クリエイティブについての本音と戦略
2021.01.11 投稿

■ストーリーメイカーとして

僕は、デビューまもなく「後藤ひろひと」と出会い、
よく呑みに行っては、脚本の話を朝まで延々と交わしていました。

後藤さんは、演劇界では知らない人はいない劇作家で、代表作に『人間風車』、『ダブリンの鐘つきカビ人間』、
後に、『パコと魔法の絵本』として映画化された『MIDSUMMER CAROL ガマ王子 vs ザリガニ魔人』があります。

こうして、代表作のタイトルを並べるだけでも、西野亮廣のルーツが見えてきます。
芸能活動のスタート時に面倒を見てくださった先輩が、
“理詰めの鬼”であるロザンの菅さんと、劇作家の後藤さんで、そりゃ、キンコン西野が発生する環境です。

その後、ミヒャエル・エンデにハマり、ビリーワイルダーにハマり、三谷幸喜にハマり、
エルンスト・ルビッチにハマり、立川志の輔にハマるわけですが、
いつも僕の胸を踊らせてくれたのはストーリーメイカー達でした。

それはそのまま自分の時間割りにも反映されていて、
僕が人生の時間の大半を捧げているのは「ストーリー作り」です。

ストーリーメイカー1年目の頃は
「この衝撃の展開を見よ!」「この裏切りは予測できなかったろ?」
といった感じでドヤドヤした作品を発表していました。

しかし、作品数を重ねる度に「ギミック」でお客さん(コアファン)の満足度を獲得することがいかに簡単で、
“誰でも書けそうな普遍的な物語”を世の中に残すことがどれだけ難しいかを知ります。

「電球」という発明に対して、「それ、俺も思いついてたよ」というのはすっごく簡単なのですが、
誰でも思いついたことを形にするのはベラボーに難しいです。
それはつまり、“誰でも思いついているのに、誰も形にできなかった”ということなので。