『過ぎ行く風はみどり色』1995年、倉知淳
邪険な扱いしかしなかった亡き妻に謝罪したい。一代で財を成した傑物・方城兵馬の願いを
叶えるため、長男の直嗣が連れてきたのはなんと霊媒師。自宅で降霊会を開いて亡妻の霊魂
を呼び寄せようというのだ。霊媒のインチキを暴こうとする超常現象の研究者までもが
やって来て、方城家に騒然とした空気が広がる中、兵馬が密室状態の離れで撲殺されてしまう。霊媒は方城家に悪霊が立ち籠めていると主張、かくて調伏のための降霊会が開かれるが、その席上で第二の惨劇が起きた。方城家を襲う奇怪な連続不可能殺人に挑むのは、飄々とし
た名探偵・猫丸先輩!本格探偵小説の雄編。

これは素直にやられた
見事な【目欄】だね
【目欄】のお手本のような作品だ
まったく読めなかったわ
著者の『星降り山荘の殺人』がつまらなかったので期待してなかったがこれは当たり
ネットでもトリックが読めたという人をあまり見ない

兵馬の孫で、いとこ同士の成一と左枝子
成一の一人称視点と、左枝子のモノローグが交互に語られる構成
この二人は内心の描写があるので犯人ではないということがわかる
以前にも書いたが、視点交代は【目欄】によく使われる構成
視点間の何らかのずれを利用してトリックを仕掛ける
左枝子のモノローグに何か違和感があるとは誰でも感じるだろう
猫丸先輩は、成一の大学時代の先輩で、事件に絡んでくる

最初の兵馬殺しは密室トリック
殺された時間帯に、現場の離れは監視下に置かれていた
関係者全員にアリバイがあるという不可能殺人
二番目は真っ暗な降霊会の部屋の中での殺人で、犯人は参加者に限定されるが
全員が輪になって互いの小指を接しておりこれも不可能殺人