日本に失望した。来たことに後悔している」

ベトナム人の元技能実習生はそう話しました。年々増加する技能実習生の失踪。
ことしも過去最悪を更新した去年並みのペースで増えています。
希望を持って来日したはずの若者たちはなぜ失踪するのか。
今、どうしているのか。当事者たちに話を聞きました。(社会部記者 森永竜介)


12月初め、失踪したベトナム人の元技能実習生が南関東にいると聞いて会いに行きました。

週末の夜、待ち合わせ場所のファミリーレストランにオレンジ色のダウンジャケットを着て現れたズンさん(仮名 30代)。

在留カードにはよく似た顔写真と、在留資格・技能実習の文字。
ほかに身元を確認できるものは何も持っていませんでした。

なぜ実習先から逃げ出したのか。
聞くと、おびえたような小さな声で話し始めました。

ズンさん
「社長は怒るといつも私たちの目の前で1人の日本人の同僚を殴ってののしりました。
私たちが『仕事が大変で給料も少ない』と訴えた時も、その同僚と一緒に呼ばれ、彼を殴りました。
私たちを直接殴らなかったのは、実習生の受け入れに当たっている監理団体に連絡されるのを避けるため。
精神的な脅しです。今思い出しても恐ろしい。いつか同じ目に遭うのではないかと恐怖を感じていました」