じゃあ月舘の殺人を私が補足しましょう

この作品は2つのミステリーがあります。
・ストーリー上のミステリー
・上巻限定ですが、私たち読者へ向けてのミステリー

ストーリー上のミステリーは大したことがありません。時計が大きなヒントに
なっており、論理的に犯人を絞り込んだのち、現れる人物、その人物には絶対
に殺人は不可能。この不可能をひっくり返す手段が順番が逆であったというも
のです。
偶然に支えられており、実は犯人自身はトリック工作などおこなっていません。
偶然の産物ではあるのですが、完成には欠かせないある人物の殺害、これを
誰が行ったか?は意外性があり、なかなか面白くはあります。
しかし、ミステリーとして成立しているか?おいおいバカミスかよと言いたく
なるぐらいのオチで、ミステリファンとしては結末には消化不良を感じます。
もう一つ、こちらが非常に優れています。
綾辻ですから、当然に叙述です。
走る列車と館で起きた虐殺。列車に乗っているはずの人物によるありえない事件。
当然ですが、我々からすれば不可能犯罪。
しかし、この不可能犯罪は漫画という媒体だからこそ崩せる。漫画でのみ成立
する叙述があるのです。
小説と漫画の最大の違いに気が付けば、綾辻行人が仕掛けたトリックに気が付く
はず。

ぐらいのヒントがあればいいかな?どこまで書いてよいかわからん。