■■■■ディック・フランシス■■■■
>>120
それって昔出た「推理作家の発想工房」と同じ内容?
ジャック・ヒギンズがフランシスやジェイムズを貶してるやつ 文庫になった「矜持」を読んだけど良くもなければ悪くもない感じでした。 >>129
この文庫の訳者あとがきに書いてあったけど
フランシス物の翻訳は完全に終了とのことです。
息子の作品は日の目を見ないんだね。 拮抗読んだけど主人公の生い立ちがかわいそ過ぎるわ。
昨日までで全作品中の6割を読んだけど、どれもそれなりに面白かった。
横断がカナダ鉄道の車中の物語で、旅情もあふれていて楽しかった。 『競馬シリーズ』となっているけど『お仕事シリーズ』と言ってもいいくらいだ。 日本には表向き存在していない個人や会社の賭け屋ってのが大きなビジネス
になってるね。縁日の屋台みたいに移動車であちこちの競馬場回ってる。 この作家の作品読むと英国では競馬が巨大産業になってるね。
携わっている労働者も日本より多いんだろうな。なにせ女王まで
馬持ってるらしい。場内馬券売り場の賭け率と私的賭け屋のそれが
違う場合が多そうなので客はどっちから馬券買うか、予想で二重に
楽しめるので、俺もやってみたいわ。 多分次男は今頃新作執筆してるんだろ。まだ若いからこのまま終わる
とは思えない。 >>141
女王は馬どころかアスコット競馬場という競馬場を持ってるからな。
夏にそこで開催される大会をロイヤルアスコットと言って、その時行われる
一番格の高いレースがキングジョージ&クイーンエリザベスステークスっていう
レースだw 女王といえば、侵入で女王が脇役みたいな感じで出ていて、てっきり
エリザベス女王のことかと思ったが、聞いたことのない国の女王だった。 そういえばアン王女って乗馬競技でオリンピック出てたな。
日本では競馬場は上流階級の社交場という感じはしないんだが、
フランシスの本読むと英国では貴族が馬主になってる。 マイフェアレディでも競馬場のシーンがあるね
上流階級の嗜みな訳ですが、貴族の存在しない日本ではギャンブルということだけが強調されてしまった 馬主になるとかなりな出費だなあ。持ち馬が賞金稼げなかったら
大赤字。昔は莫大な土地の賃貸料収入がある貴族しかなれなかったんだろ。 直線ではアメリカのお金持ちがイギリスの馬主になってた。 名門の馬の操作なんか、実際にあった事件を下地にしてるんかいな?
それとも作者の想像かいな? 今読んでる「侵入」では、王女がオーナー(馬主)になっている馬に乗っている主人公
が出てくる。130ページよんだだけですが、とくに緊迫した展開はなし。
この辺からフランシスお得意のスリリングな展開を期待しつつですが・・・ 俺は今興奮読んでるけど馬丁の描写なんかもう堂に入ってるね。 興奮読んでるけど、オクトーバー卿という名は何なのかいな? 姓でもないし
ファーストネームでもない。ミドルネームでも10月なんか付けない。判らんなあ。 興奮読んだけど、最後にジェリーにおもちゃの機関車渡すシーンも
書いて欲しかったな。そして彼との別れの言葉も。 「侵入」只今読了。面白かったです。このシリーズは半分くらい読了したが
本当にはずれがないね。 ハヤカワ文庫で保存版のフランシス全集でも出してくれないものか。 ヒギンズがこの作家のこと、「読んで何が残る?」って発言してたが、
確かに読書中はワクワクする面白さがあるんだが、しばらくするとストーリー
がなかなか思い出せない。競馬の知識は増えるんだが。 >>157
あの発言は当時の日本の冒険小説ファンからは
かなり顰蹙をかったと思う。
内藤陳さんが
「あのヒギンズが、何でこんなこと言うんだ」
と嘆いていたのを思い出す。 ヒギンスって鷲は舞い降りたくらいなもんだろ。あとは皆小粒な作品ばかりだ。
総合度ではフランシスの方がずっと上だわ。 アメリカ探偵作家クラブ賞の最優秀長編賞を3度も受賞している大御所に言うセリフではないな。
ただの僻み妬みからの発言だろ。 ディックフランシスが映画化されたのは「大本命」一本のみ。
「大本命」(原題"Dead cert")(1974)
グランドナショナル大障害レースを背景にした『本命』を原作にトニー・リチャードソン
監督作品
誰もが認める失敗作でフランシスは次のように語っている
「あの映画はひどかった。小説のメインの悪役ジョージ伯父さんが出てこず、ロッジ警部が
メインになっていた。王室を迎えてプレミエ試写がおこなわれ、私の隣に坐ったアン王女は
楽しみにしておられたようだが、結果はそうならなかった。コメントはされなかったけどね。
公開前のヴァージョンはなかなかいいと思ったんだが、実際の公開版ではリチャードソンが
長すぎると最初の十分をカットしてしまった。あの部分にストーリー展開の鍵があったのに。
数年後、ロシア人の作った海賊版を見た。言葉はわからなかったけれど、英語版よりずっと
ストーリーが理解しやすかったよ。」
TVシリーズでは、79年にマイク・グリウムがシッド・ハレーに扮した1時間枠の"The Racing
game"が放映された。製作にあたったヨークシャ・テレビの内輪もめで6話しか作られなかった
が、フランシスは高く評価していたとのこと。
日本ではNHKが82年8月に放映した。
また、89年には2時間枠のTVシリーズ"Dick Francis Mysteries"が製作された。
「追込」「血統」「配当」の三本で日本では91年11月にNhK衛星放送でオンエアされている
アイルランドとカナダの合作でテレビにふさわしい軽い作りになっているのが特徴。
私自身82年8月の放送の時、父が「このシリーズは面白いからお前も見ろ」と言われて
見た覚えがあります。当時中学生だった私がフランシスミステリーを知った最初でありましたが
今思い返せば、ストーリーはもちろん、面白かったか面白くなかったかすら覚えていないのでした。 興奮こそ続編書いて欲しかった
姉の方が死んで妹と真相を探る、みたいな
姉とくっつくかと思いきや変わった妹というところがミソでさ 私は興奮は続編期待しない派です。
ダニエル・ローク曰く
for kicks(スリルのためさ)で終わっているところがまたなんともいいのでは
この言葉に続く続編なんて考えられない。 Dick francisの公式ホームページを見てみたら息子のfelix francisの競馬シリーズ
の最新作bloodlineの宣伝がでかでかと載っていた。息子さん単独で最新作を出している
みたいだね。日本語の翻訳版が出る予定はないのかな。でないんだったらいっそ原書で読んで
みようかと思う今日この頃です。一冊8〜9ドルするらしくちょっと高いね。
ブコフの105円や図書館の本を読んできた身にとってはちょっとつらいね。
その前のgambleは父のディック・フランシスの作風を継承していて面白かったという書評が
ネットに出ていたので、翻訳版が出てもいいのではと思うのだがどうだろうか。 >>165
息子さんは何年も前から物理の教師退職して父親のアシスタントやってたから
執筆環境は整っているんだろなあ。実際今ハヤカワで翻訳やってるんではないの
かな。親子合作を読んだが分厚くてやたらと読みごたえがあった。息子さん単独作
でもかなり売れるだろ。早ければ今年のクリスマスに日本版読めるかもしれない。 「連闘」読了。面白かったです。ラストだけなら「侵入」以上かも。
読んでない方は
是非「侵入」を読んでから「連闘」を読んで見てください。 どの主人公もおとなしいけど忍耐強いんだよなあ。長距離ランナーみたい。 息子の作品を早く読みたいね
ハヤカワさん、なんとかしてよ 近所のブックオフにいつしかフランシスの文庫本が常備されるようになった
熱心なファンでも周りにいたのかしら ブックオフに売るなんてもったいないな
競馬関係専門の古書店てのもあるんだぜ 【地方競馬】「地方競馬で八百長が行われる」2ちゃんねる競馬板住人が金沢競馬のレースを予言→的中して“祭り”状態に
2ちゃんねるの競馬板で、「地方競馬で八百長が行われる」と予言した人物が現れ、果たして結果が
その予言通りになるという事件が発生。現在、競馬ファンの間では凱旋門賞よりも関心を呼ぶ
“祭り”状態となっている。
以前から『金沢競馬 八百長糾弾ブログ』を運営してきたこの“預言者”によると、件のレースが八百長だと
思う理由として
・通常はメインレース(この日は10R)の売上が最も大きくなるはずのところ、件のレースの売上が突出している
・特に三連単の売上が突出している
・4番が1番人気だった三連単のオッズが、投票締め切り直前に激変した
・激変後の三連単の投票上位を見ると、激変前に人気だった4番が除外されて買われている
・4番と2番の騎手が過去に、わざと負けようとしたように見える不自然な騎乗を繰り返している
といった点を挙げている。
金沢競馬では今年の5月に、単勝の配当が三連単の配当を上回るという“大珍事”も発生していることなどから、
八百長が常習的に行われているのではないかと疑っている競馬ファンも多いようだ。 告発者とコンタクトを取ったところ、今回の一連の“八百長疑惑”では少なくとも7人の騎手と2人の調教師が八百長に関係しているとして、こう語った。
「故意に負けさせて人気が落ちた頃に実力どおりに走らせるか、実力どおりに走らせて好成績をあげて、人気を集めてから故意の敗退をする」 「ここ数年、金沢競馬は赤字続きで、毎年存廃の議論がなされていますが、今年度は黒字化が見込まれています。
地方競馬の祭典JBC(中央競馬所属馬も出走する地方競馬の最高峰競走)が史上初めて金沢で開催されるため、
黒字を見込んでギリギリ存続しました。それでも2014年度で確実に廃止です。
連中にしてみたら、どうせ先がないなら、儲けるだけ儲けてやめてやるという魂胆でしょう。
少なく見積もっても、八百長で得た利益は数千万円。金沢競馬の売り上げ減の一因に、この八百長問題も確実に含まれています 地味だけど「骨折」が好き。高評価する人と、全く評価しない人と分かれるらしいんだけど……
出て来る馬のアークエンジェルは、シリーズ最強馬じゃないかと思う 全作品に出てくる馬のランキングなんて企画も面白そうだね 「骨折」はランキャットが可哀想で、残念でたまらない。これからバンバン活躍する子だったろうに。 馬の鼻の中にスポンジを入れてしまう話のタイトルは何だっけ。
「重賞」?「興奮」? スポンジは知らん(思い出せん)けど、やっぱアドミラルでしょ>179 >>182
興奮は犬笛じゃなかったか
そういやゴルゴ13にも、まるディック・フランシスのミステリーのような作品があったな。
英国ダービーで、英王室の馬にドーピングする輩が出てくるんだが、
薬物を中和する薬を、ゴルゴが走行中の馬の肛門に狙撃して浣腸する神業が見られる。
スナイパーが主人公なんて、フランシスならやりそうだと思ったんだが。 ゴルゴは、ニジンスキー狙撃犯を射殺したり、ハミを打ち抜いて馬を窒息死させたりもしてる。 初期のフランシスは、全てハイクオリティーで安定してるよな。
「度胸」「興奮」「大穴」辺りなんて、英文学としても高いレベル(言い過ぎかな?w)。
どれも俺が生まれる前の作品なのに、古さを感じさせない、というか全然気にならない。
ちょい気になってググったら、90年代前半まで翻訳結構バラバラで、「興奮」なんか原作出版後11年もたってるんだなw
どうでもいいけど、今、稀代のページ・ターナーとか言われてるJ.ディーヴァ―とかは、読んだ後何も残らない。
ハリウッドのB級アクションみたい。1回さらっと読んで終わり。
幾つか再度して、ディック・フランシスの凄さというか深さというか、クオリティのの高さを再認識したよ。 ミステリーと言うより、ハードボイルドに近い作風かな。
イアン・フレミングの初期みたいな、強いイギリスの男を描いている。 主人公が性格は地味なくせにタフだよね
ヒロインも強い人が多いね やられても不屈の闘志で立ちあがるタフガイが主人公の代表的なイメージ
シッド・ハレーなんか、まさにそうだろう >>184
スナイパーじゃなかったと思うけど、射撃の名手は登場したと思う
どの作品だったか思い出せないけど、
電話の端子ボックスみたいのを打ち抜く場面があったような・・・?
Dick Francis's Gamble
Dick Francis's Bloodline
は読み終わって
Refusal
を読み始めた
The new Sid Halley thriller
だそうだ
フェリックスがシッド・ハレーの作品を書くつうのは
コアな"DICK" Francisファンやシッド・ハレーファンから
非難轟々集めるかもしれないが・・・
読み始めたばかりなんで、いいとも悪いともいえない
前作で出てきた女性と結婚してる設定
しかし、邦訳は本当に「矜持」で終わりにしてしまうのか?
ペーパーバックで読んでもいいんだけど
ネイティブでないんで、あとで翻訳版で読み直せるとありがたいんだが 当方馬乗りです。本職ではありませんが草競馬の騎手はやりますし、馬具繕ったり調教したり馬車運転したり、一通りこなします。
英国趣味あります。デブレッツ貴族年間とか戦前の時刻表とか好きです。時代設定が戦後でなく戦前、あるいはWW1前は大好きです。
航空趣味もあります。複葉機好きです。
子どもや動物が不幸になる話はダメです。やさしいライオンとかかわいそうなゾウとかダメなんです。
ハッピーエンドがいいです。謎解きの出来は余り気にしません。ミステリでもラストが楽しそうか確かめてから読むこと多くあります。犯人知ってから読むのはかまいません。
こんな私に最初の一冊のお勧めを教えてください。 >>153
「興奮」のオクトーバー卿 変な名前ですね。仲間だ。
調べたら、
Earl of October といって、Octoberは地名みたいですね。
Earl of Oxford とか Earl of Salisbury のたぐい。
googleの地図にOctoberという地名はないみたいです。 >>195
なるほど、地名(古地名で今は消滅?)だったのですか。初読の時から
ずっと気になっておりました。フランシス作品の登場人物には、一般的
な英国人の名前(ジョーンズとかジョン、ポールとか)じゃなくて、珍
しい姓名の人が多いですね。 Refusal読み終わった
正直な感想、いまいちだった
次作Damageが9月にでるらしいからそれに期待 親の七光り、っていうのとはちょっと違うと思う
主人公が敵からの攻撃に対して、様々な方法で反撃して最後には勝利する
という基本的な話形に違いはないのだが、ここ数作、その攻撃や反撃の内容が
あまり好きになれない
ネタバレを好まない人もいるだろうから具体的にはいわないけれど
本作品は特にそう感じた
あくまでも私個人の好みの問題かもしれないが・・・ フランシスど電子書籍が出始めたんで読もうと思ったんだが
数が多くてどれから読めばいいのか困惑中。
利腕ってのが評判いいって聞いたけど、興奮って前作があるらしいんだよな。
まずは二〜三冊買ってみようと思うので、未体験者へのおすすめを教えてくれないかな ハマればどうせ全部読むことになるから、書かれた順でいいんでない?
つまり『本命』から。
『利腕』はシッド・ハレーものの2作目で『大穴』が1作目。
『大穴』の障害を持つ者の心理描写には唸らされましたし、『利腕』もランキング的には上位に来るんでしょうが、
個人的には特別傑出しているわけではないと思います。出来の良かった作品の一つ。
そういう自分は、昔過ぎて記憶が定かではないが、多分翻訳第1作の『興奮』から読み始めたと思います。 >>203
じゃあ、興奮から買って読んいってみる。
おすすめと勘違い訂正どうもでした。 Felixの新作が英国で11日、米国では来月7日に出るようなんで
とりあえず期待してます
で、第1作「本命」から読み直し始めたよ
原作が1962年、日本で出たのが1968年で、おれが読んだのが80年代の末ごろだった
前回読んだときはほとんど気にならなかったのだか、現代と格差がありすぎ
こればっかりは仕方がないが
Felix単独の作品まで含めて全48作品(新作Damage含めて、数あってるか?)を
再読し終わるのはいつごろになるかな
Felix単独の作品にたどり着くころには翻訳版が出ていてくれるとありがたいけどどうかねぇ
この先何度も読み直せるわけではないから心して読まねば
>>162
映画もドラマも録画した記憶があるので、VHS探せばあるかもしれない
だけど見つけられるかなぁ
時間があったらこれらも観直しておきたいな
あんまりよく覚えてないけど、出来はあんまりよくなかったような・・・ TVシリーズのレースシーンだけたまたま見掛けた記憶があるけど、あの映像は素晴らしかった。
ドラマとして出来はよくわからんが、また見たい。 本命読み終わった
第1作目からすでにフランシスのスタイルが
できあがっていたことに今更ながら驚かされた
菊池光の訳はこれからあのスタイルになるんだ、
というきざし?みたいなものが感じられた
まぁほとんど完成形といってもいいんだろうけど ディック・フランシスの投機
フェリックス・フランシス
孫娘、シエナ・ローズに
フィナンシャル・アドバイザーであるいとこのネッド・フランシスに感謝をこめて
カルキン・パティンソン有限責任会社の好意に
そしていつものようにデビーに
1
ハーブ・コバクが殺されたとき、私はすぐとなりに立っていた。
「処刑」という言葉が適当だったかもしれない。
至近距離から3発、2発は心臓に、1発は顔面に、
彼は地面に倒れる前にほぼ確実に、そして狙撃者が振り向いて
グランド・ナショナルの開催日の群集の中に消える前に間違いなく死んでいた。 狙撃は迅速に行われたため、ハーブも私も、そしてその件に関してはほかの誰も、それを阻止する機会はなかっただろう。
それが完了し、私の足元でハーブがすでに死んでしまうまで、実際のところ、何が起こっているのか私にはわからなかった。
弾丸が体を切り裂き、死を迎える前に、ハーブ自身、生命が危険にさらされていることを理解する時間があったか疑わしい。 息子の作品オレも早く翻訳で読みたいなあ。原文でも少しは読めるが、
辞書引く時間がかかるのでスラスラとは読めない。 恐らくなかっただろう。奇妙なことだがそれでほっとしたことに気づいた。
私はハーブが好きだった。
しかし、ほかの誰かは明らかにそうではなかったのだ。
ハーブ・コヴァクの殺人は、彼だけでなくほかのみんなの一日を変えてしまった。
警察はその状況をいつもの無神経な効率性で引き継いだ。
たった30分の告知で世界の主要なスポーツイベントを中止し、
いらいらした6万人以上の観衆に、彼らが名前と住所を告げるまで
数時間辛抱して列に並んで待つよう要求した。 「だが、あなたは彼の顔を見たはずでしょう!」
いつもの顧客を追い出して、急作りの事件対応用部屋が立ち上げられたレストランのひとつで
テーブルを挟んで激高した警部に相対して座っていた。
「もうお話したとおり」と私は言った。「その男の顔を見てはいなかったんです。」
私はその運命の数秒間をもう一度思い返し、はっきり思い出すことができたのは拳銃だった。
「では男だったんですね?」警部は尋ねた。
「そうだと思う」私は言った。
「黒人でしたか、白人でしたか?」
「拳銃は黒でした」私は言った「消音器がついていました」
とても役に立つようには聞こえなかった。私にすらそれはわかった。
「ミスタ・・・えぇと」警部はテーブルのノートを参照した。「フォクストン、殺人についてわれわれに話していただけることはもうないですか?」
「申し訳ありません。」首を振りながらいった。「すべてとても短時間に起こったので」
彼は質問の方向を変えた。「ではあなたはミスタ・コヴァクをどのくらいよく知っていたのですか」
「とてもよく」私は言った。「一緒に仕事してましたから、この5年くらい。仕事の上の友人だとといってもいいでしょう」
私は言葉をとめた「少なくともそうだった」
彼が死んだと信じることは難しかった。
「どんな仕事ですか?」
「金融サービスです。」私は言った「独立したフィナンシャル・アドヴァイザーなんです。」 警部の目が退屈でどんよりしているのが見てとれた。
「グランド・ナショナルで騎乗するほど面白くないかもしれない」私は言った
「でもそんなに悪くないですよ」
彼は顔を上げて私の顔を見た。「で、グランド・ナショナルで騎乗したことがあるんですか」
彼の声は皮肉に満ちていて、彼は笑っていた。
「実を言うとあるんです」私は言った「二回」
笑いは消え去り「ほう」彼はいった。
まったく、ほう、だな、と思った「二回目には勝ちました」
過去の人生について今感じていることを多く語るのは私らしくなかったし、
自慢するのはもっと自分らしくないことだった。私はすき放題に語りすぎた自分を静かに非難したが、
私に対してだけでなく、死んだ友に対するその警察官の態度に少しばかりいらいらし始めていた。
彼はまたノートに見入った。
「フォクストン」彼は読みながらいった。顔を上げた「フォクシー・フォクストンではないな?」
「そう」これまでずっとフォクシーというニックネームを捨てるよう努力し、
シティでの硬い生活によりふさわしいと感じている本名のニコラスを好んでいるのだが、私はいった。
「これは、これは」警察官が言った「何ポンドか勝たせてもらったよ」
私は微笑んだ。彼はおそらく同様に何ポンドか負けたはずだが、それをいうつもりはなかった。
「じゃあ、今日は乗らなかったんだ」
「ええ」私は言った「長いこと騎乗してません」
最後にレースで騎乗してから本当にもう8年も経ったのだろうか?と私は思った。
ほんの昨日のことのようにも思えたし、ずっと前のことのようでもあった。
警察官はもう一行ノートに書き込んだ。
「で、今はフィナンシャル・アドヴァイザーですか」
「そうです」
「ちょっとばかり落ちぶれたとは思いませんか」
警察官になるよりはいい、と答えようかと思ったが、結局は沈黙が最善策だろうと思い直した。
いずれにしても、どちらかといえば彼に賛成なのだ。 500kgもの馬にまたがってエイントリーの障害に挑んでいた威勢の良かった日々から私の生活すべてがちょっとばかり落ちぶれたのだ。
「誰に助言を?」彼は尋ねた。
「報酬を払ってくれるなら誰でも」いささか軽薄にいった。
「では、ミスタ・コヴァクは?」
「彼もそうですよ」私はいった。「我々はふたりともシティにある独立したフィナンシャル・アドヴァイザーの会社で働いているんです」
「ここリヴァプールで?」彼は尋ねた。
「いいえ」私はいった「ロンドンのシティで」
「なんという会社です?」
「ライアル・アンド・ブラック」私はいった「事務所はロンバード・ストリートにあります」
彼は書き留めた。
「ミスタ・コヴァクに死んで欲しいと誰かが考える理由が思いつきますか?」
それはこの2時間ずっと自分自身に問い続けてきた質問だった。
「いいえ」私はいった「全くない。みんなハーブが好きだった。いつもほほえんで幸せそうだった。どんな集まりでもその中心にいました」
「どのくらい彼を知っていたといいましたっけ?」警部は尋ねた。
「5年です。同時に会社に入ったんです」
「彼はアメリカ市民だったと理解していますが」
「そう」私はいった「ケンタッキーのルイスヴィルからきました。年に2回は帰国してました」
すべては警部のノートに書き留められた。 「結婚してましたか?」
「いや」
「恋人は?」
「私の知る限りいませんでした」私はいった。
「あなたと彼は同性愛の関係でしたか?」警官はノートを見つめたまま無感情に尋ねた。
「いいや」同様に無感情にいった。
「探り出しますよ」目線をあげて彼はいった。
「探り出すことなんて何もないですよ」私はいった「ミスタ・コヴァクと一緒に仕事をしていたかもしれないが、私は恋人と暮らしてますよ」
「どちらに?」
「フィンチリー」私はいった「北ロンドンです」
私は住所を知らせ、彼は書き留めた。
「ミスタ・コヴァクはほかの誰かと同性愛の関係にありましたか?」
「どうして彼がゲイだと思うんですか?」私は尋ねた。
「妻なし、恋人なし。ほかにどう思えと?」
「ハーブがゲイだと信じる理由はありません。実際、そうではないと知っています」
「どうしてわかるんですか?」警官は意味ありげに私の方に身を乗り出した。
私はハーブと私が財務会議の折り、ホテルで一夜を一緒に過ごしたという珍しい時のことを思い返した。
彼はどんな球も投げてこなかったし、時には地元の娘たちに話しかけていたし、その成果を朝食の時に自慢していた。
彼が女性と性的関係にあるのを見たことがなかったのは事実だが、男と一緒だったのを見たこともなかった。
「知ってるんですよ」私は弱々しくいった。
「なるほど」警部はそういった。明らかに信じてはおらず、ノートに書き加えた。
しかし、私は本当に知っていたのだろうか?そしてそれは問題なのだろうか?
「いずれにせよ、どんな違いがあるというんですか?」私はきいた。
「殺人の多くは性的な動機に依るんですよ」警部はいった。「我々が別の方法で知るまで、できる限りの手を尽くさなければならんのですよ」 度胸を読み始めた
フランシス作品のさまざまな要素がすでにほとんど詰め込まれているような印象
舞台が50年も前と古いことを除けば後の作品と差が感じられない
菊池光の訳も以降のものとほとんど変わりないような読み心地
フランシスは2作目だが、菊池光訳は5作目だからか 度胸読み終わった
度胸と矜持でそれぞれの主人公は似たような境遇に陥る
フランシスは矜持を書いたとき、以前に同じような場面を書いたことを
思い出せなかったのだろうか
まぁあれだけの作品を書いているんだから仕方ないのかもしれないが ようやく競馬場を去るのを許されるころには、あたりはほとんど暗くなって、雨まで降り始めた。
離れたところにあるパークアンドライド駐車場への送迎バスはかなり前に運航を終えていて、
私は寒く、濡れて、私のメルセデスのところにたどり着くまでにすっかりうんざりしてしまっていた。
しかし、出発するまでにしばらく車に座ったままで、その日あった出来事を記憶の中でもう一度振り返った。
朝8時すぎにヘンドンのセイモア・ウェイのハーブのフラットで彼をピックアップし、
とても上機嫌でリヴァプールに出発した。ハーブにとって初めてのグランド・ナショナルへの旅で、
その展望に彼はいつになく興奮していた。
彼は、ケンタッキー・ダービーの開催地であり、アメリカのサラブレッド競馬の心の故郷である
チャーチル・ダウンズ競馬場の象徴的な2本の尖塔の影で育ったのだが、
競馬賭博が彼の子供時代を台無しにしたといつも断言していた。
以前から私は彼にレースに一緒に来るように何度もたのんだが、
彼は記憶が未だにとても苦痛だといっていつも断っていた。
しかし、今日は、将来の我々の仕事や生活、希望やおそれについて平穏に話しながら高速道路を北に向かう間、
そんなそぶりは見られなかった。
ハーブの将来がどれほど短いものとなるのか、我々は知らなかったのだ。
彼と私はこの5年間、非常にうまくやっていたが、大抵は厳格に仕事の同僚レベルであった。
今日は友情を深める最初の日だった。同時に最後の日になった。
私は車の中にひとりですわり、新たに見つけ、あっという間に失った友人を嘆き悲しんだ。
しかし、なぜ誰かが彼に死んでほしかったのか、いまだにわからなかった。 電子書籍化嬉しすぎる。
これで家が狭くても全巻揃えられる。 5年かけて全巻読破したが、この作者のは再読しようと思わせる作品ばかり
なのがいいわ。ミステリ味以外に英国のことが判って勉強になる。 フェリックスの単独作もやっと翻訳されたのね。
でもタイトルは考えて欲しかった。
『強襲』だと短編のタイトルと被ってる。 >>225
早川からじゃなかったんだな
文庫版でるのかな