9月1日。消費税率10%への引き上げまで、残り一か月。

 何か、久しぶりに「メルマガ 週刊三橋貴明」ぽいタイトルでございます。会計、バランスシートなどの固い話は、普通はメルマガの方でやっています。

 さて、ランダル・レイ教授の、「MMT現代貨幣理論入門」が発売となりました。



 「MMT現代貨幣理論入門」の序盤は、定義や会計という、三橋的に最も好きな分野の話が続きます。

 まずは、
◆ 国内民間収支+国内政府支出+海外収支=0
(三橋は「政府収支+家計収支+一般企業収支+海外収支=0」と、国内民間を家計と一般企業に分けますが、一般的には↑こうです)

 海外収支(=経常収支)が±0と仮定すると、
◆ 国内民間黒字=国内政府赤字
 もしくは、
◆ 国内民間赤字=国内政府黒字
 になります。

 上記は、地球上で生きている限り、誰も逃れることが不可能な「法則」です。セイの法則やら、MFモデルやらは出鱈目(厳密には、ほぼ成立しない)ですが、上記はGDP三面等価の原則と同じく、単なる統計的な事実であるため、常に成立します。

 結果、安倍政権の「PB黒字化目標」とは、
「国民(もしくは民間)を赤字にします!」
 という目標ということになります。

 もっとも、財務省は上記の法則は理解しており、2025年までのPB黒字化目標は、
「海外収支の赤字(=日本の経常収支の黒字。財務省の想定は貿易黒字)が、2006年並に激増を続ける」
 ことが前提になっているのです。

 そんな、無茶な! 米中覇権戦争が激化し、ドイツを先頭にユーロが失速し、さらにブレグジットが控えているわけで、日本の輸出が06年並に増えるなど、あり得ません。すでに、日本の輸出は減少局面に入りつつあります。

 ともあれ、さすがに財務省も「PB黒字化のために、国民を赤字にします」とは、説明できないのです。

 逆に、この点が「我々が付くべきポイント」になります。日本の政治家のほとんどは、貿易黒字の減少局面では、
「政府のPB黒字化は、民間の黒字縮小、赤字化を意味する」
 という「事実」を知りません。

 つまりは、知らせなければならないのです。