いまどきのおしゃれな文化人になるためにはどうすればいいのだろうか。若いときに
電気をふんだんに使ったコンサートをやって人気者になり、ニューヨークの高級マンシ
ョンに住む。もちろん税金は大好きな米国に払って日本には払わない。

 ▼菜食主義を一度は試し、電気自動車のコマーシャルに出る。還暦を過ぎれば流行の
「反原発デモ」の先頭に立って、アジ演説をぶって拍手喝采される。目立ちたいのは文
化人の業だが、もう少し本業に専念しては、と望むのは古くからのファンのないものね
だりだ。
 ▼いままで書いてきたのは架空の人物の話。ただ、ミュージシャンの坂本龍一さん
(60)が、16日に17万人集まったと称する(実際は7万5千人程度だったが)反
原発集会での演説は、おしゃれな文化人そのものだった。

 ▼彼は、「たかが電気のために、この美しい日本の未来である子供の命を危険にさら
すべきではない」とのたまった。確かに、たかが電気である。命には代えられない、と
思わずうなずきたくなる甘いささやきではあるが、「たかが電気」がどれだけ多くの命
を救ってきたことか。

 ▼東日本大震災でも17年前の阪神大震災でも真っ暗だった被災地に明かりが蘇(よ
みがえ)ったとき、どれだけの人々が感涙にむせんだことか。大震災直後の昨年春、た
かが数時間の計画停電で、病院に影響が及び、どれだけの病人が困ったかを坂本教授は
知らないのだろう。

 ▼昨日の首相官邸周辺でのデモには鳩山由紀夫元首相も参加した。原発への恐怖心を
利用して騒ぎを大きくしようと画策する左翼団体や金持ち文化人、それに選挙目当ての
政治屋どもに踊らされていることに参加者はそろそろ気付かれた方がいい。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120721/trd12072103130001-n1.htm