ゴシック風味のミステリ
18世紀末のイギリスにおいて、ゴシックの時代は
旧時代の文化であり、自分達のルーツであり、神と騎士の厳かな物語の舞台であり
死と闇の時代であり、それら全ては既に失われ、今や廃虚のみが残された物悲しさを持つ世界
であって
その世界への憧憬に耽るロマンチシズムこそが、ゴシック趣味の本質、かな
少なくとも初期のゴシックリヴァイヴァルでは、厳密なゴシック建築の再現よりは美しい詩や廃虚こそが原動力だったはず
だから、なんなら所謂ゴシックのモチーフすら一つも使用していなくても
旧時代の文化や遺物への憧憬や感傷と、そこに恐ろしさ美しさを見いだしていれば、それはゴシック的作品な気がする