全国の自治体で、特別定額給付金10万円の申請がはじまった。しかし、その支給をめぐり、家庭内でトラブルが発生しているようだ。

その理由は、世帯主が申請し、世帯主のもとに振り込まれる仕組みにある。「世帯主の夫が、自分のためだけに使うと言っている」「子どもが全額を自分で使おうとしている」などの悲鳴があがっているのだ。

●夫「家族全員分、あわせて50万円をオレが使う」

弁護士ドットコムのLINEには、「世帯主である夫から、全額オレが使うと言われた」という相談が寄せられた。夫は家族5人分の50万円を、自分の仕事関連に使う予定だという。女性が娘と共に「ひどい。なんで?おかしい」と訴えると、逆ギレされ暴れられたという。

女性は「これからもお金がかかるから、10万円をとっておきたいのですが、よくないことなのでしょうか」と夫の行動を疑問に思っているようです。

●小学生「自分が好きなように使いたい」

別の悩みを抱えている人もいる。「自分のお金だから、自分が好きなように使いたい」と主張する子ども(10)に悩んでいるのは、都内の主婦(40)だ。当初、貯金するつもりでいたものの、子どもはニュースで特別定額給付金について知ると、欲しいものができてしまった。

女性は「ベストセラーとなった『こども六法』を読み、財産権の概念を知ったようで、自分のお金は自分で使えるはずだと主張してくるので、困っています」と話す。

法的にはどのように考えられるのだろうか。石井龍一弁護士に聞いた。

●「10万円」は誰のもの?

ーー「10万円」を世帯主が家族に渡さなかった場合、法的に問題と言えるのでしょうか

今回の特別定額給付金について、2つの考え方があると思います。

1つ目は、世帯主のみが受給権者(給付金の受け取り手)なのであって、家族は給付対象者(給付金の額を計算する基準となる人数)に過ぎない、というものです。