>>265
Pやんがよくミルトン・ナシメント「Travessia」の話をするのは親近感を感じてました。
その理由は、完全に妄想の、隅から隅までの嘘話で恐縮なんですが、
自分なりに思い出がある曲だからです。

もう何年も前、うちの嫁さんが就職内定したという報せを受けて、
当時飛ばされてた福岡から仕事で本店に戻ったとき、彼女をお祝いに食事に誘いました。
つきあってるんだかつきあてないんだかよくわからない微妙な関係だったころです。
買い物して、飯食って、二次会(?)に飛び込みで入ったジャズバーで聴いたのがその曲でした。

急に雨が降り出した夜で、お店にはオレたちと同じような飛び込みのお客さんもいたみたい。
ぜんぜん知らない若い女のひとが、おっさんのピアノをバックに歌ってました。
(正確には、サラ・ヴォーン「Bridges」、英語詞のほうのカバーだった)
ピアノの人は、器用に左手はピアノ右手はピアニカを弾いたりしてた。

いまにして思えば、雨降りの夜なんだし駅もそんなに遠くなかったから
ふつうに雨宿りしながら駅ビルでお茶でも飲んで、電車に乗せてあげればよかったのに、
なんとなく別れがたかったのでありましょうな。
オレはタンカレーを飲んで、彼女はキューバ・リブレを飲んで、終電近くまで時間を潰しました。

その日はナンシー・ウィルソン「When The Meadow Was Blooming」も歌ってくれて、とてもいい夜だった。
っていうか、覚えてるのはオレも嫁さんもこの2曲だけ。
なので特別なのです。

それからしばらくしてなんだかんだでオレたちはつきあうことになって、なんだかんだで結婚しました。
昨年末、ナンシーの訃報をネットニュースで見た日、
この夜の話を嫁さんとしたり、聴いたりしてました。
「Bridges」と「When The Meadow Was Bloomin'」は、
たぶんオレたちにとっては、最後まで特別な音楽になると思います。

しかし、やはり念を押しておきましょう。
ここまで全部嘘ですけどなw