布施 そうですね。ああいうNPOが日本にも必要です。やはり、ひとりでは限界があります。
今回存在が確認された過去の自衛隊海外派遣の日報は、膨大な量があります。枚数にして、おそらく全部で何十万の量になるでしょう。
これを全部開示させるには、数百万円規模の手数料がかかる。とても個人じゃ無理です。
だからNPO的なものが日本にも作れたらなと思いますね。

瀬畑 アメリカでは国防関係のNPOとかには専門スタッフを大勢雇って、
年間予算何億とか、すごい金額の寄附を集めて国防総省のやることを片っ端から情報請求かけまくるみたいな団体があるんですよね。
それを全部スキャンして、全部ネット上に上げていくみたいな。すると国防総省も対抗してきて、「トラック一台分の文書くれてやる、
分析できるなら、してみやがれ」みたいな感じで来るらしいんですが(笑)。でも、そうやって公開すること自体は健全だと思います。
その上、公益性が高い場合はタダなんです。日本の場合はコピーするのに1枚10円ですから。
公開請求に印紙もいるので、たくさん公開請求すれば、それだけお金がかかる。
この差は結構大きいです。

情報公開というのは民主主義のコストなんです。そこに対して税金を使うことに関して、
同意があるべきだと思います。公開にかかるお金は公益性があるものならタダにすべきです。
それによって、少しでも使いやすい制度に変えていかないと。お金の面のハードルも、今は高過ぎると感じます。
そして、もっと組織的にできる仕組みができるといいですね。今はみんな自腹を切って頑張っているんで。
この本の最後で私と対談してくださった三木由希子さんも、
「情報公開クリアリングハウス」というNPO法人をほぼひとりでやってますから。そういう状況だと、
なかなか輪が広がっていかないので、そこをどう変えていくかは、もっと検討されなきゃいけないことですね。

――森友・加計問題以来、公文書の隠ぺいや改ざんだけでなく、
できるかぎり公文書に記録を残さないという方向になってしまっているようですが、
これに対しどうすればいいでしょう?

https://wpb.shueisha.co.jp/news/politics/2020/01/05/110459/