>>516
柳家喬太郎師に4回目の出演を願った時でした。
高座も終わり、お疲れでしたなとど盃をあわせてしばらく経ったころ、僕は少し酔っ払って、いや〜十年前に比べると師匠が人気者になったんで、最近はお呼びするのを躊躇してるんですなんていったんです。

すると師匠は、とても照れた口調でこう答えてくれました。
「いやいや、何をおっしゃいます。芸人風情がこんなこというの生意気で申し訳ないんですけど、実は今回の日程をいただいたとき、久方ぶりの休みを取ってたんです。引っ越しをする予定があったので、それでね。でも観山寄席さんからのご依頼でしょ。……断れませんよ」

こんな、乙な言葉、大好きな噺家さんから言われたら、ファンとしてはたまらないですよ。
かつや冥利にも尽きるというもんです。

で、かつやと同じように嬉しくて狂気乱舞したかつやファミリーが、師匠に言ったんです。
……ありがとうございます。嬉しいです。だったらこれからは1年に1度来てください」
かつや他のファミリーもそうですが、馴染みの噺家さんには3年に一度くらいの割合でお声かけしてます。そのくらいが演者もファミリーも新鮮だろうなと思うからです。

おそらく師匠もその思いは百も承知のおあ兄さん。
「呼んでくれるならもちろん来ますよ。でもね、……塩梅がいいのは2年に一度くらいかな」
いやはや、この返事も乙だねぇ