医者も悪人なわけではない。
ライダーフッドがどうも手遅れっぽいので、
周囲のひとが納得して彼を死に送りだせるよう、
医者らしい態度をとって彼らに避けることのできない死を納得させてようとしているわけ。
彼らが後悔をしないように。
ある意味優しい気遣いだと言っていい。

ライダーフッドのベッドの周りにいるひとたちは、みな学がない。
藪医者に尊敬のまなざしをそそぎ、
死に赴こうとしてるライダーフッド氏に、命という聖なるものに、
畏れを感じている。

ところがライダーフッド氏は急に生き返る。
ベッドの周囲のひとたちはみな喜び肩たたきあうが、そこは嫌味な彼。
助けてくれた水夫や宿の主人相手にすぐに怒鳴りはじめ、
事故を聞いて飛んできてた自分の娘にまで、叩かんばかりの激怒の矛先を向ける。
みなどんびきしてしまう。