>>796続き

ところが今回の舞台『テイラーバートン』は、そうではありません。
美術セットから何から何まで、ガッツリと作り込みます。

チャレンジしたいのは、「これだけ作り込む舞台を、2日間の公演で回収する」というもの。
「VIP席を販売する」「制作過程を販売する」「小道具を販売しながら作る」…などなど、僕らのお家芸とも呼べる
マネタイズを丁寧に仕掛けつつ、やはり勝負は「配信チケットの販売」になってくると思います。
もう少し踏み込んだ話をすると、「コロナの巣籠もり需要が無くなった今、配信チケットをどう販売するか?」
といったところ。

サーカスの武道館ライブや、キングコングの武道館ライブや、ミュージカル『えんとつ町のプペル@2020』は、
「コロナ禍」という地獄の苦労&恐怖がありましたが、一方で、「配信ボーナス」は確実にありました。
#配信に関しては超追い風だった

ところが、2023年に、あの頃のような「配信ボーナス」はもうありません。
ですが、配信チケットを売っていかないことには、公演日数を減らすことができません。
#個人的には舞台の公演日数は2週間ぐらいが好きだったりするのですが

「公演日数を減らせない」ということは、「まとめてスケジュールをとれる役者さんしか舞台に出れない」だったり、
「高齢で、体力が落ちてしまった役者さんは舞台に出れない」に繋がります。
特に後者に関しては、超高齢化社会に突入しているこの国の演劇シーンはキチンと向き合わないといけません。
伝統芸能の世界では、パフォーマーの平均年齢がオーバー50なんてザラにある話で、
ご多分に漏れず日本の演劇シーンもそこに向かっています。

ここから、キャスティング会議で、
「あの役者さんは2ヶ月間走りきれる体力がないから、キャスティングするのは止めておこう」
という会話は増えることでしょう。

となってくると、「歳を重ねた舞台役者さんはどうやって食っていくんだ?」という問題が起きる。
ここは早めに手を打っておいた方が良さそうです。
#頼まれてもいないのに演劇シーンの未来を考える男