2014.2.25 11:05
【日々是世界】
カナダ「投資家移民」廃止 中国富裕層に衝撃

 中国人民解放軍が民主活動家を武力弾圧した1989年の天安門事件以降、
中国共産党の強権体質に嫌気がさした多数の香港住民がこの制度
香港で共産党中央政府の影響力が強まるのを警戒した人々のカナダ行きに拍車がかかった。

 永住権付与の条件とされる融資額は、中国の富裕層にとっては決して高い額ではない。
このため最近は、中国本土の大金持ちから申請が殺到していた。

 香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、カナダ政府は2月11日に投資家移民制度の廃止を発表。
これにより、この制度の下で移住が認められるのを待っていた中国の投資家ら4万6000人以上が影響を受けることになるという。

 一方、これら中国人の多くが定住先として希望する、カナダ西部ブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバー市では、
中国人が地域に溶け込もうとしていないとして、カナダ政府の決定に賛成する声が強いという。
彼ら裕福な中国人は、相場より高値で不動産を購入する傾向が強く、結果として市内の生活費を高騰させたと見なされているためだ。

 また、カナダ政府がこうした制度を導入したのは、裕福な移民が国内で事業活動を行うことで税収が増えることを期待したためだったのだが、
実際には移民の多くは、中国国内で稼いだ資産をカナダに移転し、高齢者や職のない一族を呼び寄せた後は再び中国に舞い戻っているケースが多いとされる。

 カナダ政府や自治体にすれば、税収増にはつながらないばかりか、
英語ができない中国移民のために中国語の道路標識や案内板を設置しなければならず、「割に合わない」との声が強まっていた。

一部の移民はカナダに見切りをつけ、英国や豪州に申請先を変更する動きが出ているという。