◆愚かな結婚式の原理
1. 人間の同調心理を利用した、ブライダル業界による低劣な宣伝策略に、
  まんまと乗せられた意志独立性の薄弱な女性は、
 「結婚式は豪華でなくてはいけない」という強迫観念を抱く。
2. 「嫁の希望通りの結婚式を執り行うのが夫としての度量」と男は吹聴され、
  結婚式への多額の浪費は嫁への愛と忠誠の証明だと錯覚する。
3. 通常、結婚を心の底から祝ってくれるような親友は、せいぜい多くて2、3人であり、
 それでは豪華な結婚式は執り行えないので、職場関係の人が「数合わせ」として巻き込まれる。
4. 職場関係の人は職場における円滑な人間関係の維持のため、すなわち自らの生活のために
 結婚式の招待を断ることができない。
5. 職場関係の人は、貴重な休日を犠牲にして、多額の祝儀、受付、スピーチ、余興等の労働を強いられる。
6. 新郎新婦のクソどうでもいい愛の誓いや、生い立ち、親への感謝の言葉を聴きながら、
 「その他大勢」として巻き込まれたゲストは、新婦の幸福そうな顔を憎悪する。


全国の女性たちに伝えたい。これが結婚式ゲストの心理そして真理であるということを。
僕は引き出物の包みを破いて箱を開ける。2つセットのグラスを確認し、沈黙のまま箱を閉める。
すでに6個目となるグラスを押し入れの奥にしまい込み、誰かの不幸が誰かの幸福を支える人間社会の仕組みを呪った。