朝日新聞社インフォメーション >ＮＩＥ 教育に新聞を >ののちゃんのＤＯ科学 >家のカメはなぜメスが多い？
http://www.asahi.com/shimbun/nie/tamate/kiji/20110912.html
●温度（おんど）でオス・メスが決（き）まるからよ
◇ののちゃん 家のカメが卵（たまご）を産（う）んだよ。メスだったんだね。これまで、逃（に）げられたり、親類（しんるい）の子にあげたりで、今のが４代目のカメだけど、ぜ〜んぶメス。なぜかなあ？
◆藤原先生 カメの養殖業者（ようしょくぎょうしゃ）は、孵化（ふか）の効率（こうりつ）を上げるため、卵を高めの温度で温（あたた）めがちで、それでペット店のカメにはメスが多いようよ。
◇のの えっ、どういうこと？
◆先生 カメには、オス・メスが卵のときの温度で決まる種（しゅ）が多いのよ。高温だとメスが多くなるの。
◇のの ええ、そうだったの！
◆先生 たとえば、繁殖（はんしょく）シーズン中にだんだん気温が上がっていくと、シーズン初めの涼（すず）しい時に生まれた子はほとんどがオスになり、暑（あつ）い盛（さか）りに生まれた子はほとんどがメスになる、というパターンがあるの。いわば「オス―メス型（がた）」ね。
◇のの それは、カメだけなの？
◆先生 トカゲやワニにも温度で性が決まる種は多いの。オス―メス型と逆（ぎゃく）の「メス―オス型」や、中間の温度ではオス、それより低温でも高温でもメスという「メス―オス―メス型」もあり、全部で３パターン。
◇のの 何のためにそんな性質（せいしつ）を？
◆先生 動物（どうぶつ）は、オス・メスの割合（わりあい）が偏（かたよ）らないようにする仕組（しく）みを持ってるの。生まれてくる子がオスばかり、メスばかりにならないよう、温度の変化につれて性を切り替（か）えるのも、その方法の一つね。
◇のの それにしても、決まり方が３通りもあるなんて不思議だね。
◆先生 元は、メス―オス―メス型なの。動物の体はメスが基本（きほん）。オスになるには変更（へんこう）が必要（ひつよう）で体づくりが複雑（ふくざつ）なの。だから、卵の発育に最適（さいてき）な温度の時にオスの子をつくり、より低温や高温で発育条件が厳（きび）しい時は、体づくりが単純（たんじゅん）なメスを産み出すのでは、と見られているよ。
◇のの ふーん。
（取材協力＝愛知学泉大・矢部隆教授、構成＝武居克明）
