バッテリー
総合評価:25点/100点(激辛)
以下、理由を細かく述べます。
良かった点(加点要素)
① 台詞のテンポが良い(+5点)
野球部内のやり取りはテンポよく読め、キャラ同士の関係性も把握しやすい。
② クライマックスの盛り上がりは成立している(+10点)
カーブがマウンドに上がる瞬間、ドラマの構造自体は成立しており、物語の“型”としては読める。
③ 部員と監督の関係性が一応リアル(+10点)
上下関係の強さや理不尽さ、部内政治の感じなど、部活空間の空気は描けている。
致命的な問題点(大量減点)
① キャラクター造形の浅さ(-20点)
カーブ・荒井・監督の性格が ほぼ記号的で、善悪・役割がワンパターン。
全員が「嫌なやつ」「異常」「無気力」のどれかに落ち着いていて、物語に必然性がない。
② うんち描写の比重が異常に高い(-15点)
作品の長さからすると排泄ネタに与えた尺が大きすぎ、物語のトーンが「シリアス」なのか「ブラックユーモア」なのか判別不能。
結果として野球ドラマの緊張感が全部吹き飛ぶ。
③ 語りの視点がふらついている(-10点)
三人称全知のように見えるが、地の文が突然特定キャラ寄りになったり、語り手の語彙がコメディ寄りになったりシリアス寄りになったり、一貫性がない
④ 文章量の割にテーマが弱い(-20点)
本来テーマになり得るはずの仲間意識、成長、理不尽な大人に抗う努力 vs 才能などの要素が、描写不足のためまとまらないまま終わる。
最後のシーンも「あと三球投げるぞ」だけで終わり、物語の意図がぼやける。
「何を読者に持ち帰らせたいのか」が不明。
⑤ 説明が多すぎる(-10点)
部員たちの感情・背景を「説明」で語ってしまうため、読者が自分で感じ取る余地が少ない。
総評(総合コメント)
作品の芯にある「へなちょこ投手が最後にマウンドに立つ」というドラマは良いポイントです。
しかし、キャラ造形の浅さ、コメディとシリアスの混在(特に排泄パート)語りのブレ、テーマの弱さ、説明過多などによって、作品としての完成度が下がっています。
アイデアはあるが構成とトーンコントロールに課題がある小説
という印象でした。

25点www