§ミステリーを細かく分析して評価してみる§
下記の項目それぞれ10点満点で評価してみる
【プロット】物語の構成。骨組みがしっかりしているか
【ロジック】論理的。納得できる合理性があるか？
【トリック】すぐれた技巧により読者を騙せたか？
【キャラクタ】リアリティのある人物像が描けているか？魅力的な登場人物が登場するか？
【筆力】小説として読みやすく知性が感じられる文章であるか？
（江戸川乱歩氏はミステリーの面白さを次の３項目としている）
【謎】序盤の魅力的な謎
【スリル】中盤のスリル
【意外性】意外で合理的な解決
【独自性】オリジナリティがあるか？
【その他】プラスαがあるか？ >>6
読んだのは20年以上前なんで恐らく旧訳かも
ただカーは話を延ばす為、ページを稼ぐ為に
明らかに本筋とは関係ない余談にページを割いている作品も結構ある。
概ね駄作だが 『暗闇坂人喰いの木』 島田荘司
【プロット】10点 飽きさせない展開が良い
【ロジック】 1点 特に無し
【トリック】 １点 トリックというか偶然の産物。ご都合主義の極み
【キャラクタ】 10点 レギュラーメンバーが盛り上げてくれる
【筆力】 10点 この作家の文章力は高いと思う
【魅力的な謎】 10点 かなり興味を惹かれる謎の死に方
【スリル】 １０点 かなり面白い、同氏の作品ではトップクラス
【意外性】 ３点 普通かな
【独自性】 ５点 実際の刑罰の写真を載せる。結構効果あり
【その他】 １０点 海外にまで活動範囲を広げるスケールの大きな作品
合計７０点
島田荘司の作品の中では一番面白いかも
しかしサクサクと読み進めるスリラーであって
じっくりと読むミステリーではない 『箸墓幻想』 内田康夫著
【プロット】 1点 成り行きで書いているのが丸わかり。回収されない伏線多し
【ロジック】 1点 ロジックというよりこじつけ
【トリック】 ０点 特に無し
【キャラクタ】 １点 特に印象に残らない
【筆力】 １０点 ベストセラー作家だけあって読みやすい
【魅力的な謎】 ５点 邪馬台国の謎と絡むと思ったが空回り
【スリル】 ０点 特に無し
【意外性】 １点 犯人は当てられなかったが意外ではなかった
【独自性】 ３点 古代史とミステリーというありがちなテーマ
【その他】 ０点 特に無し
合計 ２２点
途中まで面白く成りそうだったが後半失速
列車の長旅で読むのが丁度いい感じ
点数がかなり低いが挫折するほど退屈というわけではない
ただ作者の労力が低いように思われる ｢アイル･ビー･ゴーン｣
そうだとか分かったとか訳せばいいのに｢あい｣って何?
日本語にねーだろ。調子くるうよ。 『高木家の惨劇』 角田喜久雄著
【プロット】 5点 やや煩雑な感じがする
【ロジック】 1点 特に印象に無い
【トリック】 0点 特に無し
【キャラクタ】 5点 メグレー警視を参考にしている
【筆力】 7点 好感が持てる文体
【魅力的な謎】 1点 特に印象に無い
【スリル】 5点 前半は結構ワクワクする
【意外性】 6点 犯人はやや意外。注意深く読めば解かると思う
【独自性】 0点 ストーリー展開もシムノンに似ている
【その他】 10点 日本の本格ミステリー黎明期の作品。発展に貢献したと思われる
合計40点 『僧正殺人事件』 SSヴァン・ダイン著
【プロット】 10点 ミステリーの体裁をとってるがこれはスリラーである
【ロジック】 0点 犯人の決め手が強引すぎる
【トリック】 0点 特に無し
【キャラクタ】 8点 けっこう立っている
【筆力】 8点 読みやすい。けして退屈小説ではない
【魅力的な謎】 10点 童謡に見立てた不気味な連続殺人
【スリル】 10点 全編を通してワクワクさせられる
【意外性】 １点 犯人の予想はつくと思う
【独自性】 10点 元祖サイコサスペンス
【その他】 10点 「グリーン家の殺人事件」と並び称される作品
どちらも甲乙つけがたい
合計67点 『黒嗣の島』 小野不由美
【プロット】 10点 過去の事件との関連など非常に上手くできている
【ロジック】 5点 普通か
【トリック】 0点 特に無し
【キャラクタ】 2点 登場人物が多く分かりくい
【筆力】 7点 けっこう高い
【魅力的な謎】 8点 魔物による殺人
【スリル】 8点 ホラー作家ならでは迫力
【意外性】 8点 犯人の意外性よりも真相の意外性が効いている
【独自性】 10点 島に根付く奇妙な風習と事件の関わり
【その他】 10点 話しが進むにつれて謎の解明と新たな謎が次々と訪れる展開が良い
合計68点 『魔獣狩り』 夢枕獏著
【プロット】 10点 エログロバイオレンス
【ロジック】 -10点 細けーことはいいんだよ
【トリック】 ？点 何それ？美味いのか？
【キャラクタ】 10点 次々と濃すぎるキャラが登場
【筆力】 10点 力こそパワー！作者が一番ハイテンションだろう
【魅力的な謎】 10点 よく分からん敵
【スリル】 10点 格闘シーンが熱い
【意外性】 10点 意外と面白い
【独自性】 5点 サイコダイバーという職業。
【その他】 10点 同氏の出世作。
合計65点
大藪春彦の諸作と劇画「ブラックエンジェルズ」を合わせたような作品
この手のエロ描写の入った作品はもう誰も書かないのでは
とにかく勢いで読んでもらいたい 『殺しの双曲線』 西村京太郎
【プロット】 10点 名作そし誰に挑戦した意欲作
【ロジック】 5点 作品を面白くするためにやや無理した感がある
【トリック】 3点 古典的な〇〇トリック
【キャラクタ】 8点 書き分けがよく出来ている
【筆力】 10点 ベテランの技量、読みやすい
【魅力的な謎】 10点 一見関係の無い2ヶ所での事件がどこに接点があるのか
【スリル】 10点 中盤までは恐ろしく面白い
【意外性】 3点 意外性はあるが強引
【独自性】 ？ よく分からない
【その他】 10点 600作以上ある同氏の作品の中でも代表作のひとつ
合計69点
昭和ミステリーの名作
終盤が尻すぼみな気がするが、魅力的な謎に重点を置いている作品は往々にして
そう成りがちだろう。 『刺青殺人事件』 高木彬光著
【プロット】10点 序盤の謎、中盤のスリル、結末の意外性のバランスがとれている
【ロジック】３点 トリック系の作品なのでロジックには重きを置いていない
【トリック】5点 密室トリックは普通レベルか。アリバイトリックはありきたり
【キャラクタ】5点 神津恭介登場。しかし面白いキャラではない
【筆力】3点 あまり高くない。改訂版は初稿よりも倍の長さになり脂肪が付き過ぎ
【魅力的な謎】10点 なぜ死体から刺青が消えたのか
【スリル】5点 普通レベル
【意外性】15点 上手く騙されればかなり効果的
【独自性】10点 首無し死体の逆バージョン
【その他】５点 土曜ワイド劇場での映像化も出来が良い
合計71点
【意外性】に特別に15点を付けた 『新・野性の証明』 森村誠一著
【プロット】 ７点 小説家の研修生たちが九囚と呼ばれる国際的なテロリスト達と対決
【ロジック】 無い
【トリック】 無い
【キャラクタ】 ５点 漫画チックな登場人物たち
【筆力】 10点やはり高いと思われる
【魅力的な謎】 特にない
【スリル】 ８点 敵は意外な程弱いが次はどんな手を使うのかワクワクさせられる
【意外性】 特に無い
【独自性】 10点 九囚たちの異様な術
【その他】 5点 主人公たちは絶体絶命のピンチなのに妙に明るい雰囲気が全編を覆う
合計4５点
前作とは打って変わって能天気な作品。漫画のような内容である
冷戦時代とは隔世の感あり
しかしいつもの左翼ぽさが無かったのは良かった。
『匣の中』 乾くるみ著
【プロット】 10点 現実と小説中小説が交差するメタミス
【ロジック】 ？点 ロジックの通用しない世界
【トリック】 ？点 密室トリックの常識を破る
【キャラクタ】 7点 特異な名前の登場人物たちで分かり易い
【筆力】 10点 かなり高い
【魅力的な謎】 10点 次々と起きる密室殺人
【スリル】 10点 かなり面白い進行
【意外性】 ？点 意外すぎてこれを許せるか
【独自性】 10点 竹本健司の『匣の中の失楽』のリライトかつ続編
【その他】 10点 同氏の作品の中では『セカンドラブ』と並んで読み応えのある作品
合計67点
竹本氏の作品に比べるとメタ度は後退してるが、筆力が高く読みやすい 『霧越邸殺人事件』 綾辻行人著
【プロット】10点 人里離れた館で起きる連続見立て殺人事件
【ロジック】5点 見立てに対する考察がされるが読者が推理できるものではない
【トリック】5点 使われているが地味
【キャラクタ】7点 人物たちの書き分けはよく出来ている
【筆力】8点 初期の作品に比べると格段に高くなっている
【魅力的な謎】10点 なぜ見立てがなされているのか？
【スリル】10点 かなりスリリングである
【意外性】3点 犯人の見当はつくが真相は見当のつけようがない
【独自性】８点 見極めるのに教養と雑学が必要な見立て
【その他】8点 異色作、最期まで読めば何故館シリーズでないのか分かる
合計74点
同氏の作品の中では時計館と並んで面白かった印象
読後の余韻がいい 『アリス殺し』 小林泰三
【プロット】10点 夢と現実が連動するマルチバース
【ロジック】3点 結構細かいとこもあるが解り難い
【トリック】3点 ↑に同じ
【キャラクタ】10点 アバター達のキャラが映える
【筆力】10点 ギャグが効果的、飽きずに読める
【魅力的な謎】5点 夢に登場するアバター達の正体は？
【スリル】2点 緊張感は無い
【意外性】10点 あるアバターの正体に上手く騙される
【独自性】10点 ミステリーとサイバーパンクの融合か？
合計63点
ユニークな内容で面白かった。どんでん返し有 『人狼城の恐怖』 二階堂黎人著
【プロット】10点 ドイツとフランスの古城で同時に連続殺人が起きる
【ロジック】8点 殺人現場の城が見つからない理由を解き明かす
【トリック】10点 多数の密室殺人が起こるが内２つのトリックは秀逸
【キャラクタ】０点 探偵役が人気が無い。魅力的でないキャラ
【筆力】8点 それまでの作品に比較すると格段に上手く成っている
【魅力的な謎】10点 膨大な数の密室殺人
【スリル】10点 かなり絶望的で恐ろしい
【意外性】5点 事件の全貌と犯人の目的
【独自性】10点 大量の殺人事件の真相を安楽椅子状態で推理する探偵
【その他】10点 世界一長いミステリー小説。完結編が別冊なのでじっくり推理できる
合計８２点
古典的密室物の集大成のような作品
叙述トリックを弄さないド直球の力作
長いのに内容も濃い、必読書(絶版？） >>25 了解すますた
『生首に聞いてみろ』 法月綸太郎著
【プロット】5点 殺人事件が起きるまでが長くやや単調か
【ロジック】8点 細かい伏線が多く有り丁寧に読めば真相に辿り着くはずだが
【トリック】0点 ロジック重視のパズル小説でありトリック的なものは無い
【キャラクタ】0点 特に印象は無い
【筆力】７点 全然色気の無い文章だが読みやすい
【魅力的な謎】5点 無くなった石膏像の首
【スリル】3点 おどろおどろしいタイトルだが物語は淡々と進む
【意外性】2点 真相を完全に見抜くは難しいが驚きは無い
【独自性】8点 実物の人間で型をとった石膏像が事件の重要な要素になる
【その他】8点 同氏の中期の代表作。地味だが読みやすい
合計46点
結構楽しく読めたが長すぎか
タイトルは都築道夫の『ナメクジに聞いてみろ』のオーマジュと思われる 『硝子の塔の殺人』 知念実希人著
【プロット】8点 クローズドサークルで起こる連続殺人、倒叙物でもある
【ロジック】5点 犯人の動機に納得
【トリック】5点 密室、この手のトリックは考えても正解には辿り着けない
【キャラクタ】10点 ミステリーマニアの探偵のキャラが兎に角面白い
【筆力】8点 ユーモアに富んでいる
【魅力的な謎】8点 なぜこんなコテコテの館殺人が起きたのか？
【スリル】７点 メタ的要素が出てくるところが面白くなる
【意外性】8点 大胆な仕掛けを用意している
【独自性】10点 ミステリー愛が溢れていて読んでいて楽しい
【その他】5点 読者への挑戦状が笑える
合計74点
又10点を連発してしまった・・・
島田荘司氏もかなり気に入った作品のようです まともにレビュー書けない人がこういう点数づけするんだよね
何も考えずに書ける手抜き手法だから >>29
普通にレビュー書く方が遥かに簡単でしょ。誰でもできるし
10項目に分類する方がめんどくさいし煩わしかったりする
でも普通のレビューだと人に拠って偏りが激しいからこの形式にしてみた。 『邪馬台国の秘密』 高木彬光著
【プロット】5点 名探偵が病院のベットで古代史に挑む歴史ミステリ
【ロジック】10点魏志倭人伝と記紀の情報のみで邪馬台国の位置と卑弥呼の正体を暴く
【トリック】 無し
【キャラクタ】3点 天才探偵神津恭介物
【筆力】4点 普通レベル
【魅力的な謎】8点 神話と古代の関係
【スリル】 ７点 事件が起きるわけではないが兎に角面白い
【意外性】 3点 結論には納得しかねた
【独自性】 2点 同様の説はこの作品の以前から有り
【その他】 5点 邪馬台国ブームを起こした作品の一つ
合計４7点
『成吉思汗の秘密』に続く歴史もの第2弾
欠点としては、結論ありきでご都合主義で恣意的な推理が目立つ
こういう作品を読むと歴史ものとミステリが相性がいいのがよく分かる 『カササギ殺人事件』 アンソニー・ホロヴィッツ著
【プロット】10点 本編と作中作の二重構造。２つの作品を楽しめる
【ロジック】8点 クリスティ張りのスマートな理論
【トリック】 無い
【キャラクタ】7点 20人程登場するが上手くこなしている
【筆力】7点 高いと思うが、英国文学独特のかったるさが有る
【魅力的な謎】 特に無い
【スリル】３点 登場人物達に緊張感が無い
【意外性】７点 目から鱗の真相だが、手掛かりが少なすぎる
【独自性】5点 作中作家が読者に罠を仕掛ける
【その他】8点 本邦のミステリーに多い奇抜な事件や設定で読ませる作品
ではなく、高い筆力で読ませるので大人の読み物感がある。
合計55点
同氏の「007/逆襲のトリガー」を既に読んでいたが、同作と違い軽快で薄い
作風だった。カササギはクリスティ愛に溢れた作品。 『不連続殺人事件』 坂口安吾著
【プロット】5点 歪んだ性格の人達の集まった別荘で起きる連続殺人
【ロジック】10点 読んだ中では完璧に近いのでは？
【トリック】10点 心理的盲点を突いたアリバイトリック
【キャラクタ】3点 性格の悪そうが多数出てくるが人数が多すぎる
【筆力】1点 純文学作家の作品だが読んでてワクワクしない
【魅力的な謎】6点 なぜ連続殺人か起きるのか？
【スリル】1点 8人も殺されるのに文章が平坦でやや退屈
【意外性】8点 上手く騙された
【独自性】0点 尊敬するクリスティ女史の作風
【その他】10点 連載時は完結編の前に読者と乱歩への挑戦状が懸賞金付きで挿入されいた
合計54点
『獄門島』『高木家の惨劇』『刺青殺人』と同じ昭和22年の作品
本格ミステリーブームの火付け役の一人
同氏はミステリー小説をバカにしていたが実はミステリーマニアで
著作の1/4はミステリー 『密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック』 鴨崎暖炉著
【プロット】5点 密室トリックが解けないと証拠不十分で無実になる世界
【ロジック】5点 上記の特殊設定の為、密室殺人を行う事に合理性がある
【トリック】8点 最後のトリックは奇抜で良かった
【キャラクタ】5点 この手のゲーム感覚ミステリーのキャラは漫画チックで分かり易い
【筆力】7点 そう悪くない
【魅力的な謎】5点 「密室使い」と云われるプロの暗殺者は誰なのか
【スリル】5点 トリックをちゃっちゃと解明するのは一長一短な気がする
【意外性】10点 作者のデビュー作だったという事。ベテランの作家かと思った。
【独自性】3点 ノックスの十戒をトリックに取り入れいる
【その他】10点 カーの向こうを張った密室講義ある
合計63点
かなり色々な要素を入れて頑張った作品
特に密室講義は難易度の高い挑戦、しかし今後のネタ切れも心配である 『魍魎の匣』 京極夏彦著
【プロット】5点 殺人、事故、誘拐が次々と起きるその全貌は？
【ロジック】3点 極めて明確だが、いいのかこれで？
【トリック】3点 マジックのような人間消失トリック
【キャラクタ】10点 個々のキャラクター描写が卓越している
【筆力】10点 筆力だけで長々とした蘊蓄を読ませる
【魅力的な謎】8点 幕間に都度登場する不気味な原稿
【スリル】3点 かなり緩慢とした進行なのでスリルは乏しい
【意外性】3点 裏の裏を画いたオチだが・・・・
【独自性】8点 このシリーズ独特の世界観
【その他】5点 ペダンチックを特徴とするシリーズだがネットの普及に拠って驚きは減少
合計58点
ミステリーとしては『絡新婦の理』の方が上だろう
兎に角作家としての腕前が凄い 『怪物の木こり』 倉井眉介著
【プロット】７点 極悪非道のサイコパスと脳泥棒の対決
【ロジック】？ 非現実的というかＳＦ的
【トリック】4点 叙述トリック
【キャラクタ】5点 主人公がぶっ飛んだキャラだが単純
【筆力】5点 普通か
【魅力的な謎】5点 犯人は何故死体から脳ミソを持ち去るのか
【スリル】5点 テンポはいいがもっと上手く書けばより面白く成りそう
【意外性】6点 犯人を特定する根拠が弱い
【独自性】8点 サイコパスとシリアルキラーのコンビ
【その他】5点 映像映えしそうな作品、ただし内容的にＶシネマだろう
合計 ５０点 『毒薬』 エド・マクベイン著
【プロット】5点 女のセフレ達が次々と殺され、その女に惚れた刑事が・・
【ロジック】3点 ロジックよりもトリックから推理すべき作品
【トリック】5点 職権を利用したアリバイトリック
【キャラクタ】10点 地雷女のキャラが秀逸
【筆力】10点 エンターテイメント小説家の最高峰だと思う
【魅力的な謎】5点 次々と明かされる女の正体
【スリル】3点 事件のシーンはあっさりと書かれているのであまり無い
【意外性】5点 まさかの大技かと思われたが、普通のオチだった
【独自性】？
【その他】10点 87分署シリーズの39作目。警察物の手本のような作品群だろう
合計56点
シリーズの中では特に人気作というわけでは無いが、それでもかなり引き込まれる。
ユーモラスで臨場感の有る文体はもはや天才の域。特にシリーズ後半作品群
事件そのものというより小説として面白い。 『地獄の道化師』 江戸川乱歩著
【プロット】5点 石膏像の中から現れた女性の死体。そして次々と起こる謎の事件
【ロジック】3点 殺人の動機がブスの嫉妬
【トリック】3点 普通の首無し死体モノ
【キャラクタ】3点 人物像を深く描写するような作品ではない
【筆力】10点 非常に読みやすくテンポがいい
【魅力的な謎】3点 道化師の正体は？
【スリル】5点 犯人が色々どっきりを仕掛けてくるのが面白い
【意外性】5点 真犯人が明かされたときは衝撃を受けた
【独自性】過去の作品のソースの寄せ集め
【その他】5点 明智小五郎シリーズの作品である
合計42点
自分が小学生のときに読んだ初めての大人向けの小説である
乱歩の作品は小難しくなく小学生でも充分理解できる。
死体が出てこなければ少年探偵団モノと内容的には大差無いかもしれん
ラストに強い衝撃を受け、乱歩物を全話読破した。
兎に角、乱歩作品は全部面白い。 『長い家の殺人』 歌野晶午著
【プロット】5点 典型的な学生物ミステリー
【ロジック】3点 偶然に頼ったトリックには疑問が残る
【トリック】7点 シンプルだが効果的
【キャラクタ】3点 人物像の描き方が浅い
【筆力】3点 あまり上手くない
【魅力的な謎】8点 密室の中から消えた死体と荷物
【スリル】4点 ややダレる
【意外性】7点 ミステリー初心者なら豪快に騙せそう
【独自性】？
【その他】7点 同氏のデビュー作。デビュー作としては充分なデキだろう。
合計47点
ミステリー初心者にお薦め
タイトルが良くない。変えるべきだろう 『インシテミル』 米澤穂信
【プロット】5点 スローズドサークルで行われるサバイバルゲーム
【ロジック】4点 犯人を特定する論理が複雑で解り難い
【トリック】8点 存在しないはずの武器での殺人
【キャラクタ】6点 この手の作品のありがちなテンプレ
【筆力】7点 軽快である
【魅力的な謎】5点 このゲームの目的は？
【スリル】5点 まあまあ
【意外性】7点 生き残った人物の正体
【独自性】5点 殺人ゲーム物は多数あるが、独特なのはルール設定が細かい事だろう
【その他】9点 かなり緻密に計算して構成されている
合計61点 『赤い密室』 鮎川哲也
【プロット】5点 縺れた人間関係と密室殺人の組み合わせ
【ロジック】3点 読者を驚かせる為に犯人が苦労してトリックを行ったように感じる
【トリック】10点 不可能度がかなり高い密室殺人
【キャラクタ】3点 印象に残っていない
【筆力】3点 あまり高くない。軽快感が無く中編なのに退屈な所がある
【魅力的な謎】10点 密室のバラバラ殺人
【スリル】4点 グロい殺人現場。しかしスリラー調の作風ではない
【意外性】5点 犯人がわざわざ密室の殺人にした動機
【独自性】5点 カーの人間消失トリックの応用だと思われる
【その他】10点 複雑だが、よ〜く考えれば解けるトリック。難易度が丁度いい
合計5８点
中編なので一度は読んでみるべきだろう 自分の中では良作だとは思うがベストだとは思えん
問題は殺人の動機で
女の気を引く為にＸが無用な殺人を犯したとしたら
同情の余地が無いという事
最初に採点した作品なので点数が甘く成ったのかもしれん >>45
もし隣に越して来た住人がむさ苦しいオッサンだったら
Ｘは自分を犠牲にしてまで助けようとしなかったじゃない？ >>1
スレタイのバネみたいな記号がカッコいい
どうやって出すのですか？ 久々に投稿してみるか
『マークスの山』(新潮文庫版） 高村薫著
【プロット】4点 心身障碍者の犯罪を追う警察物
【ロジック】3点 倒叙部分が多いので推理する事は少ない
【トリック】トリックを弄したと思える個所は無い
【キャラクタ】７点 マークスの描写が秀逸だが、後半出番が殆ど無い
【筆力】7点 高いと思われるが捜査のくだりがややダレるか
【魅力的な謎】５点 何故マークスは犯罪の真相を知り得たか
【スリル】4点 文庫化した際に殺害とエロのシーンをカットしたらしく刺激が弱い
【意外性】意外な結末では無く、あっさり終了した印象
【独自性】6点 現在の事件を追う事で過去の事件が暴かれる
【その他】9点 直木賞受賞作
合計45点
上巻は結構面白かったが下巻で失速した印象
もっとマークスを描写して欲しかった。警察物としては普通
早川書房の単行本も読んでみたい。 >>46
そのオッサンに世話になってたら助けてたかもしれないだろ
そもそも気を引くためだとしたら、そのために殺人の罪を被ることまでするって、やり過ぎだと思う
気を引いたところで何年もブタ箱行きなわけだし、何の見返りも求めてないからできるんでしょ ＞そのオッサンに世話になってたら助けてたかもしれないだろ
それは無いですね
この物語は恋愛に不器用な男がとんでもない事
をしでかしてしまった悲劇を書いた作品だから。
湯川はＸが恋をしてる事に気づき動機を知る。
Ｘがモーホーなら>>50の可能性もあり得るが、
ノーマルなら自殺を思いとどまらなかっただろう。 『ユダの窓』 カーター・ディクスン（ディクスン・カー）著
【プロット】10点 密室殺人。同部屋で寝ていた男の無実を証明する法廷物
【ロジック】8点 登場人物達のアリバイ表の真の意味が解れば犯人が判明する
【トリック】5点 有名なトリック。ネタバレしてる可能性あり
【キャラクタ】3点 探偵のキャラが濃すぎる。他の人物は印象無し
【筆力】5点 普通か
【魅力的な謎】8点 容疑者絶対不利の状況からどうやって逆転無罪を勝ち取るのか
【スリル】10点 どんでん返し連続の法廷シーン
【意外性】5点 犯人は意外だが納得できるかどうか
【独自性】10点 密室と法廷の組み合わせ
【その他】10点 著者の最高傑作だと思われる
合計 74点
黄金期ミステリーでは「そし誰」「Yの悲劇」に匹敵する出来。御三家に入れてもいいと思う
特にミステリー初心者は読むべき
自分は最期にカタルシスを味わった作品は前述の「地獄の道化師」とこれしかない。 >>50
＞気を引いたところで何年もブタ箱行きなわけだし
もし湯川が登場しなかったらブタ箱行きに成らなかった
Ｘは論理的思考力にそれだけの自信があった。 『首無の如く祟るもの』 三津田信三
【プロット】10点 プロットの面白さが秀逸
【ロジック】3点 ヒントは散りばめられているが、たとえ見つけられても真相に辿り着く事は無いだろう
【トリック】3点 密室状態の書き方がわかり辛くかなり損をしてる
【キャラクタ】3点 登場人物が全員つかみどころが無く、感情移入できない
【筆力】2点 無残な殺人に誰も驚かず平然としてる所など違和感が多い
【魅力的な謎】7点 被害者は自明なのに何故首を持ち去るのか？
【スリル】2点 オカルト仕立てだが、文体の問題か？あまり効果的では無い
【意外性】10点 最後のどんでん返しの連続が凄い
【独自性】8点 首無しトリックと密室の組み合わせ
【その他】8点 首無しトリック講義がある
合計 ５６点
クスティ張りの書体だが、もっと大胆に分かり易いヒントを出した方が良かった
それでもあの驚愕の真相は見破れないだろう。カタルシスがより強烈に成るはず
途中まで駄作ぽいがラストでハンマーパンチを喰らう 半年ぐらい誰かの巻き添えで規制喰らったわ
『向日葵の咲かない夏』 尾道秀介
【プロット】10点 ファンタジーで始まり恐怖で終わる
【ロジック】５点 猫殺しの動機が弱いか
【トリック】10点 こちらもコメントは控える
【キャラクタ】８点 主人公のキャラが秀逸
【筆力】８点 無駄が無く読みやすい
【魅力的な謎】５点 消えた死体と連続ネコ殺獣事件の謎
【スリル】８点 読みだしたら止まらない面白さ
【意外性】10点 驚愕の真相が判明するとゾッとする事請け合い
【独自性】10点 小学生とクモに生まれ変わった被害者の探偵コンビ
【その他】10点 平成の傑作ミステリーの一つであり、如何にも平成作品ぽい
合計 ８４点
ネタバレの恐れが有り、項目ごと評価するのが難しい作品 このスレは初めて見たけど、各項目の点数が極端でおもしろいな
【雰囲気】という項目も入れてほしかった 【雰囲気】という項目も面白いな
「向日葵の咲かない」は全編に漂う不穏な雰囲気が凄く良かった 『コズミック』 清涼院流水
【プロット】10点 圧巻の19件連続密室状態殺人事件。全て違うスチュエーション
【ロジック】３点 1000年300年前の同様の事件にも関与した真犯人。やりすぎ
【トリック】３点 この程度のトリックを警察が見破れない不自然さ
【キャラクタ】１０点 個性溢れる探偵たちの数々。キャラを楽しむ作品である
【筆力】１０点 デビュー作なのにベテランの域
【魅力的な謎】１０点 英国でも似た連続殺人が発生。密室卿の正体は？
【スリル】５点 広げ過ぎた風呂敷をどう畳むのか
【意外性】２点 壁投本の可能性あり
【独自性】５点 日本だけでも数百人が所属する探偵協会
【その他】10点 究極を目指したバカミス
合計 ６８点
ミステリー作家たちが激怒したのも頷ける
マラソンでいきなり１００ｍを全力疾走したような作品だから
魅力的なキャラ達とスチュエーションが惜しげもなくつぎ込まれ
最終的には大量の密室状態殺人が起きる
作者は作品の途中で前日談の『ジョーカー』を読む事を薦める
必然性は無いがこちらの作品も売りたい作戦だろう
しかし『ジョーカー』も色々な究極を目指した作品。読んで損は無い・・？ 
