「海底二万里」の蘊蓄部分が退屈だとか随分叩かれてるけど、
よくある「分かりやすい文章の書き方」みたいなのでも
「とにかく余分なところを削るのが鉄則」と言われてるわけで。

ウェルズの「宇宙戦争」の、出版時に付け加えられた第七章は
サスペンスもなく理屈っぽく陰鬱で、個人的には蛇足に思うけど、
それでも当然物語の一部だし、作者の主義主張もこめられてるし、
文明批判や人間性の洞察として面白いと感じる人もいるはず。

対して「海底二万里」の海洋学の部分は、単なるデータの羅列。
物語とは全く関係ない文字通りの枝葉末節で、カットしても無問題。
これではそっち方面に興味がなく、とにかく物語を楽しみたい人には、
どうしても激しく退屈になってしまい、冗長との誹りは免れないでしょ。
自分も蘊蓄カットの学研の少年文学全集版の方が断然楽しめた。