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「素敵なプレゼント」で来局誘致
 通報した社員が疑問視したのは、4月22日〜5月10日に約3千の郵便局で行われた「お客さま感謝デー」。朝日新聞が入手した4月11日付の近畿支社金融営業部の指示文書には、こう記されている。

 「普段お会いできないお客さまへのアプローチを強化し、ニーズを確認して金融商品を案内し、ご利用につなげる取組を実施してください」

 「計画的な来局誘致を行い、(金融商品の)提案・成約の増加につなげてください」

 文書で示された例では、「70歳以上顧客」「定額貯金満期・残高の多い顧客」「投信口座未稼働顧客」などの条件をもとに、金融商品を売り込みたい顧客をリストアップし、チラシを送る。チラシには「アンケートに回答いただいたお客さまへ素敵なプレゼントをお渡しします!」とあるが、金融商品を売り込むとは書いていない。

 指示文書では、顧客が来局しても、景品をただ渡すのではなく、かんぽ生命やゆうちょ銀行の金融商品を提案し、70歳未満の家族を連れてもういちど来局させるアポを取りつけるよう求めている。同席する家族にも金融商品を売り込み、お盆やシルバーウィークの取り組みにもつなげる狙いだ。

 一斉送信されたメールなどによると、社員は4月中旬、こうした営業手法が消費者保護を図る自治体の条例に反する恐れがあるとみて、社外通報窓口に情報提供した。近畿地方の府県が定める消費生活条例は、商品販売の目的を隠して客に近づくなどして勧誘する行為を禁じているからだ。