■キャバクラに誘われ

検査報告書は、当番制で回ってくる書類の確認役の別の局員によって、最終確認が行われる。長谷川容疑者の就任以降、
長谷川容疑者の分しか印鑑が押されていない報告書が多く届いたが、確認担当の局員はいずれも残り2人の分を勝手に押印していた。

捜査関係者は「部長(長谷川容疑者)のハンコがあるので、正規の手続きだろうと判断したようだ。いわゆる忖度(そんたく)だ」と指摘する。
長谷川容疑者は22年ごろから、山橋容疑者からキャバクラに誘われていたとみられる。長谷川容疑者が26年4月に宮前郵便局
(川崎市宮前区)、昨年4月に青葉郵便局に転勤してからも関係は続いた。

一方で長谷川容疑者の逮捕容疑は、青葉郵便局時代など昨年1〜8月の分についてのみ。
沖縄県などへの旅行やゴルフ、県内のキャバクラなど計約60万円分の接待を受けていたとされる。
不正割引による日本郵便の被害額は数億円に上るとみられることを念頭に、関係者からは「60万円では割に合わない。
(未立件の)別時期にもいい思いをしていたはずだ」との声が上がる。

■別局員らも接待

捜査関係者によると、ティーティーオーは周囲に怪しまれないよう、実体のない複数のダミー会社をつくるなどして会社名を変えてDMを持ち込んでいた。
長谷川容疑者以外の別の局員らを飲食接待していたこともあったという。

DM発送をめぐる不正は後を絶たない。12年、滋賀県の郵便局の課長代理がDMの数を少なく数えて料金を安くする見返りに現金を受け取ったとして、
収賄の疑いで逮捕されている。
一昨年には東京・足立区の郵便部長が発送代行業者から受注したDMの数を実際より少なく見積もる不正が発覚していた。

捜査関係者は「青葉郵便局でも宮前郵便局でも、他の局員は、長谷川容疑者への信頼から書類を素通りさせていたようだ」と指摘。
勾留期限の満期日は8日に迫っており、県警捜査2課は詰めの捜査を続けている。