先日、配達の仕事で民家を訪れた日の事だった。
ドアを開けるやいなや、小学校低学年くらいの少年が元気よく出てきた。

ハンコがある場所わかるか?と聞くとわからないというので
お母さんを呼んできてくれ、と頼もうとしたら、
姉と思われる少し背の高い女の子が奥からやってきて
その少年の後ろからしがみつくように、左手で首に手を回し、
右手で股間の一物を弄りながら「チ〜ン♪」とか言って笑っていた。
驚きに声を失う俺とは対照的に、少年はきゃははと笑い、少女も楽しそうにじゃれていた。
やがて母親がやって来て「あ、すみませ〜ん」とか言いながらハンコを押すと
俺は挨拶をして民家を後にした。

兄しかいない俺はなんて人生って、神様って不公平なんだと思った。
生まれながらにして恋人がいるようなものじゃないか。
思春期に妄想して、もだえ苦しんだ俺の悲しみを
兄弟構成を聞かれて、答える時の俺の屈辱をどうしてくれる!?

次の配達先に向かう途中、晴天だったはずなのにフロントガラスが曇っていたのはなぜだろう。