霧の中を歩いていた私の目の前に、古城が現れた。
 思わず、驚きの言葉が漏れる。「この城か。
確かに、出そうな雰囲気だなあ」
 その時、後ろから声をかけられた。
「それ以上近づかないでください。危険ですよ」
「知ってます。幽霊が出るそうですね」
「ご存知でしたか。管理を任されてる私も
大弱りなんですよ。幽霊の噂が広まって以来、
沢山の人が押し掛けるようになって」
「へえ、それは大変ですね」
 私は、城を見つめたまま会話を続ける。
「私も、会ってみたいような怖いような……。
それで、どんな幽霊が出るんですか?」
「首がないそうです」