弁護士 小川義龍の言いたい放題
2016年04月03日 面会交流拒否で,父親が親権者に
http://ogawalaw.hatenablog.com/entry/2016/04/03/132558

千葉家庭裁判所 松戸支部 平成28年3月29日 判決

昨年,「面会交流拒否で親権者変更」された決定のエントリーを書いた。
今回も同じく,子どもを連れて勝手に別居をした妻に対する離婚訴訟で,
5年以上の長きにわたり子どもと面会交流を拒まれていた父親側に親権を
与える判決が出たようだ。結論としては相変わらず珍しく,画期的だ。

(中略)

この判決は,まだ家裁支部レベルでの判断に過ぎず,確定したものではない。
おそらく,母親側は判決に不服だろうから,控訴するに違いない。そうすると,
未だこの先,東京高等裁判所と最高裁判所の判断が待っている。この結論が,
東京高等裁判所でも維持されれば,今後,同種訴訟における先例的な意味が
見いだせるだろう。

逆に,東京高等裁判所で逆転されたりすると,こんな判決が,かつて地方支部で
言い渡されたことがあったというだけのことになってしまう。そして,その可能
性は十分ある。そういう意味では,まだこの判決が出たからといって,同種判決
が続々登場するとは思えない。

子どもを連れて勝手に別居した妻に対して,子どもの親権獲得ないし引き渡し
(監護者指定)はもちろんのこと,面会交流の充実を求める父親側の請求は,
実際のところ茨の道だ。まだ未確定の判決で,見通しは決して楽なものでは
なさそうにしても,その茨の道に対して,一筋の光を与えた判決であることは
間違いない。裁判官の英断も,父親側代理人の努力も,いずれに対しても敬服
するところだ。