これは歴史的な大転換になるだろう。
そもそも国家が定めた法律に違反した犯罪者に刑罰を科すことにどういう正当性があるのか?という法治の根幹に手を入れた変革だ。
言ってみれば法律なんてものは、国家が好き勝手に自分の都合を押し付けているに過ぎない。そこに正当性を与えるために、法律はどういう理念に基づき、何を目的にしているかを明らかにしなければならない。そうでなければ不当な弾圧であろうと力を持つ国が力を背景に決めて守らせるから正しいがまかり通ってしまう。
この変革は刑法の理念が、違反に対する罰則で抑止力を産むことを目的とした応報刑主義から、違反は社会秩序の維持に対してよろしくなく、それは社会の一員たる受刑者にとってもよろしくないので繰り返してはいけないと教え諭すことを目的とする教育刑主義への転換だ。
力と罰則で脅して抑止する従来の応報刑主義よりも、ずっと王道政治と言える。これは誇ってよいことだ。