ある日、天気がいい朝、砂蝉氏が事務所に行くでしょ?
そうすると男女4人ばかり本庁からの来訪者があなたを待ってるわけですよ。
そしてひとりがこう言うのです。
「関係法令、関係通知に基づき、事業所等の運営管理、利用者への支援、
給付費等の算定が適正に行われているかどうか実地監査を行います」

通常は事前に監査日時についてお知らせがあるはずなんだがそんなのはない。
砂蝉氏はあわててこう言う。
「事前に通知があれば監査に必要な資料等は準備しておきますが、
今日は書類の整理もされてません。いいんですか?」

監査に来た主査がにっこり笑って言う。
「いいんですいいんです、気にしないでいつものお仕事をなさってください。
しかし監査業務を進めながらスタッフさんに事情を窺いますので、
面談室は少しの時間使わせていただきませんか?」

聞き取りの前に、面談室になにかしかけられてないか彼らは必ず確認する。
ICレコーダやスマホが仕掛けられてないか確認の上、
職員2名でスタッフを順に呼び出し聞き取りをはじめる。

あなたは事務室で残りの県庁職員2名にくぎづけだ。
仕事どころじゃない、聞き取りのほうも気が気でない。
手は震える、足は震える、声も震えて髪の毛は抜けていく。
砂蝉氏に心当たりがないこともないからだ。
あの件か?この件か?
これから事業がどうなるか、急に不安でしょうがなくなる。
胃が痛くなる。

そんなこんなで指導監査の半日が終わって、愛想よく県庁職員たちは帰っていく。
あなたはなにがどうなってるのかわからない。
頭がおかしくなりそうな不安のなかで取り残される。
そして1か月ほどたって、本庁から査問のための出頭通知が来て全部おわる。