痴漢がわずか八年の間に三倍にも増殖したのならたしかに異常事態である。
しかし案じるには及ばない。なぜなら、警視庁の出した「痴漢犯罪発生件数」
はすこぶる怪しげな数字なのだから。

「痴漢犯罪発生件数」の大半は迷惑防止条例違反の「検挙件数」で占められるが、
カラクリは「検挙」という言葉にある。 検挙というと犯罪があったと誰しも考え
るが、違うのである。驚いたことに、女性に痴漢呼ばわりされて警官に引き渡さ
れたものの実はやっていなかったといったケース。女が示談金目的にデッチ上
げたというケース。つまり、潔白・事実無根と判明した事案もみんな「検挙件数」
の中にカウントしてしまっているのだ。

この点について警視庁を糾したら、最後にとうとう「検挙件数は犯罪者数を
示すものではない。キャンペーンのためだということを分かって下さいよ」と、
女性専用車両導入キャンペーン向けに水増しした数字だったことを認めた。

(引用元)
「女性専用車両のまやかし」(「正論」平成18年5月号掲載)