浅川純「伊豆大島殺人火山」(大陸ノベルス)★★
1988年の長編。
旅行雑誌編集部に勤める石月冴美は、取材旅行で知り合ったカメラマン北川亜紀が謎の失踪を遂げ
たことを知る。彼女の所属する写真スタジオでは、四ヶ月前に社長の後継ぎの息子が交通事故死し
ているなど、北川の失踪に不審なものを感じた石月は彼女の足取りを追い、三原山が噴火中の伊豆
大島で北川が行方不明となったことを突き止める。いったい大島で何があったのか・・・。
伊豆大島を舞台にした本格ミステリといえば、大谷羊太郎「殺人航路」という佳作があるのですが、本
作は、そうした密室的な趣向がある訳でもなく、謎解きとしては余りにズサン。プロローグはとも
かく、中盤の描写に難あり。一応ラストでは、ヒロインによる真犯人特定の推理が得々と語られる
のですが、それを支えるだけの事前の伏線が足りないし、トリッキーな魅力に欠けるので、ああそう
ですか、で終わり。
凡作ですね。それにしてもスゲえタイトルw