409 :俺より強い名無しに会いにいく [sage] :2017/11/02(木) 17:12:28.10 ID:4jk+9CXE0
木枯らしが吹きすさぶ冷たい路上に大貫は一人ダンボールを敷いて横になっていた。
パワハラと激臭に耐えかね、一人また一人と大貫の元を去っていった結果、彼に残されたのは古いジャンパーとジーンズと
ポケットに入るだけの小銭だけになっていた。
気づけば、肛門性交を売りに日々の糧を得て、なんとかその日を凌ぐ生活をしていた。
寒さに体が小刻みに震えている。薄汚い毛布の端をひっつかむときつく体に巻きつけた。
そこに一人の少年が通りかかった。15歳くらいだろうか。輝かしい目をしていた。大貫を見つけると小走りで駆け寄り声をかけた。
「もしかして、大貫さんですか!?」
「……」
寒さに顔を毛布へ埋めた大貫の耳に入らなかったと見えて、少年はもう一度声をかけた。
大貫は毛布から顔を出し、ちらりと少年を覗いた。希望もなく生活に疲れ果て、生気を失った顔があった。
たるんだ皮膚にシミが散っていた。
「ああ、そうだけど・・・」
大貫はか細い声で答えた。
「あの、伝説のプロゲーマー大貫晋也さんですよね! 僕を弟子にしてくれませんか!?」
路上生活で鈍った大貫の反応は薄かった。しかし、だんだんと頬が紅潮しはじめ、目は大きく見開かれた。
少年のすこし膨らんだ胸元をしばらく凝視した後、こう問うた。
「ここをどこで知ったわけ?」
「力丸って人に教えてもらいました」
力丸…大貫は昨晩の性交を思い出した。肛門の違和感を思い出したが、それを顔に出さなかった。
「ふ〜ん。あなたさぁ、名前は?」
「はじめと言います」
突如、大貫はがばと毛布をはぎとり、ばっとはじめの前に仁王立ちした。
はじめ、その名はかつて大貫が見込んだ弟子の一人と同じ名であった。
二人の視線が冷たく澄んだ空気を通して混じり合った……。


――不遜を許された才大貫晋也&天才プロゲーマーはじめ。晩秋の早朝に二人は出会った。
これは元浮浪者プロゲーマーと天才少年の夢と希望の物語である。