>>660
ディケーとテミスの関係についてこう書いてありますな。
「ミュトスとヒストリア」って章のp.99。

 仮にディケがテミスの母親ということになっていたならば、ギリシア人の精神構造全体が
 崩れ去ってしまい、テミスもディケも存在しなくなってしまうばかりか、非人間的な宇宙に
 ものを投影するというようなことも一切なくなってしまうであろう。われわれの考え方からすれば
 こういう概念は恣意的なものに映るが、ギリシア人の観点からすれば、テミスはどうあっても
 ディケの母親でなければならないのである。

おもしろくないですか?
ヘシオドス『神統記』のこういう解釈は、初めて読みましたな。
そこから、テミスの社会的な秩序を統べる神という神格と、
予言の化身、巫女の神という神格の関係についてのべられていくのです。
ここがいちばん面白かった。

古代ギリシアで市民社会が成熟し、
それに従って神話が体系化されるときの、神話論理の軋みみたいなものを
ヒンクスはここに確認している。

本当はここを詳しく書きたいんですがなあ。
もう1時半ですわい。
寝る。