人間は、不完全でないといかんのです。

 ご主人も泣けばよかったんだよにゃあ。
 悲しかったんだから。寂しかったんだから。悔しかったんだから。

羽川さんにとり憑いていた猫の怪異はこう言う。
しかしそれを知っていて知っていることも知っていて
知っているがゆえに知らない人間がそこに至るまで、
どんなに苦しまないといけないのか。

知とはなんなんだろうかと思ったりもする夜でござる。