>>787続き)
 
アメリカはクリスマス時期になると皆キッチリと休むので、言ってしまったら「時間」が無くて、
とても万全の状態とは言えない。
 
こういう時は「それまでにかけた時間」とかは関係なくて、経営者としては『損切り』するのが正しくて、
「1月の公演は一旦、延期にしますか」という判断になりそうなものですが、コッチに来てみると、
それが許されない空気があったりします。
 
Voicyでも何度も言っていますが、ブロードウェイは「思っている以上に小さな村」で、噂がすぐに回るんですね。
 
「キャンセル料をキチンと払ったのでいいでしょ」と考えがちですが(僕もそう思ってた)、
「直前でスケジュールをバラシにするカンパニー」に信用は無くて、
延期後に、キャストやクリエイターに声をかけても取り合ってもらえない。 
「どうせ、またキャンセルするんじゃない?」と思われちゃう。
 
この局面は「Show Must Go On」で、痛みを承知で進まなきゃいけない(やり切らなきゃいけない)んです。 
とにかく、ここは「村」で、とにかく「信用」で、とにかく「噂話」なんです。
 
以前、逆風吹き荒ぶ「大阪万博」で、落語家の桂春蝶さんが、
「『日本的リベラル』の方々は『今すぐ中止を』と簡単に言うけど、本当に中止にしたら、
日本の信用問題に直結すると思います。その損害、その闇はずっと続くんじゃないですか。」
とコメントされていたのですが、こういう「損切りしたことで、想定以上の損を被る」という局面は確実にある。
 
外の人達からすると「損切りできない人」のように映るのかもしれませんが、「行くも地獄、戻るも地獄。 
戻る方がもっと地獄なので、行く方向でなんとかする」という、“できることなら避けたい展開”が回ってきて、
今回のニューヨークはどちらかというと、そっち寄りの勝負になっていますが、
ただ、それによって急成長させてもらっているのも間違いないので、
神様からのプレゼントだと思って引き続き頑張ります。

(*終わり)