>>174続き)
 
皆さんもこれまでウン千回ぐらい見てきたと思うのですが、たとえば普段、
ツッコミをしたことがない俳優さんやアイドルが役の中で「なんでだよっ!」ってツッコんだ時に
吹き荒ぶ北風ってあるじゃないですか?
 
あればっかりは演技力というよりも、「慣れ」みたいなもんで、
お笑い芸人でも1年目とか2年目の過去映像を見ると「ツッコミ」が見てられないんですよね。 
「ボケ」の人は結構最初から今の姿に近いのですが、
「ツッコミ」の人間の新人の頃の素人感というのは本当に見てられない。 
僕も自分の過去映像とか絶対に見たくないです。
 
そんなものを昨日・今日台本を渡された俳優さんに「お願いします」というのも酷な話で
(それでも上手い人は上手い)、そういう「お笑いを作ろうとしているシーン」や、
「ここはクスッとすればいいだけなのに、そんな言い方をしちゃったり、そんな表情をしちゃったら、
大爆笑をとらないと辻褄が合わなくなっちゃうじゃん」
という部分を削ったりしています。
  
■宮崎駿さん、「お笑いパート」で一切スベらない
 
そして、この作業をやる時に、いつも思うのが、宮崎駿さんの凄さです。
 
宮崎駿さんの凄さって今さら語るまでもないですが、この角度から語られる機会が少ないと思うので、
少しだけお話しさせていただくと、あの方、「お笑いパート(クスッとさせるシーン)」で一切スベらないんです。
宮崎駿さんの作品で、「うわっ、今、狙いにいって、スベった」という場面に立ち会ったことないでしょ?
 
むしろ、「お笑いに自信ありまっせ」という監督が作っている作品の方が、「うわっ、寒っ」となっちゃうことの方が多い。
宮崎駿さんって、それが一切無いんです。