新しいのが出たようなので、もうこちらの暇つぶし問題もお愛想して良い頃合いでしょうから、僕の解答も明かします。

この問題は「被害者:銀座に住む寿司職人」と「凶器:刺身包丁」という情報によって
あたかも犯行現場が銀座の寿司店であるかのように思わせる、初歩的な手法が用いられています。

仮に犯行現場が銀座(東京)であれば、以下の理由から「有明海苔三郎」が有力な容疑者(唯一犯行が可能な関係者)でした。
○飛行機・フェリーが欠航(北海道からの上京が不可能)→小樽海栗太郎は犯行が不可能
○新幹線は運転を見合わせ、高速道路も通行止め(在来線や一般道での上京が可能)→新潟舎利次郎、有明海苔三郎は犯行が可能
○舎利次郎は泥酔し自宅で「もんじゃ焼き」を作ったのが確認されている→新潟舎利次郎は犯行が不可能

しかし、犯行現場が不明なわけですから、この線から犯人を絞ることは困難です。

そこで、事後に店に駆けつけた弟子たちの会話から犯人を探ることになるわけですが、そこから伺える犯人は誰でしょう?
海栗太郎の告白が真実であれば、舎利次郎が「あの人」と言っている以上、犯人は弟子の中には居ません。
となると犯人は女将さん?…いやいや、可愛がってくれた女将さんのことを、弟子が「あの人」なんて呼ぶでしょうか。
そもそも「知らせを聞いて駆けつけて来た」のが「事件から半年後」というのは、ちょっと解せません。
銀座の一流寿司職人が殺害されたわけですから、当然もっと早く耳に入るでしょう。

そこで浮かぶのが、残る二人の人物です。
この物語には、寿司店関係者の他に、二人の客(一見の客、馴染みの客)が登場しているのです。