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 だが、通報窓口の担当者と担当弁護士は、近畿支社にヒアリングを行い、6月末にこう結論を下したという。

 「調査の結果、『お客さま感謝デー』は顧客に対し、来店時に粗品を贈呈して日頃の取引への感謝を伝え、接点増進を図る施策だ。特定の金融商品の勧奨が主目的ではないため、府県の消費生活条例に違反するとは判断できない。コンプライアンス違反には該当しない」

 この結果に納得がいかない社員が通報の経緯と指示文書の問題点をメールに記し、近畿地方の郵便局へ一斉送信するに至った。メールにはこうも書かれている。

 「指示文書に従って金融商品を勧奨すれば、消費生活条例違反となる可能性があります。気をつけてください!」

「コンプライアンス違反の責任を取らされるのは現場の社員です。かんぽ生命の不祥事以前と何も変わっていません!」

「違反さえしなければいい」は間違い
 この社員が同様の問題を通報したのは、これが初めてではなかった。

 近畿支社は昨年11月〜今年1月に行った「冬のご来局フェア」でも、郵便局に行ってゆうちょ銀行の通帳などを示せば、計10万人にラーメン1袋をプレゼントするというチラシを作成。金融商品を売り込みたい顧客らに送付するよう指示していた。

 チラシに金融商品の勧誘などの記載はなかったが、指示文書では、プレゼントを渡したあとに金融商品の提案などを行うよう求めていた。

 社員が昨年11月に消費生活条例違反の恐れがあると通報したところ、社外通報窓口からは担当弁護士の判断として、条例違反とは認められず、「コンプライアンス違反に該当しない」と返ってきた。

 このときは、チラシに記された「この機会にぜひ郵便局・ゆうちょ銀行をご利用ください!」との文言が「営業意図を推認させる」とし、金融商品のチラシを同封する例もあったことから「金融商品の勧誘がされると想定できる」とした。社員の通報がその後の取り組みにいかされることもなかった。