>>261
ラジオもビッグデータの時代に
 radiko.jpは2010年にサービスを開始。現在は93局のラジオ局と提携し、PC、スマートフォン、スマートスピーカー経由で46都道府県に番組を配信。主なユーザーは40〜50代のサラリーマンという。利用の8割がスマホ経由だ。

 期間限定で聴き逃した番組を視聴できる「タイムフリー」や、日本全国のラジオ局が聴き放題になる「エリアフリー」(有料、月額350円/税別)などさまざまな機能を追加してきたが、
坂谷室長は「大量のデータを集め、レコメンド機能などのユーザーフレンドリーな機能を拡充したい」と話す。

 例えばスマートスピーカーでは、「TBSラジオをつけて」など、特定の局の名前や番組名を言うことで配信が始まるが、ラジオに親しんでないユーザーにはややハードルが高かった。
これを「福山雅治さんが出ている番組を聴きたい」「お笑いで何か面白いものない?」など、より自由度の高い形で利用できるようにしていくという。

 その実現には、番組データやジャンルを提供してくれる各ラジオ局との連携はもちろん、番組名、出演者、放送時間などにメタタグを付けてデータベース化する作業が必要になる。
「福山雅治」といった人物名だけでなく、「お笑い」「音楽」などのジャンルや、「リラックス」「楽しい」などムード別の分類なども考えているという。
ゆくゆくは音声をテキスト化し、出演者のせりふからも番組を見つけ出せるような仕組みを整える考えだ。

 しかし、これらの作業には膨大な手間がかかる。radikoの正社員は7人ほどなので、「タグ付けとデータベース化は自動化していきたい」(坂谷室長)。

 今後はユーザーに利用許可を得た上で、どんな番組を視聴し、どんな楽曲を聴いているかなどの聴取行動データを取得し、個人に合わせてレコメンドする機能も提供していく。
ユーザーの操作を極力減らすことで、これまでラジオになじみのなかった新規層にまで間口を広げる狙いだ。

 裾野を広げるという意味で、音声を流しっぱなしにできるスマートスピーカーにも期待を寄せている。「ラジオ全体の総量でいうと、まだスマートスピーカーは伸びる余地がある市場」(坂谷室長)