日曜の朝、ドリガン某所
くろさば愛好家たちが集まる小さなサイトのオーディリタオフが開かれようとしていた
集合時間10分前、既に来ているメンバーは7人
その輪の中へ、俺はお気にのグルニル真Ⅴノーマル一式で駆け付けた
「おはよう！†闇のキリト†です！今日はよろしく！」
元気よく自己紹介する
「…あ、おはようございます」
「†闇のキリト†さんって高校生なんですよね？あれちょっとお年の割に…」
なぜか皆の視線が泳いでいる
「遅くなってスイマセ～ン！」
アドゥアナートに乗ったオッサンが大きな声を出しながらやってきた
「幹事のディネおじです。今日は皆さんよろしくお願いします」
この人が今回のオフの主催者であり、サイトの管理人でもあるディネおじさんだ
「あ、どうも！†闇のキリト†っす。よろしく」
俺が挨拶をすると、ディネおじは眉間にシワをよせて、俺と俺の鍛え上げられたボディをジロジロと見てきた
「え～っと…†闇のキリト†君だっけ？君さぁ、今日どこに行くか知ってる？」
「え…？みんなで新エリア流しながら命を刈り取るオフっすよね？」
「うん。で、君のアーマー…それグルニルだよね？」
何が言いたいのかわからない。一張羅を原付呼ばわりされてイラっときた俺は言った
「何が言いたいんスか？」
「A300～狩場でやるんだけど…グルニル、しかもノーマルのそれじゃ耐えられないよね？」
「…大丈夫っスよ！あたらなければ皆さんに迷惑かけないくらいの狩りスピードは出ますし」
爆笑の渦が起こった。そしてディネおじは苦笑いしながら言った
「適正未満は上位狩場じゃ効率出ないんだよ。それにこのおっさんゲーマーの記事を見てごらん」
視線を落とす。そこにはD307ツーパンの検証があった
「そもそもキミ高校生じゃないよね？平日の日中に馬落としする現場が頻繁に目撃されてるけど、そんなんじゃ誰とも仲良くなれないよ（苦笑」
俺は泣きながらログアウトすると、そのまま枕を濡らして眠ってしまった
目を覚ますと午後10時、パソコンの電源を入れてあのサイトを覗いてみる
そこの掲示板には、今日のオーディリタオフを楽しそうに振り返るメンバーたちの書き込みがあった
俺は偽ハンドルネームを使って『ディネおじ臭ぇんだよ！てめぇアドゥじゃねーか！』と書き込む。
するとギルマスからメールがあった
『ディネおじさんからすべて聞いたよ。当ギルドのルール通り、君を追放処分にします』