風俗は怖いな


 かつてはめったに診断することがない「幽霊病」と言われた性感染症、梅毒が急増している。今年は4月10日までの患者数が2592人で、過去最多を記録した2021年の同じ期間と比べると1・6倍に上る。その感染の広がりから専門医は「もはや普通の性感染症になった」と指摘する。


 梅毒は11年以降増加に転じ、13年から爆発的に増えた。国立感染症研究所によると、昨年は7875人(速報値)が確認され、これまで最多だった7007人(18年)を更新した。22年は4月10日現在、全国で2592人(速報値)が報告され、前年同時期の1595人と比べ、著しく増加している。

 10年以上に及ぶ流行拡大の背景には、海外客の増加やネット交流サービス(SNS)などを介した出会いがあるとされるが、詳しい原因はわかっていない。梅毒の患者と性交渉した場合の感染率は3割程度と高く、感染に気づかないまま検査や治療に結びつかず、拡大のスピードが増していると考えられる。

 梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が、性行為などによって性器や口などの皮膚や粘膜の目に見えない小さな傷から侵入して感染する。感染後2〜3週間で性器などに耳の軟骨ぐらいの硬さのしこりができる。2〜3カ月後には手のひらや足の裏など全身に発疹が出るが、痛みやかゆみがないことがほとんどだ。

 早期に経口薬を服用すれば回復するが、感染に気づかずに放置すると、数年から十数年をかけて、脳や目、心臓、神経などを侵し、重大な合併症を引き起こして命を落とすこともある。一度かかれば二度とかからない終生免疫は付かず、何度も感染する可能性がある。