな、ノーカンだわ、ノ・オ・カ・ン!」
 タバコを咥えて火を点け、さて、といいながら残りのアル水を飲み干して立ち上がる。赤ラークを箱ごとポケットに入れて山崎の散らかった部屋を見まわした。
「もう、ぼつぼつ帰るけどよ、ちょっとやんねえといけない事があってな。おい、おまえ。手伝え」
 そういい、ローテーブルのゴミを傍に追いやり、中央にスペースを作る。
「手伝えって何を手伝うんですか?」
132名無し物書き@推敲中?
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2024/07/01(月) 01:13:07.62
「お仕置きだよ。山崎のやろう、またキショいだとか吐かしやがってな。無礼だと思わねえか? こういっちゃあ何だけどよ、俺ぁ、先輩だぜ? 先輩」
「はい、無礼だと思います! 絶対に!」
「そんでよ、名案を思いついたんだわ。起きて見たら絶対『もーーーーっ!』てなるやつ。おまえさ、『檸檬』って知ってっか? 梶井基次郎の小説」
「ええ、中学か高校の授業で習いましたから、って、まさか、ユースケさん……」
「そう、そのまさかよ。『檸檬』のラストシーンのオブジェをな、ここに再現してやんだよ。『もーーーーっ!』てなると思わねえか?」
「はい、なると思います! 絶対に!」
「そういうことだ。さあ、分かったらお前は雑誌やら漫画やらを集めてこーい! おまえも共犯だかんな」
 共犯、とひと言呟いて、アイアイサー! と嬉しそうに彼女は部屋を物色しては私のところに本を運んでくる。私は崩れてしまわないように、なるべく高く、と慎重に積み始めた。雑誌などは素材がツルツルしてて、思っていたよりずっと難しい。
「なあ、ホーホホ、ホホーって鳴き声聞こえんだろ?」
 一冊一冊、出来具合を確かめるように用心深く積みながら、私は彼女に話し掛けた。
「とりあえず、これで全部です。ハアハア。ホーホホ、ホホーって鳴き声聞こえます。ハアハア。あれは、朝の鳩の鳴き声で、奴らクルックー、クルックーだけじゃなくて色々使い分けてるんですよね。知ってました! ハアハア」
「…………。まあ、いいや。ご苦労さん。こっちに来て座って見てな」
 タバコの灰が長くなったので、一度灰皿に落とした。
「そんでよ、ガキの頃この声を聞くといの一番に外へ飛び出してその姿を探し廻ったんだわ。垣根や電線の上や、ドブの中や、草むらや。探しても探してもずっと見つかんねえからよ、俺はこの声の主を『幻の鳥』って名付けて、なんの根拠も無いのによ、この声は俺だけにしか聞こえ無いんだと思ってたんだ。大人たちはさ、声に全然無頓着だったしな」
133名無し物書き@推敲中?
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2024/07/01(月) 01:14:01.50
「かわいいです! ユースケ少年!」
「大人になってさ、ありゃ朝の鳩の鳴き声だって知ってさ、すげぇ、ショックだったわ。『幻の鳥』が居ないこともショックだけどよ、なんてゆうかな、ひとつ知識が増えることで人生ってどんどん詰まらなくなって行くんだって分かってな。だってそうだろ? 一生懸命に勉強してさ、情報かき集めてさ、科学や客観的事実やらそういった、なんか、揺るぎないもので自分という器を満たしていく。どんどん、どんどん、つまらねえ事実で満たされていってさ、想像や空想や『幻の鳥』や、そんな面白そうなものの入る場所を奪っちまう。そんでさ、そんなわくわくするものがもう全然入んなくなっちまった奴がさ、賢いねー、とか流石ですわ、とかなるんだろ? くだらねえよな。つまらない世界を作る為に皆、一生懸命、くそくだらねえ知識を集めるのに時間を使ってさ、一度知ってしまったらもう、知らなかったあの頃には戻れねえのによ」
 本の山は七割がた積み上がったが、ここからが正念場だった。ひとつ積み上げれば崩れそうになる。一冊一冊、正解の場所を探す作業を繰り返す。
「この先、科学が発展してよ、いろんな謎がひとつひとつ解決してよ、何も分からないことはありません、ただひとつ残されたこの謎を除いてはってなったときよ、人類はさ、最後の謎解きにかかると思うか? あえて分からないものをさ、残しておくと思うか? どっちなんだろうなって考えると偶に不安になるんだ」
 積み損じた一冊がバサっと音を立てて、ローテーブルのゴミの上に落ちた。
「わたしは残しておくと思います。タケノコの里を本当は全部食べたいのに、あえて少しだけ残しておくと、その残しておいたタケノコの里を思い出す時間が幸せに感じるからです」
「タケノコ……、うん、いや、まぁ、でもそうだよな。そういうことだと思うわ。それでも、俺はよ、そんなに人間を信用してないんだわ。奴らはきっと、その最後の謎解きに掛かっちまうと思うんだわ。もう、何も分からないことが無いってことがさ、どんだけつまらなくて、どんだけ絶望的かって、奴ら頭がいいのにそれを分かっていながら止められないんだよ。知りたいって欲望をな。人間はさ、欲望だけは抑えられないんだよ。科学だっていつもそうじゃね? これは実現させたらやべえって分かってんのにしつこく研究を続けたりしてよ……ってな……、うん、よし、完成っと。これでどうだ?」
134名無し物書き@推敲中?
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2024/07/01(月) 01:16:29.44
 ローテーブルの上に五、六十センチ程の本の山が積み上がった。雑誌やら漫画やら文庫本がバランス良く配置され、頂上には漫画『ワンピース』の第一巻が置かれてある。
「……、ちょっと引くくらい、良いですね……」
「まあな。これでレモンがあれば完璧なんだけどな」
「わたし、冷蔵庫見てきます!」
「ああ、頼むわ」
 灰が落ちそうになり、タバコを灰皿にねじ込んだ。自分の作品を改めて見る。不気味だ。意図のよく分からない人間の行為ほど不気味なものはない。
「レモンないですぅ」
 それはそうだろうな、と思った。男の一人暮らしに、ただ酸っぱいというしか存在理由がないレモンは流石に無いだろうなと、最初から期待をしていなかった。
「卵ありまーす。横にすればちょっと形似てませんか?」
「卵かぁ……悪くねえな。よし、そいつを持って来い!」
 アイアイサー! と嬉しそうに卵を持ってくる。レモンを探しに行ったり、代替案を提案してみたりと、案外楽しんでいるようだ。卵を受け取り、『ワンピース』の上に置く。

「これ……絶対にべちゃっとなる奴ですよね」
 ヨウコがいう。
「ああ、これ、絶対べちゃっとなるやつだな」
 私が答える。
 卵は『ワンピース』の上で、こちらが不安になる程ゆらゆらと揺れていた。
「流石にこれは無しだな。いくら山崎でも、べちゃってなってたら多分ブチ切れるだろ。まあ、この地点で、うん、ちょっと、あれだ、ブチ切れそうではあるけどな」
「ちょっと待ってください!」
 彼女は凄い勢いでティシュを丸め始めた。
「これをこうしてこう並べてその上に……これで……良くないですか?」
 『ワンピース』の上に丸めたティッシュを円形に並べ、その上に卵を乗せる。『檸檬』のラストのイメージというよりは、それは何かの「巣」のように思えた。
「ほら、ほら! 居たじゃないですか!」
 唐突に彼女が嬉しそうに私の肩を叩く。
「ああ? 何がだよ」
「幻の鳥ですよ! これは幻の鳥の巣なんですよ! きっと、いや、絶対に!」
 彼女にそういわれ、私は改めてまじまじとこの「巣」を眺めてみた。
135名無し物書き@推敲中?
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2024/07/01(月) 01:17:38.61
 ずっと忘れていた「幻の鳥」の姿が目に浮かんだ。バナナの様に曲った黄色い嘴。直立に立ち白く大きな翼を大袈裟なほどバサバサと音を立てて羽ばたく。人を馬鹿にしたような目をしてこちらを見てひと言「ホーホホ」と鳴く。見ているうちに「幻の鳥」は透けていき半透明になって、そして完全に透明になって「ホーホホ」と捨て台詞を吐いて、青く、美しい空に消えていく。まだ、何も知らないでいられた幼い頃の淡い記憶。
「ユースケさん! ユースケさん! 大丈夫ですか?」
「ああ? 何がだ?」
「だって、涙……、昨日もこんなこと有りましたよ? どうしたんですか? 何か……」
「ああ、これか。実は花粉症でな。たまにこんなことがあるんだわ。意図せず涙が出ちまうって事が……」
「花粉症って、今は秋ですよ? そんな……」
「バーカ、秋花粉てのがあってよ、これだから健常者は……、ってまあいいか。帰るわ。おまえさあ、変なやつだったけど、ちょっと楽しかったぜ。サンキューな。じゃあな」
 待って下さい、と私の上着の端を掴み引き止める。
「こうかん、してください!」
 両手で私の上着の端を掴み頭を垂れて見せる。必死さが確かに伝わってくる。
「ごうかん? 何で俺がお前をレイプしなくちゃいけねえんだ? めんどくせえ」
「こおかんですよ! こ・お・か・ん! 親父ギャグで逃げないでください! 交換ですよ? LIN…」
「断る。めんどくせえ。メッセージ送られても返せねーし。送られることが自体がそもそもストレスだし。だから俺はやんねー」
「わたし、一生懸命、雑誌運びましたよ? 重くて辛かったけど「幻の鳥」の巣作りの手伝い頑張りましたよ? このあと山崎さんに怒られるかも知れないんですよ? それなのに、それなのに、何のご褒美も無いんですか? メッセージは(あんまり)送りません。返信だって(本当は返して欲しいけど)全然要りません! だから、お願い、お願いですからぁ……」
「なんか、小声で不穏な言葉が聞こえた気がしたけど……しゃあねえな、『幻の鳥』に免じて交換しちゃるわ、ほれ、スマホ出せ」 
136名無し物書き@推敲中?
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2024/07/01(月) 01:18:46.65
 ニシシ、ニシシシ、ニシシシシ、と、彼女は気色の悪い笑い声を出しながらスマートフォンを操作する。私もこころの何処かで、こいつならまあいいか、と思い始めていた。
「じゃあ、行くな。あんま、意味の無えメッセージとか送ってくんじゃないぞ? 俺、そういうのが一番嫌いだから」
「わ、分かっております。わたしはユースケさんと繋がれただけで、もう、そりゃ。大満足です。バチが当たります。もう、これだけで一生の思い出として……」
「だからぁ! まあ、いいか。じゃあな。ってそうそう、忘れてた、一個だけ引っかかてた事があるんだわ」
 靴を片方だけ履いてから、わたしは気になっていた事をひとつ思い出した。
「教えてくんねえかな。おまえさ、こんだけユースケさんユースケさんって言ってるけどよお、場合によっちゃあ山崎の方になった可能性もあったわけじゃん? そんときゃどうして……」
「ああ、それなら大丈夫です!」
 ヨウコはニカっと笑い、腰に腕を当てて誇らしげな態度で続けた。
「わたし信じてましたから。わたし昔っから、『運』だけは、めちゃめちゃ良いんです!」
 「運が良い」という思いもよらなかった言葉が少しずつ意識に染み込んでいく。ゆっくりと溶ける様にその意味を理解し、激しく脳が揺さぶられた。
「ああ、そうかい。そりゃ良かったな。あばよ」
 私は彼女を見もせずにスタスタと帰りの歩みを進めた。一瞬の沈黙の後「えっ? えーーっ?」との声。仕切に何かをいっていたようだが、玄関扉を出たら何も聞こえなくなった。
137名無し物書き@推敲中?
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2024/07/01(月) 01:19:48.83
 エレベーターの「下」のボタンを押す。2、3、4と声に出して数えた。思い出したくもないものを、思い出さないように。6階にエレベーターが到着したのと同時にメッセージの着信音。ジーンズからだ。開いてみると——わたし、何か失礼なこと言っちゃいました? ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!——の文字。文末には土下座して謝る人の絵文字。くだらない。
 小綺麗なエレベーターに運ばれ、住みたいほどの小綺麗なエントランスに、ぺっ、と唾を吐いた。自分の吐いた唾を一瞥してそこを通り過ぎた。全く音を立てない高級自動ドアがその扉をゆっくりと広げ、私を恭しく外の世界に追い出した。くだらない、私本来の世界に厄介払いでもするかのように、塩でも撒くかのように。
 一歩二歩三歩と歩みを始めたそのあと立ち止まり、思い出したかのように空を見上げた。空は、ただひたすらに青く、美しかった。ああ、どうでも、どうでも、いいじゃないか。
「くっだらねえとー、つっぶやいてー」
 そう呟きながら、私はくだらない朝の光を睨んだ。街はくそ忙しそうな音を響かせていた。アスファルトの上の陽だまりの中、飼い猫だろうか、くだらない猫が身体を丸め、私を見下すように見ていた。そいつは、初めからおまえになど興味は無いといったふうに視線を外し、くだらないほどに大きなあくびをした。わたしはそいつにも唾を吐き付けた。届く様な距離でも無いのにそいつは逃げ出した。馬鹿な奴だ。臆病者め。くだらない。
 くだらない私は再び空を見上げた。空だけは私の味方な気がした。誰かに聞いて欲しいかの様に大袈裟な音のする溜め息を吐いた。そして私は、私のくだらない家に向かうためにくそくだらない世界のなかを、見えない何かを蹴散すように、ツカツカと歩き始めた。
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