■■■◇□女は「ガラスの天井」、男は「ガラスの地下室」◇□■■■

女性側の視点から女性差別を解放するものとして、フェミニズムに関する研究や著作はたくさんあるが、男性差別の研究は遅れている。
男性学というジャンルはあるが、これは基本的には「女性差別をなくすために男性を変える」というもので、男性差別の研究ではない。
フェミニズムの研究者たちは男性差別のことには興味ない。


■■■□男ばかりが押し込められる「ガラスの地下室」という提起□■■■

女性の一定以上の昇進を阻むのが「ガラスの天井」だが、『男性権力の神話』(1993年 ワレン・ファレル著)では「ガラスの地下室」という言葉を用い、
男性が、収入と引き換えの危険な職種や長時間勤務、自殺、病気や事故による高い死亡率、徴兵、死刑といった過酷な状況に押し込められ、
「使い捨てられている」現実を表現している。
「ガラスの地下室」は、性役割からくる常識が社会にまだまだ根強いことがその背景にある。
例えば、男は家族を養うために稼がなくてはならない。あるいは、女性は保護されるべきなので、危険を伴う仕事は男性が担うのが当たり前。とある。
これが逆だったら抗議するフェミニストがたくさんいるはず。
衝撃的だったのが、誰でも知っているはずの平均寿命の男女差で、アメリカ人の平均寿命は、男性が女性より6.9歳短い。ところが1920年にはその差はわずか1歳だった。
日本も現在、平均寿命の男女差は6.4歳ほど(2013年)だが、1920年頃はやはり約1歳。差がどんどん開いている。
自殺率も男女で顕著に違う。特に児童期から大人になるにつれて、男性の自殺率がどんどん上がって女性との差が開いている。
日本では98年の金融危機を境に自殺者が急増しているが、増えたのはほとんどが男性だった。女性はあまり増えていない。
男としての性役割のつらさがあって、それを抱え込んでしまうのが要因ではないのか、それを問題提起する必要がある。